
万座ハイウェイと万座温泉(2月21日、金曜日)
前日夜に全ての荷物をMINIクロスオーバーに積み込んで置いた。二十歳の頃、ちょうど昭和"スキー天国"のときだ。スキーが楽しくて月刊SKIを読み漁っていた。ほぼ毎週、仕事が終わったらスキーの板を車の屋根に積んで、夜8時頃に自宅を出発。群馬県の丸沼高原スキー場によく行っていた。パウダースノーと評判のスキー場だ。深夜2時過ぎ、スキー場の駐車場に車を入れて、直ぐに仮眠を取った。そのときよく毛布を使っていた。窓から落ちる冷気をシャットアウトして、ぬくぬくなんだ。それから数十年後の令和7年、毛布をMINIクロスオーバーに積むことがあるなんて!! 後で振り返ってみたら日中に車移動するので毛布はいらなかったし、寝袋もいらなかった(笑) やり過ぎた。
自宅を午前4時半に出発した。その日は快晴だった。事前に僕と妻は1987年の映画「私をスキーに連れてって」を見ておいたので、気分はハイな状態でした。別にスキーするわけでもないのに(笑) 昭和の人間なんで仕方ないか。
僕:「さぁ、万座温泉に向けて出発!!」
妻:「しゅっぱーつ!!」
金曜日の早朝、MINIクロスオーバーに乗り込み出発した。EGRバルブの煤詰まりから復活したMINIクロスオーバーは絶好調だ。大宮ICから高速道路に入り、千葉東JCTから京葉道路へ、京葉JCTから東京外環自動車道へと進んだ。途中、右手から朝日が昇り、遠くに筑波山のシルエットが見えた。筑波山は遠い印象だが、高速道路からだと手の届くところに見える。いつも不思議な感覚になる山だ。西に向かえば雄大な富士山が見えた。こんなにも綺麗に見えるものかと思うほどに。
大泉JCTから関越自動車道に入った。午前6時45分、三芳PAで最初のトイレ休憩を取った。渋滞もなく一気にここまで走ることができた。MINIクロスオーバーの足回りは比較的に硬く、高速道路のつなぎ目を拾っていく感じだ。MINI発売当時、ゴーカートフィーリングを売りにしていた。この足回りが必要だったし、僕はこのフィーリングが好きだ。話を戻して午前7時45分、上里SAで2回目の休憩を取った。目的は灯油3号の給油。万座温泉や草津温泉ではこの冬最大の寒気で最低気温は氷点下マイナス10℃以下になっていた。その対策で軽油32Lが入った。これで灯油凍結の不安は消えた。助手席に座っている妻もホッとしただろうとチラッと見たら、もう妻は寝ていた(笑)。
午前9時10分、渋川伊香保ICを出た。ここから一般道、渋川西バイパスを通り、午前10時40分に万座鹿沢口までたどり着いた。ここまで積雪はなく、安心してMINIクロスオーバーを走らせることができた。
万座鹿沢口の交差点を右に折り返して坂道を登り始めた。続いて三原の交差点を左に曲がり、グイグイとMINIクロスオーバーは坂道を登っていった。ディーゼルエンジンは本当に力強い。ディーゼルを選択して正解だった。この先、雪道が待っていると思うとワクワク感があって、ついアクセルを踏む足にも力が入った。嬬恋プリンスホテルを左手に見る頃には、道路周辺は雪で真っ白になっていた。三原料金所を通過してすぐにMINIクロスオーバーを道路脇に停めた。雪景色をバックにしたMINIクロスオーバーの写真会だ。2人のワクワク感は更に上がった。
僕:「運転してみたらどう?」
妻:「雪道を走ってみようかな」
自宅からここまで運転してきて疲れたので、ここで妻に運転を代わってもらった。ホッとできる、雪景色を眺めながら万座温泉に乗り込もう。実は妻の運転はメリハリのある運転だ。助手席に座った僕は妻が運転するMINIクロスオーバーの加速に少なからず不安を感じた。いつもの運転と遜色ないじゃん、ええんか?案の定、最初のコーナーで声が漏れてしまった。
僕:「あっ!!」
いくら登坂と言えど雪道だ。早めのブレーキが基本と思っている僕に対し、全くのドライ路面のようなアクセルワークでカーブに入り曲がっていく。マジ怖いと思って声が漏れてしまった!! 次のカーブでは
僕:「うっ!!」「やっばっ!!」
なんちゃってと誤魔化しても僕の心が万座温泉まで持たないと思った。1kmも走らないうちに道の広い場所にMINIクロスオーバーを寄せてもらって僕がステアリングを握り直した(笑)。妻は助手席で雪景色を写真やらビデオで撮影しまくっていた。これで良かったのだ。万座ハイウェイは長い!
