
Pバルブ。プロポーショニングバルブ。
ブレーキの効きは、路面のμによる荷重移動量の変化によりフロントとリアの理想の制動バランスが変化する。バランスを低μに合わせると高μ時にリアが先にロックし、高μに合わせると中間μ時にリアの効きが弱すぎるバランスとなる。そこで基本的にはリアの効きを低μにあわせ、高μの場合にはリアの制動力を制限してリアがロックしない効きに押さえる。
そのリアの制動力を制限する装置がPバルブ。
4輪のグリップを最大に使うことを考えれば、この仕組みはすごく理にかなっている。本当の理想の配分はできないものの、割と簡単な装置でこれを実現してるので考えてあるなぁとつくづく思う。
ロードスターの場合はリアのブレーキが弱いってよく言われるし、Pバルブをいじってリアの効きを強くすることは良くある話だ。NA6、NA8、NB、NA6ワッシャ入れ、NA6中抜き、と方法もさまざま。
そこでどれが一番良いものか考えてみた。
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まず、動作原理。写真はNA6の物
(とりあえずNA8のPバルブ付けたんで、いらないからバラせた(^^)
ケースの左上からマスターのフロント用配管、左下へフロントブレーキへ。
右上からマスターからの配管、右下へリアブレーキへ。
シリンダ(青いの)とバネはケースの真ん中に入っていて、シリンダはバネで左に押されている。右の銅パッキンとフタでケースに密閉されている。フタの真ん中にはパッキンがあり、シリンダの右の細い軸の部分が入り込み、そのフタ側の空間は大気圧で密閉される。
●ブレーキを踏んでみる。
この時フロントはそのままの圧力がかかる。シリンダの左の黒いパッキンによって、リア側とはいつも仕切られている。
リアはマスター側からシリンダの真ん中のパッキンを通過してそのままの圧力がかかる。
●ブレーキを強く踏んでみる。
シリンダはパスカルの法則で、面積が大きい場所ほど大きな力がかかる。
フロント①+リア②>マスター③ (細い軸部は大気圧なので無視される)
となる設定である(はず(^^;)なので、
①②③が同じ圧力で増えていくと、シリンダに右向きの力が発生する。これがバネの力より強くなるとシリンダは右方向に動き出す。
真ん中のパッキン(パッキンAとする)はケース外周側はいつも密着している。シリンダに対しては左右に少しだけ動き、右にある時はパッキン内側の出っ張りによってシリンダに密着しないため通路ができている。左にある時はシリンダと密着し密閉される。
圧が低い時、シリンダはケースの左に突き当たっているが、パッキンAが先にケースに当たり、それ以上はシリンダの左には行けないので、シリンダ側に通路ができているのでリアに圧力がかかる。
①+②-③がバネより強くなると、シリンダが右に動いていき、パッキンAの左側で圧力が密閉され(パッキンはまだ動かない)、リアへの圧力が伝わらなくなる。
マスター圧力が高まり、シリンダがもっと右に動いた時にパッキンAが動き出す。
ここでもしリアの圧が弱まると、シリンダが左へ戻ろうとするが、パッキンAは本体にくっついてその場にとどまっており、シリンダーだけが戻るために密閉がとけてリアの圧が高まる。するとシリンダが右に動いて密閉する。 の繰り返しで圧力が調整される。(実際はほとんど動かないはず)
●ブレーキを少し離してみる。
シリンダを右に押す力が弱まり、バネに戻されてシリンダが左に動く。パッキンAの密閉がとけるが、①>②の設定(のはず?)なのでシリンダが左に移動していき、パッキンAも左に移動していく。ここで②の圧力が高くなると、シリンダが右に動きパッキンAで密閉されて圧力が調整される。(いまいち不可解)
●ブレーキをもっと離してみる。
シリンダは完全に左に移動し、パッキンAはケースに当たりリアへの通路が開き、リアの圧力制限は無くなる。フロント圧=リア圧の領域に戻る。
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①+②×制限率-③:バネレート の比率によって制限率が決まり、バネのプリロードによって制限開始圧が決定されると思われる。
リア圧に制限率がかかってると思われるので、フロント圧:リア圧のグラフは上昇はするが収束していくカーブになるはず。複雑です。(合ってるかなぁ(^^;)
ロードスターの部品名は、デュアルプロポーションバルブになっている。
リアを単に制限するだけじゃなく、フロントの圧力を関与させてるので「デュアル」なんだと思う。もしフロントの圧が無くなると、リアブレーキが全力で効く構造ですね。
奥が深い装置だ・・・。
長くなったので、またぁ。
Posted at 2008/02/02 21:16:18 | |
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