
週末にあった結婚式で昔こちらの大学に留学してた時の友達に会い、あまりの変貌におどろいた(美人になってた!)のでその頃の写真を探してスキャナで取り込んでました。そしたら、更に古い大昔の写真が(笑)
初めて親元を離れて、1年間西オーストラリアのパースという綺麗な街で勉学にいそしんだ(という名目で、勉強はほとんどしてなかった)、学校が終わった11月。親友と二人で一番安いレンタカーを借りてロードトリップに行ったんでした。
車は、1.3リッターの Suzuki Swift。Swift といえば、今でもある車名ですが、日本名ではカルタスですか。でも、レンタカーなので、一番下のグレード。SOHCで、全然走らない車でした。しかも、予算の関係でエアコンなし。パースはまだ40度の真夏にはなっていなかったと思いますが、行き先は砂漠のように乾燥した西海岸を800キロ上った、イルカの来る土地モンキーマイア。
彼はそれなりに経験ありでしたが、私はマレーシア人のいい加減な先生に20時間路上教習を受け、いい加減なパースの試験場で1週間前に免許を取ったばかり。今思えば結構無謀な旅行でした(爆)オーストラリアの田舎の国道といえば、110キロ制限の固くかためたアスファルトがまーーーーーーーーっすぐに続く道です。太陽はすごく強くて、サングラスをしてても目が疲れそう。あの頃からですね、偏光サングラスのありがたさを身にしみて実感しだしたのは。今でも車の運転には偏光レンズ以外のサングラスはあまり使いませんね。
それにしても、さすが砂漠。路面温度は50度に近く、エアコンのない車内は30度を越えていたと思います。あまりにも暑いので、送風にしても、熱気が動くだけ。手持ちのカセットは Crowded House、 Phil Collins、 The Policeあたりを4−5本持ってたかな?二人で大声で歌ながら運転してても、だんだんテープが熱で伸びてくる錯覚がするほどの暑さ。汗でシャツはべたべた。半袖にすると、肘から先は日焼けしすぎるので、メッシュ地の長袖を羽織ってなんとかしのぐ。水をどんどん飲んで、何十キロがごとにあらわれるロードハウスというドライブインでは、木陰に停めて窓を全開。
110キロといっても、ほとんどの区間は対面片側1車線。追い越しは、向こうから車が来てなくて、センターラインが点線になっている区間なら可能。でも、なんせこうゆう土地なので、家畜やら、食料、燃料なんかをトレーラーで運んでいて、このトレーラーがまたすごいんです。「ロード・トレイン」ってゆうんですけど、トラックの後ろにコンテナを2台、場合によっては3台ひっぱってるんです。まさに「列車」。さすがにすごいトラックで、最高速はちゃんと出るんですが、たまにある勾配区間とか、出発加速はやっぱり遅い。で、追い越したいのですが、なんせ長さが何十メーターという化け物。この辺りを走ってる車といえば、3リッターぐらいの四駆とか、スバルの、あの頃はレガシーのワゴンとか、現地で人気のV8のワゴン、あるいはセダンがキャンプ用のキャラバンをひっぱってるやつ(その目的もあって、こっちのV8はいまだに後輪駆動しか生産してない。前輪駆動車は後ろに荷物を引っ張るとく動輪がリフトしてしまって使えない。)
そんな馬力のない赤いスイフト。100キロで走ってる相手の後ろについて、先がかなり見える直線で、対向車が3キロぐらい離れてる時ならOKみたいな感じで追い越しに入ります。下手くそ運転ながら、4速に落として踏み込み。3速まで使ったのかな?今の自分なら絶対3速のシチュエーションですが。これだけ長いトレーラーになると、前のトラックが走っている場所と、後ろのコンテナがお尻を振って行ってしまう場所が結構大きくなることがあって、後ろから見てるとすごい怖い。なんかアクションゲームで、刃物のついた振り子にあたらないように走り抜けるような感じ。
