「クルマを速く走らせるためには、クリップを目指してタイミングよくガツーンと強くブレーキを踏んで確実に減速し、アウト側の縁石目がけてクルマの進入角を向け、いかに早くアクセルを踏み込める体勢に持ち込めるかどうかで決まる」
またひとり、モーターレーシングの世界は偉大な才能を失った。
ダン・ウェルドン。F1モナコGP、ル・マン24時間耐久レースとともに、世界三大レースに位置づけられている、インディ500の今年のチャンピオンだ。
彼はインディ初参加の2003年にルーキー・オブ・ザ・イヤー、2004年には3勝を挙げ、2005年には伝統のインディ500で優勝、そして初のシリーズチャンピオンを獲得した。
また、今年まで栃木のツインリンクもてぎで開催されていた、インディJAPANでの相性もよく2004年と2005年に連覇を果たしている。
私は、2005年のインディJAPANで彼の連覇を見届けていた。
予選で5番手と出遅れた彼は、勝利を狙えるペースを保ちつつ、燃費に配慮したクレバーな走りに徹し、見事に勝利した。
レースは終盤、トーマス・シェクターとトニー・カナーンが激しいデッドヒートを繰り広げていたが、残り2周となったところで2台とも燃料が底をつき脱落。
一見、棚ぼたのように見えるが「いずれトップ2台は自滅する」と、ダンがレースを俯瞰していたからこそ成し得た勝利だった。
1994年、世界を震撼させたアイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーの事故死を契機に、安全性を高める規則が加えられ続け、以降(2011年10月18日現在)F1においては死亡事故は起こっていない。
しかしこれは、恒久的に死のリスクからドライバーを解放することを意味するものではない、ということをファンも含めたモータースポーツ界全体が改めて認識し、慮る必要があるだろう。
今回、セナとダンのクラッシュの映像を見返したが、何度見てもウォールにクリティカルなヒットをした映像には見えない。
もっと激しくクラッシュしたにも関わらず、一命をとりとめた例はいくつもある。
なぜ2人は命を落とす結果となったのかを閲してみたい。
セナは、自身のフロントタイヤで拾い上げたコース上のパーツが、頭蓋骨を貫通し致命傷となった、という説が一般的だ。
一方のダンは、今日時点での見解によると、前車のリアタイヤに乗り上げた後、横方向に回転しながら宙を舞い、車体の上面、すなわち頭部からフェンスに衝突したためだという。
身体の一部が露出する形状のOWCは、ハコ車よりも負傷あるいは死亡するリスクが必然的に高まる。
事実、モータースポーツの登竜門であるレーシングカートでも、毎年のように死亡や半身不随などの重傷を負う事故が起こっている。
セナの事故が起こるまで、一部のメディアが「F1からはもはや死亡事故は起こらない」とまで放言するほど、業界全体としても奇妙な安心感に包まれていた。
事故が起こりそれが妄想だったと悟ると、全体の意識と緊張感が一気に高まり、さまざまな安全策が講じられるようになった。
だがここ数年、FOCAバーニー・エクレストン代表の商業主義優先と疑わざるを得ないレギュレーション変更が行われている。
1994年のイモラの週末、あの時覚えた危機感をやや忘れかけているように見えることは残念でならない。
セナの死に関しては未だ謎と疑惑が多々残るが、今回の事故についてはドライバー、車体メーカーのダラーラ、エンジンサプライヤーの米ホンダ(HPD)、オーガナイザーのIRL、そして悲劇の舞台となったラスベガスモータースピードウェイが互いに一致協力し、徹底的に原因を追求解明することを強く願う。
それこそダンへの唯一の報いであろう。
下の写真は、ダラーラ製の来季のインディマシン。(出典:Indy Racing League)
正直なところ、OWCならではのセクシーさはスポイルされてしまった。
マシンや施設といった物理的な安全策は、さらに追求を続けていくべきだが、OWCがル・マンカーと酷似する形状になることはナンセンスである。
強いレーシングドライバーは誰しも少なからず勝ち気で強引、粗暴な面を持ち合わせている。
これを根本的に否定するつもりは毛頭無いが、その性格故に事故を引き起こしたケースは無数にある。
今後はわざわざルールブックに記載するまでもなく、レーサー自身が「死のトリガー」となり得る存在であることを弁え、フェアなバトルを魅せて欲しい。
それが日常化すればきっと、インディカーはかつての美しさを取り戻すことだろう。
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