ちょっと燃え尽きています。

今、ちょっと燃え尽きています。

この本を読んでしまったから。
相変わらずの“高村節゛は健在でした。そして今までで一番人間の闇を抉る作品だと思います。

高村作品のほとんどのものは、ミステリーとは言え犯人探しをしません。犯人は最初から判っているからです。作品の大部分は犯人や刑事や関係者の心情の描写です。
しかし今回は犯人の心情すら描かれません。犯人と思われる元少女が死んだ事により物語は発進するのです。
すべては元少女を取り巻く人間達の心情に終始します。
愛情、友情、思い出、後悔、そして平凡な日常にふと現れる嫉妬、恐怖、懺悔そしてまた愛情。
複雑な人間関係が緻密に描かれています。
『ちょっと早いけどメリークリスマス』というメールが登場人物達に行き渡り物語は大団円を迎えます。心が温まる瞬間です。
そして登場人物達は帰るべき所に帰り、すこし悲しい結末が待っています。


読書家の友人達に薦めたいのですが、薦める人を選ぶ作品です。
これを読んだ高村ファンの方々は今私と同じことを感じているのでしょうか？。