スノーボードにおっぱまって、パウダースノーの魔力に取りつかれてから、雪にまつわる全てが好きになった。そのままおっさんになって、とうとう雪国に小屋を買うまでになってしまった。車の雪かきですらニヤニヤしながらやっている。大雪の朝、車のまわりに積もった雪の深さは、私の脳内でパウダースノーボーディングの快楽の深さに変換されるので、寒かろうが吹雪いていようが反射的に顔がゆるむ。白い粉に取りつかれた中毒者となんら変わらない。取りつかれた白い粉が100%水からできてるっていうだけだ。
2013年妙高 メルセデスML350ディーゼル 大雪の朝、宿の窓から車を確認する。車の雪の積もり方から昨夜の降雪量はもちろん風向き、強さまでわかる。この場合は、結構な強さで車の左側から吹いていた。
雪が降る。いつも黒いアスファルトがまっしろになる。見慣れた道がいきなりおとぎの国に変わる。どこまでも続くホワイトカーペットは柔らかく、タイヤやステアリングから伝わる感触も優しい。道路脇の木々に積もった雪がキラキラと輝き、雪が音を吸収して静かで、なんともメルヘン♡
ビシッとしまった圧雪路ならそこそこスピードも上げられて、時折ドリフトさせながらゲレンデの駐車場までのドライブのなんと楽しいことか。
2017年旭岳 霧の中、レンタカーのエクストレイルを走らせていると見る見るガスが抜け、輝く旭岳が姿を現した。
スノーボードを始めてかれこれ30年。群馬、新潟、長野、栃木、福島、秋田、岩手、青森。良い雪を求めて東京から車中泊しながらさんざん通った。
年1~2回の北海道遠征もレンタカーで毎回500km。雪なし県の住民としては雪道の経験はかなり多い方だろう。
そんな私からスノードライブの注意点をお伝えできればと思う。
2017年ニセコ羊蹄山 借りた2WDのカローラフィールダーはスタッドレスも硬化して、ちょっとした登り坂でもスリップして最悪だった。
雪道は滑りやすいので当然危険も多い。4WD+スタッドレスで大分グリップを確保することができるのは事実だが、それでも事故は多い。
若いころ≒金も無く無謀だったころ はFRの車や夏タイヤ+チェーンとかで無茶をしてさんざん危ない目にあった。
そういうのは除いて、大人になってからちゃんとした車で怖い思いをしたことは今まで2回しかない。いずれも下りコーナーで制御不能になったケースだ。

2019年信州 BMW X3ディーゼル さんざんいい雪滑って、秘湯で冷えた身体を溶かす。帰り道、霧氷が午後の日差しにキラキラ輝いていた。ああ人生ってすばらしい。
雪道を安全に走る鉄則は、下がったグリップに見合ったスピードで走ること これに尽きる。スタッドレスを履いたクロカン4WDがガードレールに突っ込んでいるのを何度見たことか。上りでグリップするものだから、同じ調子で下りに入って車重が仇となって滑ってしまう。カーブの手前、赤信号の手前ではとにかくスピードを落とすことが一番大事。
2014年戸隠高原 ML350ディーゼル 昨夜の吹雪は朝には止んだ。-12℃の静かな朝、ガラガラと頼もしい3Lディーゼルのエンジン音が響く。路面に降り積もった最高の雪をギュウギュウと踏みしめ、間違いなく最高のコンディションのゲレンデに車を走らせる。ニヤニヤが止まらない。
逆に言うと、止まったり曲がったりする必要のない時、直進時は結構スピードを出してもよっぽど変なワダチが掘られていない限り滑らない。北海道の真っすぐな雪道をおそるおそる走っていると、地元の車に80~100kmでぶちぬかれる。ほーそんなに飛ばせるんだ~とスピードを上げて、コーナーで滑って脇の畑に突っ込む。よくある事故だ。
地元の車はどんなにかっとんでいてもコーナー手前で必ず減速する。それもブレーキは踏まずに、アクセルOFFで減速する。だから登りはいつでも減速できるので、割とハイペースで走ることができる。
知らない道を走る時はナビのマップスケールを調整して、いつもよりずっと先のカーブを意識しながら走ることが大事だ。
2017年旭川 薪ストーブ完備の納屋風のコテージに滞在した4日間、雪は1cmしか降らなかったが、気温が低いため雪質は終始良かった。
気温(路面温度)も重要。-5℃以下に冷えた圧雪路はなかなか滑らない。-10℃以下になるともうスタッドレスがギュウギュウいいながら雪面をとらえ、雪煙を上げながら飛ばせる。
