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2025年08月05日 イイね!

北米のVCエンジンリコール考察

1か月ほど前、北米のVCエンジン搭載車45万台のリコール届出の話が、北米の自動車関係サイトで話題になってました。日本ではリコール対象ではありませんし、後述の理由で個人的にも心配はしていません。

北米のサイトでの記事:
Nissan and Infiniti Recall Over 400,000 Variable-Compression-Engine Vehicles in the U.S.
NHTSA Closes Probe Into Nissan VC-Turbo Engine Problems, 444K Vehicles Recalled

北米では8月25日から順次オーナーに連絡が届くそうで、今月末から全数の対応作業が始まるのだそうです。

そもそも、どういうリコールなのか。なぜ北米版はリコールなのに、日本版は大丈夫なのか。公開されている情報などから推測してみます。

NHTSA(米運輸省高速道路交通安全局)への届け出の原文には、エンジン内のすべり軸受け(クランクシャフト、Aリンク、Cリンク、Lリンク)の製造問題の可能性、とだけ記されていてそれ以上の情報がありません。
またその対処は、ディーラーに持ち込まれた対象車体のエンジン内を検査して、オイルパンに金属粉が混じっていなければ問題なし。エンジンオイル交換をして返却。
オイルに金属粉が混じっていたら、エンジンを載せ替えて、ECUをリプログラミングして返却、だそうです。

また、いくつかのサイトの記事では、エンジン回転の過負荷時に、エンジンに過負荷振動が加わるなどして、すべり軸受けの一部の油膜が切れ、微小損傷が起きて金属粉がエンジン内に混入、オイル潤滑が妨げられ高熱損傷が起きるリスクがある、ということだそうです。

2023年から始まった予備調査で、約45万台の対象車(北米版ROGUE/CVT、Altima, Infiniti QX55,QX50)のうち、約1800台にエンジントラブルが起きていたそうですが… 故障率は 0.4% ですね。

ここからは想像ですが…

VCエンジンは機械的なリンク機構を多用して、上死点と下死点を物理的に移動させています。通常のエンジンの代表的なすべり軸受け箇所は、
 ① ピストンヘッドとコンロッド
 ② コンロッドとクランク
 ③ クランクシャフト(メインシャフト)
の3か所です。一方でVCエンジンのすべり軸受け箇所は、
 ① ピストンヘッドとコンロッド
 ② コンロッドとLリンク左端
 ③ Lリンク中央とクランク
 ④ Lリンク右端とCリンク(コントロールリンク)
 ⑤ Cリンクとコントロールシャフト
 ⑥ コントロールシャフトとAリンク(アクチュエーターリンク)
 ⑦ クランクシャフト(メインシャフト)
の7か所にもなります。このうち、①と⑦クランクシャフトは同じ構造、⑥はアクチュエータが動く時だけのリンクなので、エンジンの高速回転時の大きな負荷の違いは、②、③、④、⑤ のすべり軸受に大きな差として表れてきます。しかもこの4か所は気筒ごとに必要な軸受けになるので、3気筒だと3倍の数の軸受け箇所が増えてきます。

VCエンジンは通常エンジンに比べて、大きな応力を受けやすい滑り軸受けの箇所が4倍以上もあり、そのすべての軸受けでオイルによる油膜を常時正しく張れていることが正常に動く条件になります。
通常エンジンだと一番応力がかかるのはコンロッドとクランクの接触部分の軸受けなので、この部分の潤滑をどうするかを考える、ということになります。

一方でVCエンジンは4か所それぞれに別々の方向の応力がかかってしまうので、この4か所の軸受け全ての潤滑をスムーズに行うことが必要になる、という難しさがあるのだろうと思います。
例えば、コンロッドとつながっているLリンクは常時上下に運動してしまうので、Lリンクの両腕の②と④の軸受け箇所への潤滑油の供給はものすごく大変です。実際にはLリンクの②④と③の間に潤滑油が通る穴が貫通していて、クランクシャフトの内部から③に供給されるオイルがこの穴を通して②④の接面にまで吹き出して油膜を張る、という離れ業が使われています。(しかも超超鋼のLリンクの穴の切削加工と面取り加工は超絶難易度)

