近年、日本では西洋医学と代替医療を組み合わせた「統合医療」が注目を浴び始めています。そもそも統合医療というのは、アメリカの医学教授、アンドリュー・ワイル氏によって提唱されたことから始まりました。ワイル氏は、伝統医療や薬用植物などの研究を通じて、もともと人が持っている自然治癒力を、最大限引き出すための医療が必要だと考えついたのです。1990年代になると、アメリカではさまざまな代替医療が注目を浴び、公的機関による研究、調査が活発に行われるようになりました。そして1992年には、世界的な医学研究施設である米国国立研究所の中に、代替医療事務局が設立され、現在も代替医療の研究を進めているところです。現在ではハーバード大学をはじめとする、アメリカの医療系の大学の多くでは、統合医療の考え方を取り入れ、また、アメリカ人の半数近くの人が統合医療によって治療を受けているなど、国民にも統合医療の考えが浸透しています。日本の医療に関して言うと、明治維新以前は、漢方や針灸などの伝統医療が主流でした。明治維新以降は、西洋医学が取り入れられるようになり、西洋医学の進歩にともない、やがて伝統医療は衰退していきました。現在では、漢方や鍼灸などの治療は医療と別のものとして存続し、西洋医学の医師と、伝統医療の医師は全く別の現場で医療を行っています。しかしアメリカの流れを受けて、ここに来て日本でも統合医療が重視されるようになり、鍼灸師や漢方医、カイロプロテクターなどの、代替医療の専門家を配置する病院が増え始めています。