MINIクロスオーバーは最後の難所、万座プリンスホテル手前の急坂を登り切った。確かに急坂だった。降りるときは気をつけようと思ったくらいだ。出発前に急遽購入したスノーソックスの出番はなく(ホッとした)、スタッドレスタイヤで十分行けた。
午前11時20分、万座プリンスホテルのサインが見えて、目的地に到着した。もうすぐお昼だ。駐車場は雪が深く、車が止められない場所もあった。たまたま軽自動車が出て空いた駐車スペースにMINIクロスオーバーを入れることができた。妻は古いスノーシューズに履き替えた。後でこれがとんでもなく面白い事件に繋がった。しばらくMINIクロスオーバーと雪の写真を2人で撮っていた(笑)。雪ってやっぱ楽しい!!
僕:「雪の万座温泉だ!! めちゃ綺麗じゃん!!」
妻:「ホテルのサインのところで写真撮ろう!!」
めちゃはしゃいでる妻。たぶん自分もハイテンションになっていたと思う。
フロントで日帰り温泉入浴ランチ券を見せて、ランチチケットを受け取った。近ツリーの日帰り温泉入浴ランチ券を回収してくれたら、後日催促の電話を受けずに済んだのに悔やまれる。
妻と相談して、まずは万座の白く濁った温泉で体を温めてからランチにすることにした。フロントの説明では、混浴の露天風呂があると教えてくれた。妻と万座温泉の雪景色を見ながら一緒に露天風呂に入れるなんて、来た甲斐があったと言うものだ。ロビーを左手に曲がり、売店の前を通り過ぎて、右側の階段を降りるとその先はお風呂だ。右手が男性で左手が女性の風呂だ。さあ入るぞ!
男風呂の脱衣所に入ると人気がまったくなかった。拍子抜けだった。誰もいない。最初に目に入ったのは、狐が出るので注意と書いた張り紙だ。国立公園の中にいるのだから、狐が出てきてもおかしくなかった。脱衣所の窓越しに見える雪景色は素晴らしかった。写真を撮ろうと窓を開けようとしたら、窓が凍っていて開かなかった(笑)。それほど寒いてわけだ。
さっと服を脱いで、タオル1枚を持った。ウキウキ、ワクワク!内湯をスルーして目的の混浴露天風呂へ。扉を開けたら眼の前にサンダルが入った下駄箱があった。なんであるんだろうと思ったが、どうでもいい。急ぎ素足で緩やかなスロープを降りて行った。右下には丸い露天風呂、左側には四角い露天風呂、その先に混浴と看板が表示された露天風呂が見えた。あそこだ!露天風呂を横切り、さあ混浴に入ろうとした瞬間、足元が熱くてびっくりした。
僕:「熱ーーーーーいっ!!」
足の裏を火傷したんじゃないかと思った。それほど熱かった。足元をよく見ると小さなホースから源泉が流されていたのだ。熱いわけだ。床が凍結して滑って転倒しないようにとホテル側の配慮なんだろう。
痛みを我慢して混浴の露天風呂に首まで入った。ふぅーっと一息つく。そこから見下ろす万座温泉の雪景色は格別だった。これぞ絶景や!今まで見下ろして温泉に入るなんて無かったなぁ。天候は風も吹かず、青い空と真っ白な雪山、こんなに素晴らしい景色が見られたことに感謝。そんなことを思っていたら背後から妻の声が聞こえた。やっぱり混浴はいい、最高!!
