前回はパテを研ぎ終わったとこまででしたね。
ここから塗装屋さんらしい作業になってきます。
どこからどこまでが板金屋さんの仕事で、どこから塗装屋さんの仕事なのかは工場によってかなり違いがあるので、"らしい"という表現をしてます。
自分が知ってる中では
板金してパテ付け後、サフェーサーまで入れている板金屋さんもいれば
鉄板を引っ張りだしたり、溶接した後は全て塗装屋さんに任せてるところもあったり。
前者が理想というか楽をさせてもらえるんですが、、、
パテの形ができてなくて塗装屋さんがパテ入れ直す為にサフェーサー剥がしてたら、板金屋さんが「何が悪いっていうんだ?」と眉間にシワを寄せてやってくるというのがその工場の現実でして。
後者は実際にいる極端な例ですが、できる人にやってもらおうとなるわけで。
ですから塗装屋さんは塗れればいいってもんじゃないということです。
話が脱線しすぎました。
プライマーサフェーサー、略してプラサフを塗るためのマスキングをします。
昔はプライマー塗ったらサフェーサー塗ってーとしてたものが、改良されて1工程に収まった経緯があるようです。
資材費を抑える為に新聞紙使ってます。

新聞紙が塗装面からちょっと浮いてる部分がいくつかありますね。その隙間の奥は行き止まりで袋状となっています。
その少し手前でサフェーサーを散らす予定。
あの部分にただテープを貼るだけだとサフェーサーの境目がくっきりとした段差になってしまいます。
それを軽減してサフェーサーを研ぎやすくする為の手法がこれです。
うちではリバースマスキングと呼んでます。
作り方はまたの機会に。
これもそう。2ヶ所やってます。
塗るのはあっという間。
塗り方を語るだけでかなり長文になりそうなので割愛。
マスキングで囲われた全てをべったり塗る必要はないです。
上手く塗れたかどうかとリバースマスキングの効果は研ぐ時に分かります。
塗る回数は削れやすい角などを先に数回、全体に3~4回。
7~8回塗ったっていいけど中まですぐ乾かないし、急に熱入れると溶剤が沸いたり割れたり色々と不具合のリスクが。
ラッカーサフェーサーとか市販品のやつも同じ考え方でいいと思います。熱入れる必要はありませんが。

サフェーサーの色はできるだけボディ色orこれから塗る色に近いのがいいです。
色相は近づけられる時だけ近づけて、明度だけはなるべく合うようにサフェーサーを作ります。
調色した色に染まりきるまでの塗る回数を減らす為です。
赤色の下地は白がいいなんて話をネットで見かけたことがありますが、私は絶対にお勧めしません。
理想は黒っぽいグレーがいい、少し白っぽくても構わないのでグレーがいい。
暗い赤なら黒いサフェーサーで大丈夫。
理由としてまず明度が合ってないんです。下地の白が明るすぎて赤を塗り込んでも下地がスケスケになります。
これは赤色や黄色の塗料が低隠蔽性であることが大きな理由ですね。
結局、下地が白だと12~13回塗ってもまだ透けて、15回超えたあたりでやっと染まるというのは、塗ったことある人なら分かってもらえる話かも。
それくらい塗らなきゃいけないということは、それ相応の体力と塗料を消費するというわけで、、、
故に赤を塗る時に下地を白くされるのは、塗り手からすれば嫌がらせに値します。
でも市販品のサフはグレーなんでDIYならこの話関係無いよ。
また話が脱線しましたね。でも一応言いたいことだったので。
2液タイプのサフェーサーは熱を入れて乾かします。
ラッカーサフェーサーなら自然乾燥でOK。
そして乾かして研いでラッカーパテ入れたのがこちら。
ラッカーパテは薄付け用パテというやつです。
サフ入れる前に巣穴見つけろよというのはごもっとも。

360番ペーパーで研磨 → 500番ペーパーで目消し。
ダブルアクションサンダー使用。
これから塗る色がメタリックだから目消ししてます。機械を使えばこれで十分かな。色によってはここからさらに目消しします。
サフェーサーの境目がツヤなく表面のザラつきもなくモヤモヤしてれば段差なく馴染んでる証拠。
ラッカーサフェーサーを手研ぎするなら300~400番のペーパーは荒すぎてすぐ削れたり、その後の目消しが大変かも。
自分なら500番で軽く空研ぎ→600番空研ぎで目消し→800番水研ぎの流れで、指や手の形が出ないような工夫をして研ぎそうかな。
これはあまり良くない例。パテが出てきてます。
このまま塗っても問題はないので"あまり良くない"です。

