2018年02月04日
この仕事をするようになり、自動車整備においてスキャンツール(故障診断機)の必要性を感じることが増えてきた。
去年のことだが、10年以上前のいすゞエルフのコンクリートポンプ車の排気ブレーキが作動しない故障で入庫した。
その時は別の担当者が排気ブレーキなどに関連するVIMというECUとは違うコンピュータユニットを交換したそうだが、ユニットを交換しても排気ブレーキが効かないということで再度入庫して自分の担当になった。
まず前任者になぜVIMを変えたのか、その理由を聞いたらアイドルボリュームスイッチ、ニュートラルスイッチ、アクセルスイッチ2個(PTO付きの車はアクセルペダルの他に車外のPTOのアクセルレバーなどにもついてることがある)、各センサーからユニット間の配線の導通を診たが断線もないので、とりあえずユニット交換した、とのこと。前任者の点検、作業時間は8時間ほど。
勤務先には資料やスキャンツールなどはなく、いすゞディーラーから配線図と整備説明書をFAXしてもらいOBDカプラーの端子を短絡させて自己診断で故障コードを診ると、やる気をなくすぐらい故障コードのオンパレードw
まず試しに故障コードを消す操作を何度か繰り返してみたが故障コードは消えずに、無情にもメーターパネルのチェックランプは点滅する。
工場長に早めの白旗を上げてディーラーでスキャンツールを使ったら、1時間掛からずに診断結果が出た。
結果は「ニュートラルスイッチの不良なので交換しました」で終わってしまった。
もしかしたら、スイッチの内部でサーキットテスターに反応しないくらいの微かな導通があったのかもしれない。
この前任者は自動車電装整備を数十年やってきている、いわゆるベテランの域にいる方だ。しかしスキャンツールや最新のテスターに関してはあまり得意ではない。そのかわり長年の経験と勘、次の作業を考えた細かい心配りはすごいと思うことは多々ある。
もちろんスキャンツールがあればなんでも出来るってわけではない。しかし最新型でもなんでもない10年以上前の車ですら道具次第で仕事の結果が変わるというなら、たとえ多少金額はっても設備投資する必要があると思う。
今後の自動車整備業は職人気質の技術だけでは生き抜くことはできない、難しい世界になるのかもしれない。
Posted at 2018/02/04 13:43:01 | |
トラックバック(0)