晴れて放射冷却でキンキンに冷えた道央の圧雪路は最高のスノードライブのステージ。除雪のクオリティーも最高で最上級の雪道だ。
2018年旭川 道央の積雪路は最高のスノードライブのステージ。
2020年南富良野 レンタルのインプレッサの温度計。おそらく私のスノードライブ史上最低気温。このくらいになるとスタッドレスは全く滑る気配がない。
同じ気温でも、前日の気温が高くて一度溶けた雪が再氷結した交差点や橋の上のアイスバーンは要注意。うっすら雪がのって下のアイスバーンが見えない時もあるので、こういう日はとにかく注意する必要がある。
地元の車が列をなして20km/hで橋の上を走っている時、前を走る車が(2wdだったかも)20km/hで直進しているだけにもかかわらず尻をふり出してビビったこともある。
気温が高くて湿雪状態になった時も滑りやすい。湿雪は深さやワダチの有無で滑りやすさが変わり、それまでグリップしていたように感じても突然滑ったりするのでこれも注意がいる。直線もワダチ問題があるので飛ばしすぎない方が無難だ。グチャグチャと塩カル混じりの泥水で車も汚れるので、唯一嫌いなスノーコンディションだ。
2022年信州 南岸低気圧だとこの辺りは湿った大雪になる。路面はズルズル滑るコンディション。昼にはあらかた溶けてグジャグジャと車を汚す。
雪の状態をイメージしながら走るのは、スノーボードで滑るのと同じだ。ABSすらついていない軽トラに乗るようになってこのことを強く感じるようになった。
サンバートラック(RRベースの切替4WD+スタッドレス)で雪道を走ると、路面状況に反応してちょいちょい滑りながらドライバーにはっきりと路面状況を伝えてくれる。車重が軽く空荷でも重量バランスが良いので、慣れてくると多少滑らせながらコーナーを抜けられるようになる。要は滑りをコントロールできればいいわけだ。スノーボードのスライドターンと一緒だ。滑りながら向きを変えられればいいし、滑りながら狙った減速ができればいい。
ABSやESCなどの電子制御はちょっとしたスリップを寸前で防いでくれるが、ドライバーから路面情報を遠ざけてしまう。滑らないからとスピードを上げると突然車が制御不能になる。サンバートラックからマカンに乗り換えて雪道を走ると路面状況がふわふわとあいまいで不安を感じることがある。
2022年白馬 今日は嵐の合間の久々の晴れ予報。本番アルパインBCだ。霧の中、サンバートラックを走らせていると突然ガスが晴れ、ピンク色の山稜が顔を出し、思わずアクセルを踏んだ。まってろよ北アルプス!!白い大斜面!!
雪道では慣性力の大きさが問題となるので、軽い車がまず有利だ。車重の前後バランスも非常に重要。BMW・AUDI・SUBARUなどの車重バランスの良い4WD車は滑っても滑り方が自然で、コントロールし易い。フロントヘビーの車は突然滑り出し、一度滑りだすとなかなか体勢を立て直せない。
除雪されてない道を走るのでなければ、デフロックもマスト装備では無く、重たいクロカン4WDよりもインプレッサのような軽くて車重バランスの良い車の方が走りやすい。
私がレンタカーで北海道を走るときは荷室の大きさと雪道の走りやすさから、インプレッサか豪雪地ならXVを選べる限り指定する。今年の北海道で初めて借りたエクリプスクロスもいい車だった。
2020年南富良野 道央の完璧な圧雪路は重心の低いインプレッサ向き。例えるならピステンかけたての朝一のゲレンデカービング。
スタッドレスも重要。まずブリザックはドライ・スノー・アイス・ライフの全方位で最強なのは間違いないが、お値段が高い。他の国産メーカーのスタッドレスも2年目までは大きな差はないように思う。(3年目以降は差が出てくる)海外メーカーのスタッドレス(スノータイヤ)はお国柄で大分性格が異なるので注意が必要。
アイスバーンできかせたければ設置面積を増やしたいのでタイヤ幅は太い方が有利。一方積雪路ではトレッドを雪面により深く食い込ませたいので細い方が有利。ブロックのパターンと合わせてバランスが大事だと思う。
2021年ニセコ レンタカーのXV 重量バランスの良さに加えインプレッサより少し車高が高いので、大雪の朝に駐車場の除雪が間に合わなくても脱出でき、朝一のリフトに遅れずにすむ。
今日は南岸低気圧で朝から関東にも大雪警報が出た。
中央道も通行止め箇所が出てるようだ。どうかみなさまご安全にスノードライブを楽しんでください。