干鰯

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト｢YOMIURI ONLINE｣の配信記事から『漂着イワシ４００トン、ようやく３１トン回収』に注目。

　どうやら海水の急激な冷却化で弱り、群れごと力尽きて漂着したらしい哀れなイワシたち。それでも漂着当初はピチピチ生きていて、地元の方々が捕獲し滋味に与っていたと伺ったが、商業ベースに乗らない消費では400トンものイワシを処分できる筈もなく、今回の回収活動に至ったようだ。

　実は魚の中でもイワシは私の大好物で、程よく脂の乗った大ぶりのイワシを刺身で食するのが最も良い。
　新鮮なイワシを食べ放題だったとすれば、自他ともに認める食いしん坊として、その場に居合わせなかったことが悔しくて仕方がない(笑)。


　元々が足の速い魚であり、腐敗が進んで異臭を放ち始めるずっと前から、既に食用には適さなくなっていただろう。
　しかし、その段階で回収しておけば、畑に鋤き込んで肥料とすることもできたのではないか。

　古来、湧くが如くに大量捕獲されるイワシは、天日で乾燥させて「干鰯(ほしか)」に加工され金肥(＝購入肥料)として重宝されてきた。
　ダイナミックな自然の営みで潰えてしまったイワシの命を、ダイレクトに食する他にも活用できることに、早くから気づいて動くべきだったように思う。

　手間をかけて砂を分離し、燃料を消費して焼却するくらいなら、今からでも天日乾燥するか、気候特性上難しければ、貯留・発酵させて液肥にするなど、活用することはできないものか。
　イワシの霊を慰めるためにも、どなたか知恵を授けていただきたいものである。