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イイね!
2012年09月05日

小説 幼馴染 第14話

一気に時間が飛びます。
高校受験前日のお話です。

続きをどうぞ


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「幼馴染」

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第14話 試験前日

厳しい受験勉強を乗り越え、試験前日の夕方・・・

事前での模試で何とか合格ラインかなという程度になっていた。
それでもギリギリなラインなので受かるかどうか受けてみないとわからない。
そんな微妙な状態の俺は落ちたらどうしようという脅迫観念にかられ、
前日だっていうのにいまだに勉強をしていた。

ひたすら机に向かっている俺の家に香澄がやってきた。

「ねえ、これからちょっと近くの公園にでも行かない?」

「何で今から?試験は明日だぞ。香澄と違って俺、受かるかわからないギリギリなラインだから、少しでも勉強したいんだけど・・・」

そんなこというと香澄はちょっと呆れたように

「前日にいまさら焦って勉強しても遅いよ。後はリラックスして心落ち着けて明日に向かった方がいいって」

「そ・そうかなぁ」

「そうだって!!だから公園行こ♪」

確かに前日にムキになっても仕方ないか、これまでもやれることはやってきた。
それに、香澄の笑顔で「行こ♪」なんていわれたら断れるわけ無いじゃん・・・

ダウンを羽織って2人で家を出た。

公園に向かって歩いている最中ふと香澄を見るとあれ?香澄と目線の高さが同じになっている?
背が伸びている自覚はあったけど、もしかして香澄と同じぐらいになったのかな?

牛乳が効いたか、俺が成長期に入ったか、どっちにしてもこれはいい傾向だ!!
そんなことを考えながら香澄を思いっきり凝視していたらしく

「ねぇ・・・何でそんなに私のこと見てるの?なんか変だよ。」

「・・・ふへぇ?」

あれこれ考えているときに突然声をかけられたものだから間抜けな返事をしてしまった。

「い・いや、な・なんでもないよ」

しどろもどろで答えるとどうも香澄は変な風に受け取ったみたいで・・・

「また変なこと考えていたのでしょ。」

と大きなため息とともに言われてしまった・・・
いやいや変なこと考えていませんよ。考えていませんって・・・でも背の話は言えないし
こっちじっと見ているし・・・もういいです・・・変なこと考えていたってことで・・・

「・・・すいません」

謝って、これでいいかな・・・

「まったく・・・」

再度ため息まじりに言われてしまった。俺は変なこと考えてないのだけど
機嫌が悪くなってもしょうがないので仕方ない。

そんな話をしているうちに公園に到着。

冬の公園のそれも夕方、もうまもなく太陽が建物の影に消えそうな薄暗くなってきた時なので、
さすがに誰も公園にはいなかった。そんな静かな公園の奥のベンチに2人で腰掛けた。

ここはすぐ脇に自販機と街頭があるので日が落ちても明るい。
これが夏だったら虫だらけでとてもいられないだろうけどさすがに今は冬だから
全然虫はいなかった。そしてこのベンチは公園の外から見えにくい死角になっている
ところなので落ち着いて話ができるかなって感じの場所だった。

ところで何で香澄は俺を公園に呼んだ?ついてきていまさらながらに不安になってきた・・・
まさかここにきて別れ話とか無いよね・・・
「実は・・・他に好きな人ができた」とか言われちゃったりするのかな・・・
いったい何の話なんだよ・・・ものすごく気になる・・・でも聞きたくないような気もする・・・

「・・・くん?」

「・・・しくん」

「よしくん!!」

「!!」

そんな考えをしていたら香澄の呼ぶ声が聞こえてなかった。
現実に呼び戻された。

「ちゃんと聞いてる?」

「聞いてるよ」

「ほんとに?」

「いよいよ明日だね。」

「だね」

「今まで一生懸命勉強してきたからよしくんもきっと大丈夫だよ。受かるよ。だって一緒に勉強してきたじゃない。ずっと見てきたからわかるよ。たから今日は明日に備えてゆっくりしようよ。」