しばらく露天風呂にどっぷりと浸かっていたら体が温まったので出た。惜しい気もしたけど、お腹が空いた。朝から何も食べてないから。着替えてロビーの椅子にどっぷりと座り、大きなガラス越しに外の雪景色を見ながら妻が出てくるのを待った。
妻の呼びかける声がしたので振り返ると、歩み寄ってきた妻が
妻:「あっ!!」
て飛んきょな声を上げた。
僕:「どうした?」
妻が履いていたスノーシューズのソールがパッカリと剥がれ落ちた瞬間だった。僕は何が起きたのか全くわからず、大笑いしている妻の顔をまじまじと見ていた。妻は2歩3歩と歩いて止まり、絨毯に残された1枚の剥がれたソールを指さして笑っていた。
僕:「なんか床に落ちてるよ!! なんだそれ?」
妻:「ソール! 剥がれた!」
妻は剥がれたソールを拾い上げて、スノーシューズの裏とソールを同時に僕に見せてくれた。ようやく僕は何が起きたのか理解できた。
それは十年くらい前、冬の北海道旭川動物園に行こうとなったときに買ったスノーシューズだ。経年劣化で接着剤が剥がれてしまったようだ。ふたりは顔を合わせて大笑いした。たまたま雪が深いだろうと別に長靴をMINIクロスオーバーに積んで置いて助かった。漫才のような本当の話。今でも自宅の玄関に放置してある。
午後12時40分、ロビー上の階にあるレストランへ移動した。レストランに入るとお客さんは2組くらいしかいなかった。少なっ!僕たちは万座スキー場のプリンスゲレンデが見える角のテーブルに腰を下ろした。静かにランチの時間を過ごすことがてきた。とかくスキー場のレストランはスキー客でごった返して、カシャカシャとブーツの音や会話でうるさいものと思っていたが心配無用だった。落ち着いて食事ができたのはとても良かった。
午後2時、ランチを食べ終わった。レストランから見下ろした場所で、スキー板を履いた女性2人がちょっと滑っては転び、起きては後ろに滑りと漫才のようなスキー?を繰り返していた。気になったので寒い外に出てみた。
右手上にブリンスリフト1機が稼働し、次々とスキー客を下ろしていた。正面には幅広いプリンスゲレンデの斜面だ。結構圧雪されていたのでランニングシューズでも歩くことができた。冷たくなったランニングシューズを感じながら、見下ろすゲレンデはきれいで、真新しいシュプールが気持ちよく描かれていた。スキーで滑ってみたいと思った。時間がないのでグッと堪えた。
レストランの下にあるレンタルショップのレンタルメニューを見たらスキーセット2時間で4500円、ウエア2時間4500円だった。滑るなら2時間程度が一番良いなと思いながら、MINIクロスオーバーに妻と乗り込んだ。次の目標は今日宿泊する草津温泉のホテル一井だ。
午後2時40分、雪いっぱいの駐車場からMINIクロスオーバーを出して出発した。既にMINIを所有しているオーナーの方はわかると思うが、MINIはブレーキを踏むと自動的にギアを落としてくれる。エンジンブレーキが効果的に効くよう設計されている。万座ハイウェイの下り坂も雪道で緊張を強いる運転となったが、自動的にエンジンブレーキが効いて結構助かった。後ろに地元ナンバーの軽自動車が迫ってきたときは、車を左に寄せて追い抜いてもらった。そうこうしているうちに嬬恋プリンスホテルが見えてきた。
午後3時、三原の交差点まで降りて浅間白根志賀さわやか街道左折し、県道59号から国道292号を通り草津温泉に向かった。雪道は一切なかったので安心して走ることができた。左手に道の駅草津運動茶屋公園、次は右手に町道草津温泉門が見えるのでここを右折して草津中央通りに入った。草津バスターミナルの交差点をそのまま進めば湯畑だ。右に湯畑、左に白旗の湯が見えた。コンビニ手前を左折、先をもう一度左折して坂を登ると午後3時半にホテル一井に到着した。
MINIクロスオーバーをホテルの人に預けてフロントでチェックイン。広いロビーで椅子もたくさん置いてあった。疲れた体を休ませるのにちょうど良かった。てか、妻を既に椅子に腰を下ろしていた。そんな妻の様子を見ながら僕はMINIクロスオーバーのバッテリーが上がりませんようにと祈っていた。