また、北米版VCエンジンは、1000rpm程度のアイドリング時から、アクセル全開の4000-5000rpm での過負荷状態まで、様々な稼働状況になります。この時、エンジンの負荷状況に応じて、Aリンク、Cリンクがせわしなく無段階に動き、Lリンクによって上死点/下死点が無段階で可変になり圧縮比が変化する、という動きになります。当然、それぞれの軸受けは過負荷な状態が状況に応じて頻繁に発生することになるのだろうと思います。

加えて。エンジンオイルを適切に交換している車体なら、過負荷な状態でも潤滑は正常でしょう。でも北米の場合、① 高温多湿でオイル劣化しやすい日本と違い、乾燥した地域が多い欧米ではオイル交換間隔が長い、② 車検も点検も一律な制度はなく整備はユーザー任せ、③ 廃棄オイルの環境影響を下げる意識が高い、などから、数年、数万キロ乗ってもオイル交換しないという人も居ます。エンジンオイルの劣化が進み高粘度なった車体もあるのだろうと思います。
ただでさえ過負荷な軸受け状態になりやすい4か所の軸受けに高粘度(いわばドロドロ血)のオイルでは行き渡らず、どこかで油膜切れが起きてしまい、金属粉が生じてしまったのではないか?と想像します。

例えば、「今まで、2年間エンジンオイル交換しなくても、他の車体では焼き付きなど問題は起きなかった!VCエンジンはどうして問題が起きるんだ!?」といったクレームも出てくるのだろうと思います。VCエンジンは特殊なんです、小まめなオイル交換が必要なんです、と弁明しても、陪審員制度の北米の裁判では、多くのケースで消費者側に有利な判断が下されます。メーカー側としては集団訴訟の陪審裁判になると相当厄介です。

それならば、全数リコール扱いにして、一旦ディーラーで検査して、金属粉がなければオイル交換で問題なしとして返却。金属粉がある車体だけ、エンジンを交換して、今後定期的にオイル交換させる、という対策をとる方が得策だろうと判断したのではないか?と推測します。

金属粉が見られる車体への対策も、エンジン載せ替えに加えて、ECUのリプログラミングになってます。恐らく、アクセルべた踏みなどの過負荷時に、VC機構が緩やかに作動するようにリミッター調整される変更が入っていて、軸受けに過負荷が生じないようなセッティングになっているのだと想像します。


日本では問題が起きないか。

資料によれば、VCエンジンは全数、横浜工場で製造され、北米向けには組み立て済みVCエンジンとして出荷されているそうです。なので、日本版エクストレイルT33のVCエンジンも、同じ横浜工場で同じ製造方法で作られていると思われます。

ですが、T33で使われるVCエンジンはe-powerの発電専用です。アイドリングもなければ、4000-5000rpmで急峻に回転数が上がるような使われ方もしません。多くのケースで、2000-3000rpm の「定速回転」であり、過負荷状態が続くことも無ければ、VC機構も緩やかで、急峻な動きもしないのだと思います。

それはそれで、本来のVC機構の性能の1/3も使ってないような気がしてもったいないですけど、逆に、VC機構が過負荷状態にほとんどならないので、軸受けの過負荷状態にもなりにくく、油膜切れによる金属粉の混入も起きないのだろうと思います。

また、日本では車検制度があるので、ほとんどのユーザは1年に1度~1万キロに1度はエンジンオイルを新品交換します。劣化オイルによる潤滑異常も起きないんだと思います。


VCエンジンは機械的に圧縮比の可変状態を作るという、30年以上に渡るチャレンジングな研究開発を具体化して量産化した、すごい技術の塊だと思います。開発陣には敬意を表します。
一方で、複雑な機構であるがゆえに物理的な問題も起きやすくなるのは致しかたない。通常はそういうトラブルを次々と解決して技術進化していくのですけど、VCエンジンが実現するアトキンソンサイクルは、吸気バルブ遅閉じで実現されるミラーサイクル(擬似アトキンソンサイクル)と、熱効率の点では大差ないことが分かっています。

