私はカメラも好きで、フィルム時代はかなり入れ込んでいましたw。自宅に暗室を作ってフィルムの現像から引き伸ばしまで、モノクロ、カラー問わず自家処理していました。
ほとんどカメラ雑誌の月例コンテストに出品するのが目的でやっていたのですが、メカ好きなので写真だけでなくカメラをいじくるのがすきで古今東西の中古カメラを買い漁ってはいじくりまわしていましたwww。
いつのまにか写真はデジタルカメラで撮るのが当たり前になり、プリントもパソコンとプリンターでやるような時代になってしまったので、フィルム式カメラもいつしか使わなくなっていました。
けど、デジカメってどんなに高額なカメラでもフィルム式みたいに何十年も使えないので、「思い入れの一品」にならないのが自分としてはイマイチなんですねw。
そんな今日この頃、急に昔スゴーく欲しかったんだけど非常に高額で手に入れられなかったカメラのことを思い出して、「ひょっとすっと、そろそろ値段が下がってるかも?」とひらめきw、ヤフオクで探してみたところ、予想よりは高めの相場だったけれど無理すりゃ買えそーなところまで来ていましたwww。
カメラは、スエーデン製の高級カメラメーカー、「ハッセルブラッド」のシュープリームワイドアングル、通称「ハッセルブラッドSWA」と言う1954年から55年にかけて902台生産されたカメラです。噂によると現存数は100台以下と言われていますが、色々調べてみると所有している人は結構いるみたいで実際にはもっと多く存在していると思われます。カメラマニアで有名な芸能人、○ルフィーの○崎幸之助氏も所有しているそうですw。ちなみにシリアルナンバーから私のは1954年製造でした(ハッセルブラッドはシリアルナンバーから製造年がわかります)。
中判カメラと言って、ブローニーフィルムという幅6cmのフィルムを使うカメラで、38mm F4.5の超広角レンズが付いたモデルです。
35mm版のカメラで38mmと言うと「微妙に広角」ってレベルですが、画面サイズがが6cmx6cmのこのカメラになると38mmはすごい広角になるのですw。
ちなみに6cmx6cmの標準レンズは80mmです。
そんなハッセルブラッドSWAですが、希望の値段の出品が出るまで約半年くらいずーっとチェックしていました(出品数が少ないのです)www。
そしてついに希望の値段より微妙に安くゲットできましたw。
なぜか、私の他に入札する人いなかったんですよねwww。
このカメラどこがスゴイかと言いますと、歪曲収差というのがほとんど無いのです。それはどーいうことかと言いますと、画面のどこを見ても直線の物はきっちりまっすぐに写るということです。多くのレンズは画面中央部はそのように写るのですが、画面の端にいくにつれて外側にシナったり(たる型収差)、内側にシナったり(糸巻き収差)するのです。特に広角レンズでは多いのです。普通はそんなのどーでもイイかもなんですが、そー言うところをきっちりさせるというのは技術的には非常に難しいことなのだそうで、ましてや超広角レンズではなおさらなので、中古の値段も高いけど、新品時の値段もハンパ無いのです。
敵国の上空から撮影した写真を元に正確な地図を作ったり、建築関係の写真を撮る場合等によく使われたみたいです。
このカメラは大きく分けて、本体、フィルムバック、ファインダーの3っつのユニットが合体して構成されています。
本体の上に付いてるファインダーは必要に応じて外せるし、フィルムバックも使うフィルムを充填したものをいくつか用意しておいて一本撮り終えたら素早く交換する、というような使い方ができます。
このSWAは1955年で生産終了ですが、翌年に欠点を改良したSWと言うモデルがデビューしました。1959年にモデルチェンジでSWCと言うモデルが出て、さらに改良を続けながら2000年代中ごろまで生産されていました。
すべてのSWシリーズはドイツの世界最高峰レンズメーカーであるカールツアイス製の「ビオゴン」と言う名前の38mm F4.5レンズが付いています。
ちなみにハッセルブラッドはスエーデン製ですが、レンズは、ごく初期型以外すべてドイツのカールツアイス製のレンズが使用されているのです。
で、実際にこのカメラでフィルム数本撮影してみました。
ネットで色々な人のブログやHPを見ると、大概「スゴい描写」みたいなことが書かれているので「ホントにそんなにタマげる程か?」と思ったんですが、実際にはタマげる程ではなかったですwww。
けれど、60年近く大昔のレンズだけど逆光に強いのはちょっとした珍事でしたw。レンズ表面を見ると現代のレンズみたいなコーティングは無いのにです。
コーティングっていうのは、レンズの表面が紫とか青っぽく見える「あれ」ですw。表面反射とかを防ぎフレアやゴーストと呼ばれる現象が出ないようにレンズ表面に蒸着してあるモノです。
なんで逆光に強いのかな?と見てみたところ、ありました!レンズの後玉に。フィルムの直近にまで迫っているレンズ本体の一番後ろ側にあるレンズにコーティングが!