ぶっちゃけ、パテの周りが綺麗に馴染んでて表面がめっちゃ滑らかで巣穴もペーパー目も無かったら、パテの上から直接色塗ったっていいんです。実際にすることもあります。
じゃあなぜサフェーサーを塗るのでしょう?
塗ればペーパー目が埋まりながら傘増しされ、研いだらペーパー目は削れて均され表面も滑らか。水もへっちゃら。
これがサフェーサーで比較的簡単に出来ちゃうからです。
別に相手はパテでなくても、傷んだ塗装を下ごしらえしてからサフェーサーを塗れば臭いものにふただってできます。
そんなサフェーサーを削りきって下が出たら何が問題なのかというと
このあと水仕事が待ってるからなんですよね。
鉄板もパテも水付いたらダメなんだから、このまま作業する時は取り扱い注意です。
もし心配なら下が出たとこにラッカーサフェーサーとか入れ直せば大丈夫。
修理パネル内のその他何ともない部分を1500番相当のスコッチブライトと足付け用洗剤でわしわしやった後。
たわしが間違いなく当たるであろうフロントドアやフロントピラーなどのモール部分、ボンネットには軽くマスキングしましょう。

写真じゃ分かりづらいですが表面が曇る程度に足付けされてます。
修理箇所と関係の無いフロントフェンダーの真ん中から右側にかけては、クリアしか塗られない若しくは塗料がうすーく散らされた上にクリアを塗るので、使われるペーパーやスコッチブライトは1200~1500番あたりになります。
少なくとも1000番以上が良いかなー。
2000は細か過ぎない?小物ならいいと思うけど。
とにかくクリアがちゃんと食い付いて、ペーパー目が目立たない程度の番手です。
バンパーの真ん中でクリアをぼかします。
クリアのぼかし部分はうすーーい足付けで。
ごしごしやると後悔しますよ。
マスキング終わりましたの図。
ここでもリバースマスキングされてますね。その辺でぼかす予定です。

2コートものなら、サフェーサーを研いだ時のペーパー目からぼかし際までこれくらいの距離は欲しいかな。
3コートものはもう少し長く。塗る物によってぼかしと磨きが大変になっちゃうのでぜーんぶ塗ったれってなります。
調色と塗り方に自信あればこの距離でもいけます。
フェンダーまわりのマスキング。
ライトがあったはずの場所からは収納スペースが。
なんということでしょう。
フェンダーの上あたりに付いてたカバーはフロントガラスのモール部分と一体になっていて取れません。
まずはガラスにミストが付かないように申し訳程度のマスキングを、、、
とりあえず浮かせながら埋めます。
浮かせればフェンダーのふちを塗りやすくなりそうだからです。
周りの紙とつなげます。
そんなこんなでボディもマスキング。
この車、隙間多かった。
ここまでお見せしたものはマスキングの一例に過ぎません。
工場によってはビニールひとつでマスキングしてますし。
良いマスキングというのは
テープ浮いてない
塞げる穴は全て塞いである
ミスト入らなそう、抜けなさそうな見た目
塗装面にテープや紙やビニールが当たってない
ビニールや紙がバタバタしない、塗装面に当たらない
ライト、ゴム、樹脂はちゃんと保護してある
クリアをぼかすスペースがちゃんと設けてある
スプレーガンや体が入りやすいつくり
すぐ剥がしやすいつくり
こんな感じですかね。
シワ無く貼れたほうが良いっちゃ良いんですが、塗料ミストが抜けなければそれでいいんで、良いマスキングの必要条件にはなりません。
とにかくこのマスキング作業、その人の性格というか考え方そのものが表れやすいです。
塗装屋全体の善し悪しには関係無いですけど。
なんというか、この人の作業は引き継ぎやすくていいなとか、ああこのスカスカくそマスキングはあの人らしいなやり直しじゃん腹立つわとかその程度のもんです。
サフェーサー~マスキングだけでまたも長文だらけでした。
塗装編へと続く