製造のムヅかしさ、複雑機構から生じる課題、生産効率などの経済合理性から、機構的にアトキンソンサイクルを実現したVCエンジンは、もしかすると1代限りのエンジンになってしまうのかもしれません。
Posted at 2025/08/05 17:52:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | XTRAIL | クルマ
2025年07月29日 イイね!

EV化減速と日産の工場閉鎖

トランプ関税は一応は15%で踏みとどまったようです。石破さん/赤澤さんら政府交渉チームはほんとによく粘り強く交渉されたと思います。そもそもがあんな大国の論理を振りかざす恫喝的貿易圧力があり得ないわけで…

輸入側が払う関税分を誰が負担するのかが各自動車メーカーの調整になるんでしょうけど、半分は販売奨励金、半分は値上げ(US消費者負担)になるんですかねぇ。いずれにせよ北米の購買力は落ちるので、各メーカーのグローバル生産計画と販売戦略がどうなっていくのか。今年~来年の生産実績、販売実績が注目です。

そんな中、世界のEV製造&販売は大幅な減速が進んでいます。

ホンダはEV車種の開発中止を発表してますし、EV戦略の見直しも表明してます。

中国のEV市場は在庫が大幅にダブついていて、中国のEV最大手のBYDは在庫一掃するため全車種30%以上の値引きをやっていて他社も次々追随。激しいダンピングが起きているようです。

そんな中、日産は東風日産と作っているセダンBEVのN7が売れているらしく、なぜか中国のBEV開発を加速しようと投資をかけるらしいです。
どういうこと?世界中どこもEV生産から大幅に手を引こうとしている中で…

メキシコへの関税は25%~35%で未妥結。メキシコ、ブラジルで生産し北米に輸出するのは厳しくなっています。日産の北米市場向けメキシコ工場も閉鎖が発表されました。日本からの輸出は15%関税ですが、日産の追浜工場の閉鎖も発表されています。

そもそも日産の過剰生産の元凶は、ゴーン時代に投資設立されたインドネシア工場、タイ工場の大失敗(過剰生産と販売低迷)が原因です。この2工場も縮小、閉鎖になるそうですが、その余波で日本もメキシコも閉鎖に。

コストカットだけでは経営は成り立たず、成長をどう実現させるかの手腕が必要ですが、中国でEVがあれだけダブついてるのに東風日産の工場は投資強化。
うーん、日産の経営方針がちぐはぐすぎてよくわかりません。

25年1-6月の国内販売台数ランキング、上位10位のうち8種がトヨタ。ホンダのフリードが4位、日産ノートが8位。国内全部トヨタ車だらけでほぼTHS方式というのは、どうも個人的には楽しくありません。各社の経営を頑張ってもらって、これからも各社の特徴ある車から選択したいところです。
Posted at 2025/07/29 13:03:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2025年07月18日 イイね!

在りし日のX4を想って

昨年のいまごろ(2024年7月ごろ)BMW X4 の生産中止 があちこちのWebニュースで掲載されていました。(carview! / BMWファンページ / VIETNAM.VN

2018年ごろは都内や高速道を走っていると、日に数台は X4 とすれ違うことがありましたが、今は良くて X1 を見るくらい。X4 や X6 はおろか、X3 や X5 を見る日もほとんどありません。

欧州はBEV化に突き進み過ぎてHV開発を疎かにし、HVといっても48Vモーターを載せるくらい。BEV化も失敗。日本ではHVが人気の主流でBMWを選ぶ人も減ってきているのでしょう。私も X4(F26)を10年乗り、後継にBMWのHVを待ち望んでましたが、とうとうマトモなHVは出てこず。そんな中で 日産/X-TRAIL/T33 のフル電動e-POWERの乗り味に惚れ込んでしまったクチです。
価格帯もどんどん値上がりし、キドニーグリルはどんどん巨大化し、デザインも好みから外れていきました。

