自然と人間

「八甲田山死の彷徨」を読み上げました・・・・・・　２回に分け殆ど一気に読んでしまいましたが、やはり色々と考えさせられる一冊でした。

「２人とも真冬の八甲田山を歩いてみたいとは思わないか？」事の一言から始まったこの「悲劇」同じ日本軍　同じ師団に属する二つの隣接する連隊での競争、　絡み合う命令系統、　その中で苦悩する指揮官達、正に人としての本質が伺いしれた。

両連隊の編制や装備の違いや意識の違いがあれど地元民がけして近寄ろうとしない真冬の八甲田山へ進んでいった両連隊の兵士達、特に一兵卒の悲惨さたるや目を覆う物があった。

観測史上最低気温を観測したその時、前を歩く者すらみえない猛吹雪の中命令に従い、只只進み倒れ氷地蔵と成り果てて行く兵士達の苦悩、ある者は発狂し川に飛び込み　ある者はふくを脱ぎさり　凍傷でまともな排尿すら行えず垂れ流しそのまま凍りつくもの　重い荷物を背負い真っ先に倒れるもの・・・・・・　多くの命が消えていった。

自然は人をあざ笑うかの様にいとも容易く命を奪っていった。　これは未だに続く自然からの警告なのかもしれない。　「白い地獄」　この言葉が全てを語る自然の恐ろしさ　それと「組織」とその中の「指揮系統」の混乱に寄る判断の誤り、此の二つが重なりこの悲惨極まりない大惨事となった事に疑いは無い。

この２つの恐ろしさを改めて知り自然と向き合う職にいる自分の立場を再確認した今日この頃。