
よくイタリア車のドライビングポジションは「テナガザル」と揶揄される。ペダルに足を合わせて座ると、ハンドルが遠くなる傾向にあるためだ。近年は車体開発においてもグローバル化が当たり前になっているため、そういうイタリア車の個性も減ったが、15年前ぐらいのフィアットやアルファロメオまでは見られた特徴だ。昔のレーシングマシンのドラポジが背中を立ててハンドルにしがみつくようなものだったことや、全長が短い方が有利になるイタリアの道路事情に合わせた、着座位置の高いパッケージングなど、理由は色々想像できるが、確かな答えは持ち合わせていない。
我がフェラーリ348も、よくできたポルシェなんかと比べると非常に「イタリアン」なドラポジだと思う。まずシートとフロアの段差がほぼなく、体育座りのような姿勢になる。そこから右足を真っ直ぐ伸ばした位置にブレーキペダルがあり、左足を伸ばすとホイールハウスがある。つまりペダルレイアウトが右にオフセットしており、オルガン式のアクセルペダルはセンターコンソールの裏に隠れている。やはりハンドルは乗員から遠く、クラッチペダルのストロークが深いため、シートは前に出す必要がある。そのため、膝でハンドルを挟むようなガニ股姿勢になる。背もたれも立てた方が、ノンパワステの重いハンドルは操作しやすい。
書いていると特殊なポジションに思えてくるが、走り出すとすぐに慣れる。今まで乗ってきたバルケッタやアバルト595は、乗る度にポジションがしっくり来ず、ずっと調整を繰り返していたが、フェラーリ348の場合、一発決まればそこから調整はいらない。ただ、大きい靴だと左のつま先がステアリングシャフトに当たるため、クラッチを踏む時は足の位置を気にする。ヒール&トゥは比較的すぐに習得できる。なんだかんだ言っても、フェラーリはドライバーズカーなのだ。
ブログ一覧
Posted at
2025/07/17 08:00:25