X4/F26/20iは直列4気筒/2000cc/縦置き/FRベースの四駆(xDrive)ですが、燃費はすさまじく、高速で10km/l、市街地で7-8km/l、しかもハイオク仕様。
対して X-TRAIL/T33 は高速 18km/l、市街地は20-22km/l でレギュラーガソリン。加速感も半端ないし e4ORCE の安定感もよろし。こんなHV見せつけられるとなぁ、という感じはします。

とはいえ、FRの独特の走り、高速でのフラットライド感と安定感、美しいクーペスタイル、内装の上質感は、さすが BMW X4 と思います。

そんな X4 もあとは在庫のみの販売です。いまでもほとんど街中で見かけないですが、まもなく目にする機会は無くなります。

まぁそうなるんだろうなぁ、という気はします。
X4もX6も、北米と中国がメイン市場で、これらの国では「より大きなSUV」 が望まれています。全幅2m越えのX4, X6は、日本ではとっても扱いにくい。F26型のX4がギリギリ 1880mm で 1.9M の駐車カーゴに入るサイズでしたが、それより大きいと実用面では使いにくくて仕方がないでしょう。

トランプ関税も悪影響してると思います。
X3/X4は北米工場で製造されてますが、パイプ類はハンガリー、樹脂や生地は東南アジアと、世界中からグローバル調達されてます。これらが北米に輸入されるごとに莫大な関税がかかってしまう。X4の製造原価は跳ね上がり売価も上がる。それを日本市場で売るのは… 無いでしょうね。

それに、2代目X2(U10)がX4の外観に近いクーペスタイルになり、2000cc, 300Nm でトルクフル。サイズ感も良いし、お値段もお手ごろ。日本市場だと X2/U10 がいいじゃん、になりますね。

とはいえ、X2/U10 は 2000cc/4気筒の「横置き」なので FFベースの四駆(xDrive)です。BMW独特の腰の後ろから押されるようなFR感はない。代車でX1/F48乗りましたが、やっぱりFFだなぁと感じました。個人的にはX2/U10は選ばないだろうなぁ。

とにもかくにも、もうすぐ市場から消えてしまうけど、クーペスタイルSUV のジャンルを切り開いた X4 に先駆けて乗れていたことは幸福だったなぁと思います。



Posted at 2025/07/18 17:13:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | BMW | クルマ
2025年04月10日 イイね!

キャシュカイ(QASHQAI) 第3世代e-power 日本でも売ればいいのに

新型キャシュカイを使った「第3世代e-power」の試乗会動画、キャシュカイ(QASHQAI)ホントいい車ですねー
・藤トモさんの試乗動画
・河口まなぶさんの試乗動画
・ワンソクさんの試乗動画

サイズ感はエクストレイルT33(L4660-W1840-H1720)よりほんの少し小振り。全高・全長を切りつめ(L4425-W1835-H1625)、テールに向かって流れるようなクーペスタイルになっていて小振りでシャープな印象です。フロントマスクも甲冑をイメージしたデザイン性が高いもので、古臭くて評判がよくないVモーション・グリルとは一線を画しています。テールランプもとてもおしゃれだし、リアビューもとてもヨーロピアン。イイですねー

内装はエクストレイルT33とほぼ共有しており、上質だし高級感がある。もちろんパワートレインはT33と同じで文句なし。しかも第3世代e-powerが搭載予定の次期モデルは、静粛性も高まった上に高速燃費15%、モード9%アップ。WLTC=20.6km/l と予想されます。しかも300Nm越えのトルクで走りも軽快でしょう。

