
フェラーリ348を購入し、いよいよ待ちに待った納車の日のこと。前日夜は確か眠れなかったと思う。はやる気持ちを抑えても、どうしても早めにショップに着いてしまった。そして店主から、ついに憧れのフェラーリのキーを受け取る瞬間…。「ママチャリの鍵かな?」というのが第一印象だった。小学生の頃、放課後スマブラをやるために友達の家へと急いでペダルを蹴った、あの時のマウンテンバイクの鍵が、確かこんなだったと思う。高校生になって初めてできた彼女と乗った自転車の鍵は、もう少しカッコよかったし、今時、物置小屋の鍵ですら、もっとスタイリッシュなんじゃないか。
散々悪く書いたが、当時の車のキーなんて多かれ少なかれ、こんなもんだとは思う。リモコンキーもイモビライザーもない時代、それこそ機能としてはママチャリや物置小屋と大差ない。それがもっと遡って金属製の無骨なキーになると、逆のカッコ良さを感じるほど。ただこの時代は黒いプラスチックでキーの持ち手の部分をカバーするようになり、そのチープさがダサく感じるのだろう。とはいえ、同年代の同じような構成でも、ポルシェ964のキーはもっとセンスいいし、R32 GT-Rなんかは、確か金属キーでとてもカッコよかった。それに比べてフェラーリのこれは、なんか折れ曲がるヒンジがついているし、プラスチックに斜線とカヴァリーノ・ランパンテのエンボスが悲しい…。
ただもう少し調べると、このキーは、F40とも共通のデザインっぽい。気持ち良いのでもう一度書くが、フェラーリF40と同じデザインのキーらしい。そして、折れ曲がる機構は、運転時に膝との干渉を避ける役割がある。ステアリングコラムを膝で抱えるように乗る、タイトなポジションのマシンであるが故の配慮だ。それを知って、私はこのキーが大好きになった。「キーはあくまで実用部品、装飾である必要はない」と、コメンダトーレが言っているような気がした。
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2025/07/19 07:43:01