吹奏

　スポーツ・グラフィック誌「Number」が運営するサイト「NumberWeb」の配信記事から『新風が巻き起こったセンバツ応援。甲子園に響いた「アゲアゲホイホイ」。』に注目。

　大筋では佳い記事である。
　東京六大学では、応援団(リーダー・チア・吹奏楽)は体育会の団体として登録されている。
　なれば、スポーツ専門誌で詳細な解説や論評が加えられても、何ら反対するものではない。
　アマチュア野球ファンとしては、むしろ歓迎したいほどだ。

　
　一方で記事に対し、手放しでは賛同できない自分も居る。
　2日付の記事で記した通り、そもそも応援とは、声援や演奏に魂を込め、相手を圧倒する・味方を鼓舞する行為に他ならない。

　ここで理解を誤ってはならないのは、応援を捧げるべきはフィールドで闘っている同窓であり、楽曲や声援を武器に闘うべきは、倒さねばならぬ敵である。
　スタンドで観戦している客に阿り、受けの良い楽曲ばかりを集めるというのは、応援の本筋からは若干ならず外れ、もはや自己目的化している懸念すら感じる。

　「市船soul」のように身命を賭して母校に捧げられた曲や、チャンスパターンの古典にして、作曲当時の早稲田大学を劇的な逆転優勝に導いた「コンバットマーチ」など、その学校に無くてはならない応援曲を創り上げることこそ、本筋ではないだろうか。


　他団体から楽譜の提供を受けるなどして、どんな楽曲を使用するにせよ、フィールドとスタンドが一体となる感覚を演出できなければ、それは応援の責任を果たしたとは言えない。
　その点をしっかり自覚されているのか、取材対象となった各校だけでなく、取材者にも問いたい。


　そして最も看過し難いのは、「コンバットマーチ(早稲田大)」・「不死鳥の如く(東京大)」がちゃんと大学名と併せて紹介されているのにも関わらず、「狙いうち」が、単なる「懐メロ」扱いされている点である。
　決して「懐メロ」などではない。シーズンが巡る度に週末昼間の神宮球場で吹奏される、明治大が誇る銘チャンスパターンである点を、是非にもご認識いただきたいものである。