クーペスタイルSUVは、BMWがX6でSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と銘打って最初に市場に出したジャンルですが、初めて街中で観た時、スタイルの良さに衝撃を受けました。乗りたい!と思って(さすがにX6ではデカ過ぎて取り回ししにくいので)BMW X4を買ったのが2016年でした。クーペSUV好きなんですよねー
BMW X6,X4の登場以来、このクーペSUVは市場でも人気になり、メルセデス/GLC、audi/Q3、ポルシェ/マカンなどなど軒並み各メーカーからクーペSUVが出るようになるくらい、欧州では人気のジャンルです。
キャシュカイもクーペスタイルSUVの一種で、欧州ではとても人気。すでに13万台も販売されているそうです。(国内T33が累計7.6万台なので相当な人気ですね)

日本にも導入すれば売れると思うのに、販売予定はない模様。うーん!なぜなんでしょう??

日産UKで製造されてるので、右ハンドル仕様はあるはずです。UK仕様はウインカーレバーが左、ワイパーレバーが右と、日本とは位置が左右逆ですが、エクストレイルT33と部品は共有しているはずなので、ハンドルを外してウィンカー&ワイパーレバーブロックを国内T33用と付け替えれば、電装接続ハーネスを差し替えるだけで左右は簡単に交換できるはずです。

日本仕様の付け替えは工場ではなく、ディーラー整備としてやってもらえば済むし、作業費5万円くらいは追加請求してもイイんじゃないでしょうか。
ちなみに、欧州車のライトスイッチはこんな感じの回転スイッチが多いんですが、キャシュカイのライトスイッチは内装動画を観るとT33と同様に「ウィンカーレバーに付いている」ので、国内T33のウィンカーレバーと交換すればそのまま日本仕様として使えるはずです。
日本の保安検査を通す必要はあるでしょうけど、そもそも欧州の保安検査の方が厳しいので難なく通るでしょう。


キャシュカイは以前、日本では「デュアリス」として販売されていたそうです。
ところが、デュアリスとエクストレイル(T32)の「サイズ感がほぼ同じ」であること、ノート / ジューク / デュアリス / エクストレイル というラインナップが多すぎることから、ジュークとデュアリスが廃止され、間を埋めるサイズ感として「キックス」が設定された、という経緯があるようです。

で、問題なのが「キックス」です。キックスの販売台数は年間1.5万台、月平均1300台と、全然売れていません。乗り出し5百万円もするエクストレイルT33が、受注停止などいろいろあっても年間2万台以上売れているのに比べると、惨憺たる結果です。
「サイズ感としてノートとエクストレイルの中間サイズを投入すれば売れるだろう」という、頭の中の理論でしか考えてない人が作ったマーケティングセンスの車という感じがします。(実際、先日退任するまで車種マーケティング担当役員だった人は、今まで車づくりを全く経験してない某社外の人でした)

キックスのサイズ感はL4290-W1760-H1605、価格は308万円です。ジュークがL4135-W1765-H1565、価格は175万円。トヨタ/ライズがL3995-W1695-H1620、価格は180万円です。
キックスやジュークは、後席に大人が乗ると足元は狭くヘッドクリアランスも無い。逆に子供2人を乗せるには全体のサイズが大きく、燃費も悪く、キックスだと価格は倍。非常に中途半端です。
大人4人で乗るならワンランク上のサイズが必要だし、両親+子供2人ならワンランク下のサイズ感、値ごろ感、燃費が手ごろになります。

トヨタはこのことをよくわかっていて、キックスと同クラスの「C-HR」は販売終了になってます。代わりに、ワンランク上のサイズ感(大人4人が余裕で乗れる)は「カローラクロス」(L4490-W1825-H1620)や「RAV4」が用意され、下のサイズ(大人2人+子供2人)は「ライズ」や「ヤリスクロス」(L4180-W1765-H1590)が用意されています。
キックスは、300万円もする車の割にはサイズが小さく大人4人が乗るには窮屈だし、大人2人+子供2人が乗るには大きく値段が高すぎる、ということですね。

トヨタ/ライズは、キックスより一回り小さく、価格も6割程度で、燃費も良い。ライズと同等クラスが、日産インド製造のマグナイト(L3994-W1758-H1572)になるわけですが、日本での販売計画はない。