そう、その振り子は抜けたんですが、左側には大きな壁。自分の3−4倍ありそうなトラックとコンテナの影で、左は何も見えない。自分は「反対車線」にあたる右側にいるので、あまり居心地がよくない。さらに右側は、路肩が土でかためられていて、また1−2車線ぐらいの幅の砂利があって、その向こうは灌木か低いブッシュがあったかな。とにかく、トンネルを抜けてるような感じですわ。
2台つながったロードトレインの、後ろのやつは過ぎて、前のコンテナの半分ちょっと越し、後少しでトラックに並ぶ、というところで、前方の道路で動きがありました。かなりデカイ。人間ぐらいの大きさのやつが長い脚を動かして、ほんの100メートルほど先を横切っている。イミュ!ダチョウのオーストラリア版みたいなやつで、とにかくでかい(50−60キロぐらいあるのかな?)、野生の飛べない鳥。そいつが、こっちの居る右側から、まっすぐ道路を横切り始めたんです。「ダっ!ダっ!ダっ!ダっ!」と足音が聞こえそうなぐらい、スローモーションで(いや、実際には走ってくれてたけど、スローモーションに見えた 汗)
最悪の事態が頭をよぎる。走馬灯までは行ってません(笑)けど、あれが立ち止まって、それに突っ込んだら?こっちの田舎の車は、四駆に限らず、セダンでもワゴンでも、大型バスでも!「カンガルーバー」と呼ばれる、鋼鉄の格子をバンパーの前につけています。ボンネットより少し高いぐらいまでの高さがあるこれは、大きければ大人よりも重たいカンガルーや、イミュにぶつかってしまった時に、跳ね上げてウインドスクリーンに突っ込んでこないようにするためにあります。これは実際によくある事故だそうです。田舎道を走る方はご存知でしょうが、真っ暗なところで急にまぶしい車のヘッドライトを照らされた野生動物は、本能的にそこで立ちすくんでしまうのです。あんなのがウインドスクリーンをつっこんできたら、こっちは即死です。また、急によけようとしてブレーキを踏んだり、ハンドルを切ったら、周りの車にぶつかるか、砂利の路肩を滑り落ちて、スピンして木や岩に突っ込みます。夜走っていて不幸にも獣道を渡る動物が立ち止まったら、ぶつかってしまうのが一番安全なのだそうです。その為に、こちらに被害が出て、周りの自動車を巻き添えにしないためにも、ぶつかるときは、確実に相手を前にとどめておくためにあるのが、このカンガルーバー。田舎の一直線の道を走っていると、時々道ばたに「ロードキル」が落ちてます。カンガルーの死骸とか。カラスのような鳥があつまっているので、わかるんですが。
レンタカーのスイフトは一応都会のパース市内で借りた車で、そんな安全装備はない。あのイミュが立ち止まったら、どうする、と考えてみる。自分の前で停まったら?あるいは、となりのトレーラーの車線で停まったら?トレーラーの運転手は慣れててまっすぐ走りきるか、それとも、無意味なパニックブレーキに陥って、右にハンドルを取られてこの小さいアルミホイルみたいな薄い板でできた車を簡単に踏みつぶしてしまうか?
そこまで思った瞬間、イミュが立ち止まった。路上で。おーい!おぉぉぉぉーい!!!!うぉぉぉぉぉぉぉぉ!
と叫び始めたところ、また走り始めて、道路を横切って反対の灌木の中へ消えました。昼間で良かった。
そんな、いろんな意味で手に汗にぎりながらの長距離ドライブでした。太陽の照りつける道路がまっすぐまっすぐまっすぐ続くなか、交代で700キロはかなり疲れました。だれもいない入り江で、お互いに相手が美人の女の子だったらよかったのに、といいながらも思う存分泳いだこととか、国立公園の地層がきれいな模様をかたどる渓谷でインド系の彼に負けないぐらい焼けた肌で写真を撮ったり、楽しい旅行だった。あの晩、海辺のキャラバンに部屋を借りて、ウミネコが風に舞うビーチに座って大きな夕日が落ちて行くのを眺めながら飲んだビールは格別だったなぁ。
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Posted at
2010/10/14 08:00:48