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蚊に刺されたら爪で十字をつけるのはなぜ？


イラスト・メソポ田宮文明

【カラダの不思議】

いところは、爪でバツをつければ良い」と言うけど、これってどんな意味があるの？

　ムヒでおなじみ、かゆみを科学する池田模範堂・研究室に聞いた。

　「刺された場所に爪で十字やバツなどの跡をつけるというのは、昔から自然に行われてきたことですが、近年になって『痛み』と『かゆみ』の神経は別々であるということがわかってきました。と同時に、痛みとかゆみは互いに影響を及ぼしやすく、通常、痛みのほうがかゆみよりも強く、神経も伝わりやすい性質だということがわかっているんですよ」

　つまり、爪でかゆい場所に跡をつける行為は、「かゆい部分をギューッとつねると、かゆみがおさまる」などと同様に、痛みの刺激でかゆみを遮るという意味からできた習慣だと考えられているらしい。

　また、かゆいところを掻くと、なおさらかゆくて仕方なくなるが、これは掻いたことによって皮膚の血管が拡張することや、皮膚を傷つけることで刺激に弱くなることなどが影響していると考えられているようだ。

　さらに辛いのは、手や足の指先を刺されたとき！　なぜ痛痒くなるのか。また、指先には脂肪もなく、美味しいとは思えない場所なのに、なぜ刺されるのか。

　「指先は神経が集中しているところなので、蚊に刺されると、他の部位に比べて刺激を感じやすいといわれています。また、手の指先は代謝が激しいところで、他の部位より汗もかきやすいのです。蚊は二酸化炭素を察知して寄ってくる性質があるので、細胞の代謝で発生する二酸化炭素をかぎつけ、寄ってきやすくなるのではないかと思います」

　また、蚊は汗のニオイに寄ってくるので、手や足をよく洗い、常に清潔に保つことも大切だそうだ。

　かゆい場所は決して掻かずに、素早くかゆみ止めの薬を塗るのが一番。また、薬がない場合には、刺された場所を拭き取ったり、皮膚の付着物を洗い流して、冷やすだけでも、かゆみは多少軽減するそうだ。ぜひお試しを。


(夕刊ﾌｼﾞ 08/13 17:00)