逆に一回り大きく、大人4人が楽に乗れて価格も300万円台で燃費が良い車が日本では売れていて、トヨタ「カローラクロス」やホンダ「ヴェゼル」がこのマーケットに宛がわれているのだと思います。

キャシュカイはまさにこのマーケットにピッタリで、カローラクロスやRAV4、ヴェゼルやZR-Vと同じサイズ感・値ごろ感・燃費感を求めるマーケットにウケるとおもいます。日本で売らないなんて、ほんと、もったいないですねぇ。
Posted at 2025/04/10 13:42:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | XTRAIL | クルマ
2025年04月04日 イイね!

第3世代e-powerに期待大

第3世代e-powerが発表されました。
youtubeにも、キャシュカイを使った試乗会動画(従来型(VC-turbo+第2世代)と次世代型(新エンジン+第3世代))がいくつか上がっています。
・藤トモさんの試乗動画
・河口まなぶさんの試乗動画
・ワンソクさんの試乗動画

どの動画を見ても、今まで以上にものすごく静粛振動もなくますます上質感とEVそのものの走りだ、という評価でした。特にワンソクさんの一般目線から見た「驚きの声(マジか!)」は、実感がこもってるんだろうな、と思いました。

また第3世代は、高速域の燃費が15%、WLTC総合モード燃費で9%も改善しているそうです。キャシュカイ(第2世代)が 18.9km/l なので、20.6km/l になりますね。
欧州は街中の渋滞もあるし、アウトバーンなど高速ツーリングもあるので、高速燃費の向上はウケるでしょうね。

技術的には、①ロングストローク、②定速回転、③STARC燃焼、④駆動系のx-in-1構造 に振り切った設計が特長なのだと理解しました。

①のロングストローク化。レシプロエンジンは、爆発力によって生み出されるエネルギーをなるべく長いストロークで運動エネルギーに変換する方が、エネルギー変換効率は良くなります。同じ排気量なら、ボア(シリンダの直径)を広げるより、ストロークを増やした方が熱効率は高くなります。その分、上死点から下死点までの移動時間は長くなるので、1回転にかかる時間が長い、つまり、アクセル開度に対して反応の遅いエンジンになります。

通常の速度域(停止0km/hから、高速120㎞/l)でまんべんなく反応が良くトルクを稼げるエンジンを作ろうとしたらストロークは長くできず、結果、熱効率を上げることはできなくなります。
直接駆動にかかわらない第3世代e-power専用エンジンだとエンジンの反応速度は走行フィールとは全く関係なく無視してよく、一定のエンジン回転域にだけ合わせた最適なストロークを設計できるので、ロングストローク化が可能になったというわけですね。

②の定速回転。ロングストローク化ができれば、一度の爆発から取り出せるパワーも高くなります。その分、強い力で発電機を回すことができるため、高負荷時にもエンジン回転数を高く上げる必要が無くなります。現行VC-turbo版第2世代だと、どうしてもエンジンパワーが得られないときは結構高回転にエンジンが回る音がしますが、第3世代だとそもそも同じ回転域でパワーを回収できるし、エンジンを回すとしても回転数も低く抑えられるんでしょうね。

③のSTARC燃焼。通常のエンジンだとアクセル開度に応じて俊敏に回転数を変動させないといけないですが、発電専用に割り切り、定速回転しかしない第3世代e-power専用エンジンだと、定速回転に最適なタンブル流で吸気させて、燃焼を安定させ引き出せるパワーを最大化させる、という大胆な設計ができるようになった、ということですね。すべて発電専用に割り切った(最適化した)設計の見直しがなされているんですね。

