ものども！ひかえおろう！

仕事中の出来事である。

私が営業で外出している間に
とあるお客様が私を訪ねてきたらしく
うちの事務員さんが対応してくれたのですが
その件で一難あったというか何というか・・・

事務員　『鍋さん、さっきお客様が見えられてましたよ』
鍋本舗　『あ、そうですか。どちら様？』
事務員　『えっと・・・　○○社の・・・　スケさん・・・　です』
鍋本舗　『えっ？』
事務員　『あの・・・　スケさん・・・　です』

チミ、いま“スケさん”って言ったの？
なんなの？　黄門様の部下なの？
てか、カクさんは何処に行ったの？
普通、あの二人はセットじゃないの？

などと脳内で変な思考を巡らせつつ
どうも事務員さんの歯切れが悪いので、ことの次第を訊いてみると
私宛にお客様から連絡先を書いたメモを預かったようなのですが
どうやらそのメモ書きが達筆すぎて、解読に難ありと・・・　そういうわけらしく。
つまり、名前が　スケ　としか読めない状況である　と。

まぁ悲しいことに、そのメモを受け取ってこの目で確かめてみても
確かに何処をどう見ても“スケ”さんなのである。


・・・あのね、一体どうしろと。

アレかい？　このメモの連絡先に電話してだ。
『もしもし、スケさんいらっしゃいますか？』
こう訊けとでもいうのかい？

そんで、そんな地雷をあえて踏んだ上で
『こいつぁ～うっかりだ！』　と
うっかり八兵衛も真っ青のオチをつけろとでも？


しかし、あーだこーだ悩んでいる時間はない。
スケさんだか誰だか知らないが、それは大事なお客様だ。
お客様が私を訪ねてこられて、連絡メモを残していった以上
ただちに折り返しの連絡を取らねばなるまい。

というわけで、さっそく電話をかけてみたところ
まずは相手の会社の事務員さんが電話を受けてくれた。

鍋本舗　『お世話になっております。私、○○社の鍋本舗と申しますが・・・』
先方事務員　『お世話になっております』
鍋本舗　『先程、御社の方がこちらに訪ねて来られたということで・・・
　　　　　　私が席を空けておりましたので、改めてご連絡差し上げた次第なのですが』
先方事務員　『あー・・・　少々お待ちください』

とりあえず“スケさん”などと口にするわけにもいかず、ぼかしつつのやりとりである。
そして待つことしばし、コードネーム“SUKE-SAN”が電話口に登場。


スケさん　『もしもし。お電話かわりました、福田です』

ちょっと待て。
福田のどこに
スケさんの要素が？


とまぁ、何とも釈然としないやり取りであったわけなのですが
私の頭の中で、福田氏は未来永劫“スケさん”として生きてもらうことにした。
何が何でも、それは絶対である。

かしこ。