独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)内之浦宇宙空間観測所
2013(平成25)年9月14日の午後、掛かりつけの歯科医院で治療を受けていた次男が大暴れして、治療を放棄してしまった。
職場から帰宅して後、次男に聞けばグラインダの音が気に障って耐えられなかったとか。
見た目大胆そうな風貌をしていながら、その実怖がり屋の小心者である次男なら有り得ること。
治療を再開し虫歯が解消されるまでは甘いものの摂取禁止を申し付けられたが、当座の治療から逃避できた小狡いチビは、親の目を盗んでお菓子を頬張ったりしている。懲りないやつだ、ここはひとつお仕置きをせねば。
その同じ日、急な打ち上げ中止などトラブルを乗り越えて打ち上げに成功した「イプシロンロケット」のニュースを、子ども達も興味津々で視ていた。
余り「こうしたい」「あそこへ行きたい」と言うことが無い次男も、珍しくロケットの打ち上げを観てみたいと呟く。それほど子どもたちにとってもインパクトの大きな出来事だったようだ。
元々東京大学の付属研究機関として秋田県内に置かれていた施設が、1962(昭和37)年に当地へ移転。文部省が召し上げて国の直轄機関へ格上げされた後、省庁再編に伴う文部科学省発足・従前は科学技術庁と文部省に分かれていた宇宙開発関連行政の統合により「(独)宇宙航空研究開発機構」の研究機関となって現在に至る。
会話がはずみ、次男が「僕もロケットに乗って宇宙に行きたいなぁ」と発言したところで、私がすかさず「虫歯のある人は宇宙飛行士になれないんだよ」と切返した。
小狡いチビへの制裁開始。相手発言の矛盾を間髪入れず即座に突き、打開を図る交渉術の応用である。
虫歯で生じた微細な空間との気圧差で強烈な痛みが生じたり、急減圧があった際には最悪虫歯が破裂したりすることが起こり得るので、ミッション前には完全に治療を済ませなければならない。
幼い子なりに治療を中断させてしまったことへの後ろめたさがあったのか、自分の夢が「虫歯」が故に急に閉ざされて絶望したか、「だって痛かったんだも~ん」「ロケットに乗りたいよぅ」と泣き出してしまった。
「虫歯をちゃんと治せば、宇宙へも行けるよ」
「先生にゴメンナサイして、しっかり治してもらおうね」
とフォローすると、今度は素直に頷いた。治療の意義を理解し、約束したら必ず守る意思の強い子なので、次の治療は首尾良く行くことだろう。
イプシロンロケット成功の報に接し、色々と決意を固めた方も多いことと思う。
宇宙飛行士になりたい。
ロケットの技術者になりたい
生きているうちに宇宙旅行へ行ってみたい。
そんな壮大な夢からすれば、歯科医院の診療台上だけで終わってしまう小さな決意だが、次男にとっては大きな動機づけとなったイヴェントだった。
住所: 鹿児島県肝属郡肝付町南方1791-13
電話 : 050-3362-3111
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