④駆動系の一体化。エンジンから生み出されるエネルギーの11%は、振動やギア摩擦などの内部機械損失として失われます。駆動系を一体化すると、この振動や摩擦による機械損失を減らせるのですね。組み立て時の生産効率も上がるので、コスト削減にも大きく寄与すると思います。
その分、パッケージングが重要になります。できるだけ多くの車種で、同じパッケージを使って生産効率もコストも抑える必要がある。バリエーションの複雑化は禁物です。第3世代e-powerは、1.2L版、1.4L版、1.5L版 の3系統に絞ることになるんでしょうね。(となると、VC-turbo版e-powerは、現行エクストレイルだけのレア設定で終わるのかもしれません)

欧州では、キャシュカイは13万台、エクストレイルは6万台のヒットで、走りや振動、車内静音の上質さが評価を受けているようです。
欧州はダウンサイジングが一般的なので、1.5L/3気筒エンジンは問題なく受け入れられています。そこに静粛性が高く、高速ロングドライブの燃費の良さも加わったら、さらなるヒットが期待できますね。楽しみです。

第3世代e-powerの方式で高速燃費が向上するなら、e:HEVのような「直結機構」は不要になります。逆にここまで発電専用に割り切ったエンジンでは直結機構は作れない(アクセル開度に合わせた応答性がないエンジンでは直接駆動に向かない)ということも示していますけれど。ただ、欧州や日本ではこの発電専用設計は「当たる」と思います。個人的にもこの戦略には賛同します。静かで、燃費もよく、走行フィールもpure EVと同じなら、良いことづくめですし。

一方で北米向けにはどうか?
マスコミは「e-powerは高速燃費が悪いから投入できない」と評論してますが、それは違う、と個人的には思ってます。それよりも北米では「エンジンは2L以上、4気筒以上」神話が根強くあり、そもそも1.5L/3気筒エンジンが受け入れられていない、のだと思います。現行の1.5L/3気筒/VC-turbo/CVT版ROUGUEが全く売れてないですから。また BMW X1 は、欧州・日本だと 1.5L/3気筒横置きエンジンですが、北米版 BMW/X1 は 2L/4気筒です! BMWが同じ車種でエンジン排気量を変えている戦略から見ても、北米では1.5Lが受け入れられないことを表しているのではないでしょうか?
第3世代e-powerを搭載したROGUEは2026年に北米投入だそうですが、この神話のせいで受け入れられないんじゃないかなぁ?と心配します。

北米向けに2L/4気筒のシリーズHVを作るとしたら、直結機構は必要になる。2025年に三菱アウランPHEVのOEMをROGUEとして投入するそうですが、その動向を見ながら、次々世代北米向けROGUEには、アウランの駆動系を調達してそのまま組み込む。それしか手はないんじゃないかなぁ。
それとも1.5Lから4気筒化して、2L/4気筒版の第3世代e-powerにするのでしょうか?

これだけ評判の高い第3世代e-powerですが、日本での投入予定はエルグランドから、という話。えー?
重いエルグランドを、1.5L/3気筒の発電力で駆動できるのかしら?それともエルグランド用に「2L/4気筒のe-power専用エンジン」を作る?だとしたらその2Lエンジンを北米ROGUEにも使えば解決かも。

それに、エルグランドからですか?
試乗会で使った「第3世代版キャシュカイ」の右ハンドルを、そのまま日本にも輸入して売ればいいのに。(左ウィンカレバーが駄目なら、そこだけT33エクストレイルのウィンカ&ワイパーレバーブロックに交換すれば良い)

日本での売れ筋はノートとオーラなのだから、第3世代1.2L版でノート&オーラを先に第3世代化した方が、よほど売れると思う。

エクストレイルのフルモデルチェンジ(T34)に入れてもいいと思う。ただそうなると、VC-turbo はT33限りの「レア・エンジン」ということになってしまうけど… それはそれで残念過ぎますけどねぇ。
VC-turboは本来なら、スカイラインやZに搭載すべきエンジンですね。いまの日産の体力でそういう車種は作れないのだろうけど…
Posted at 2025/04/04 13:22:41 | コメント(0) | トラックバック(0) | XTRAIL | クルマ

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「北米のVCエンジンリコール考察 http://cvw.jp/b/2567380/48583596/
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