これによりフィルム面に突出しているレンズ後群へ向けてのフィルム面反射の影響を防いでいるのかな?
野外で超広角で撮っていると意外と太陽光が画面に入り込んでしまうことがあるんですが、現像してみるとちゃんと写っているのが嬉しいです。
歪曲収差が無い事に関しては、私の撮る被写体はスナップ中心なので歪曲収差はあっても問題無いだけにもったいない性能かもですwww。
「それじゃー、SW系を使う意味無いじゃん!」とか言われそうですが、いいんです!www。 SW系、特にSWAはスゴくカッコいいのです。
とにかくメカっぽい、というか精密感と操作性がなんとも硬派なのですw。
シャッターユニットなどまさに剥き出し状態と言えます。ユニット表面に波模様が付いているのですが、最初見た時、「どこかで見たような模様だな~」と思ってよーく思い出したら、手持ちの昭和9年式のローライフレックス スタンダードのシャッターユニットが同じ模様をしていたのですw。同じドイツの「コンパー製」のシャッターなんですが昭和9年式のローライはレンズボードの中に内蔵されていて見えにくくなっているのにSWAは剥き出しなのでびっくりでしたwww。
他にも、その後のSWCはレンズが太ったような感じのデザインですがSWAは贅肉が無いと言いますか、必要なものを持ってきて組み立ててみたらこんなのできましたwみたいなプロトタイプ感が~www。ただし、強度的に不利なところもありまして、現存しているSWAの中にはシャッターユニットより前の部分がグラつく固体もあるようです。
ちなみにその部分を強化して出たのがハッセルブラッドSWと言うモデルです。パッと見、SWAとよく似ているのですが、レンズ鏡胴部分が筒状の構造材で覆われています。
個人的にはこの筒状の部分のデザインがカッコ悪いのでSWAのほうが好きなのですが、生産台数はSWAより200台位少なく、実用性もプレミア感も備えた超希少モデルと言えます。
マニュアル式のカメラは普通、フィルムを装填して写真を撮る時、まず巻き上げレバーでフィルムを巻きますが、その際連動してシャッターがチャージされます。その後シャッターを押すとシャッターが切れます。
しかし、SWAはシャッターと巻き上げの連動が無い為、フィルムはフィルム巻上げノブで巻き、シャッターはレバーを起こして単独でチャージしなければなりませんw。
また、ファイダー内にはレンズに連動したピント合わせの機構が無く、ピント合わせはレンズから被写体までの距離を測ってレンズの距離目盛の数字を合わせて行いますwww。
露出もフルマニュアルですので単体露出計などで測ってシャッタースピードと絞り値を決めます。その際「絞り」を絞り込んで被写界深度を深く(ピントの合う範囲を広くすること)してパンフォーカスで撮るのが一般的と言えます。
はっきり言って写真一枚撮るのに、慣れないといちいち面倒臭いカメラなのですwww。
しかし、こーゆー事を熟知してデリケートな部分を持つこのカメラを絶対に壊すことなく軽快に写真を撮っていくのがカッコいいんですw。
私にとっておそらく、このハッセルブラッドSWAが人生最後のフィルム式カメラになるんじゃないかと思いますw。
フィルム式のマニュアルカメラはハッセルブラッド500C系を3台、ローライフレックス 2.8Fプラナー、ローライフレックス スタンダード、ローライ35、ライカM3、ニコンF(アイレベルファインダー付)など今でも持っていますが、数年前からまったく使っていません。今後も使うつもり無いので、SWAが本当に人生最後に使うフィルム式カメラになりそーですwww。