そういってくれた。なんか肩の力がフッと抜けた気がする。きっと俺が入れ込みすぎて
いるのを気にしてくれたんだな。ありがたいリラックスして明日に向かえそうだ。

「でね・・・」

「今言っておきたい事があるんだけど・・・」

香澄が俯きながら恐る恐る聞いてきた。
なんだその神妙な顔は・・・まさか・・・
うわー・・・マジかよ・・・マジに別れ話か・・・聞きたくないよ・・・
別れたくないって・・・香澄そんな話しないでくれ・・・
そんな俺の心の叫びを無視して香澄は話を続けた。

「その・・・」

「・・・な・なに?」

「あのね・・・あたしたちあの時から受験もあったし大きな進展ないでしょ・・・」

進展が無いから別れるって言うのか・・・だったらもっと強引にしておけばよかった・・・
いやいやこれから大事にするからさ・・・お願いだから別れるって言わないで!!
ひたすら心の中で叫んでいた。

「だからね。もしこの試験に合格できたら・・・」

ん?話の展開がなんか・・・違う?

「・・・よ・よしくんと、デートしたいんだけど・・・いいかな」

「え!?」

香澄からの突然のデートのお誘い。
そして香澄は恥ずかしそうに俯いて真っ赤になっていた。

こいつかわいい!!てか、俺が誘う前に香澄から誘われちゃったよ・・・
受験が終わるまでは・・・いや背が香澄を超えるまではって思っていたのだけど・・・
でもせっかく誘ってくれているに断るわけには行かないよな・・・
でも背が・・・気になるんだよなぁ・・・どうしよう・・・でもデートはたしかにしたいし
おそるそる出した答えは・・・

「もちろんだよ。」と返事をしたら緊張していたせいか思わす声が
裏返ってしまって返事をしてしまった。

恥ずかしい・・・そんな裏返った俺の返事に気が付かないのか
「・・・ありがとう」と答える香澄。

断る話でもないし、OKでよかったよな。背のことは・・・きっと大丈夫だよな。俺の問題だし・・・
でも別れ話でなくて・・・

「よかったぁ~」

思わず、口からこぼれ落ちた・・・

「どうして?」

「・・・だってそんな神妙な顔して話し始めるから別れるとか言われるかと思ったよ」

「えぇ~そんなこと思ってたの!!」

「大丈夫だよ。私は今までもこれからもずっと・・・好きだよ・・・」

最後の方は聞こえるか聞こえないほどの小さな声で香澄言った。

「ほんとに?」

「・・・ほんとだよ」

「じゃ・・・よしくんは?」

「おれ?」

「俺は・・・香澄のこと誰よりも大好きだよ。」

「うれしい・・・」

そうして頬をほんのり赤らめて答えた。香澄、むちゃくちゃかわいい!!

「入試がんばろうね!それで一緒に学校行こうね!」

なぜか今日の香澄はえらく積極的な気がする。気のせいかな?どうしたのだろ?

「香澄、今日はどうした?なんかえらく積極的な感じがする」

そうすると香澄はまた顔を真っ赤にして俯いてしまった。
俯きながら胸の前で両手を合わせて握り締めながら小さな声で話し始めた。

「・・・あのね。彩香ちゃんがキスしたのにそれから進展が無いのは、おかしいって・・・」

「普通デートとか・・・行くし、それ以上の・・・あ!なんでもない」

「だからよしくんは、私のこと好きじゃないじゃないかって彩香ちゃんが言ってきたの」

「急に心配になって今日着ちゃったの」

「そうだったのか・・・ごめん。心配かけてごめん・・・」

う~ん。ちゃんと言っておいた方がいいかな・・・
背のコンプレックスの事・・・それが原因でデートに誘えなかった事を・・・

「さっきも言ったけど俺は香澄のことが誰よりも大好きだよ。そして誰よりも似合う男にもなりたいと思っている。だからこそ聞いてほしい事がある」

意を決して香澄に黙っている事ができなくなって正直に話してみようと思った。

「・・・なに?」

真剣な眼差しで香澄を見つめていたせいか、香澄もこちらの目を見つめていた。

「・・・」

「・・・」

しばし二人の沈黙が続き、香澄は俺がしゃべり出すのじっと待っていた。俺は重い口を開いた

「デートに誘ってくれた事はとっても嬉しいし、とても行きたい。だからもちろんOKだよ。」

「だけど・・・」

「・・・だけど?」

「香澄の事大好きだだけど、今の俺は・・・香澄の隣に立てる自信が無い・・・」

「えっ!?どういうこと?」

こんな話し方じゃわからないよな・・・ことの始まりから香澄に話し始めた。

「覚えるよね。俺が小学校4年の2学期から一緒に帰ることを誘わなくなったの」

「覚えているよ。わたしにはちょっとショックだったもの・・・」

「・・・ごめん」

「ううん・・・気にしないで」

「あれって、理由があったんだ。その時に俺はものすごいショックな事があったんだ・・・
他の人にはしてみれば些細な事かもしれないけど・・・思いのほかショックでそれから
香澄を誘う事ができなくなった。」

「なにがあったの?もしかして私が何かしたの?」

「香澄は何もしてない。俺が勝手にショック受けただけだよ。」

「・・・小学校のときの通信簿ってその時の身長が書いてあるでしょ。その身長が始めて香澄の方がちょっとだけ高くなっていたんだよ。それまで俺の方がずっと背高かったのに追い越された。その事実に俺はすごいショックだった・・・それから帰りの時、香澄を誘えなくなった。それから身長差は開く一方でますます自身がなくなっていた。そうしているうちに俺は身長の差がコンプレックスになって、それは今でも身長は気になる・・・」

「そうだったんだ・・・背で悩んでいたんだ・・・知らなかった。」

「恥ずかしくて言えなかった。だから香澄をデートに誘えなかった。本当言うと香澄の背を追い越したら自信を持ってデートに誘いたかったんだ・・・でも香澄に先に誘われた。」

正直どうしていいのかわからない・・・もちろんデートはしたい。
もちろん行くと言ったのだから香澄とたくさんいろんなことをしたい。楽しみたい。

でも背が・・・どうして俺って背が低いんだろう・・・
香澄より背が低いそれが気になってなかなか行動に移せなかった。

そのせいで香澄に要らぬ心配をかけてしまった。好きなのにどうして俺は・・・
気持ちがはっきりしないまま情けない事をつぶやいていた。

「どうして俺って背が低いんだろう・・・情けないよね・・・」

「なに言っているのよ。まだまだこれから伸びるよ!たとえ伸びなくてもよしくんは、よしくんだよ。私は今のままのよしくんが好き。身長が伸びようがそのままであろうと私の気持ちは変わらないよ。返ってくよくよしているよしくんを見るほうがヤダよ。」

香澄に言われて俺は心が軽くなった。身長のことは気にならないわけではないが
そのままの俺を受け入れてくれる香澄に感謝と共により好きだという気持ちが大きくなった。

感謝の気持ち込めて「ありがとう」と香澄に言った。

そして、俺は香澄の方をみて瞳をじっと見つめた。
しばらく無言の時間が・・・時間にして1~2秒が数十秒にも感じるほど長かった。

どちらともなくお互いの顔が近づき、静かに目を閉じそっと唇を重ねた。

香澄とキスで俺はネガティブになりすぎていた心が唇を重ねた事で俺の心はすごく軽くなった。
なんだか身長の事を気にせずに行かれそうな気がしてきた。まずは明日の受験をクリアしない事にはデートとか言ってられないしがんばらないと香澄といろいろ話ができたおかげで本当にリラックスできた。
おかげで、唇が離れると自然と感謝の気持ちが言葉となって出てきた。

「香澄・・・本当にありがとう。」

そして・・・

お互い精一杯明日の試験を頑張ろうねと約束して家に帰った。




続く    戻る
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Posted at 2012/09/05 23:19:50

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