未だ4500kmならずも、ようやくFIT RSの動きやアクセルに体が慣れ始めてきたと感じて、機会を作ってその性能を確認したいと思っていました。
その機会は思わず訪れた。妻が実家に帰りしばらく自炊生活に舞い戻ったことでした。
10月12日深夜某所。
いつもの時間いつものところ。
人も、クルマも誰もいないから安心してクルマの確認ができる場所。
移動は高速。東名高速では、ある速度からの加速感を確認。
とてもその動きはD15B VTECのような加速ではなかった……ATとの比較を一概に言えないのですが。
日付が変わる前に、某所入り口に到着
ここで簡単に性能をチェックするのは、この辺りに住んでいた頃からの癖。
とりあえずいつものように登りに進入。
ハンドリングを確認しながらアクセルを開ける。
軽快に旋回を繰り返すFIT。
がつんとブレーキから、一気に姿勢を決める。これが決まらないクルマは多い。
CR-Xは元から足がショップ物で、ブッシュが無限製だったのでEG6より速い旋回速度を体感できたけど、FITは友人のプレオに近い動きで旋回に入る。
尤も重量差があるので旋回開始はプレオより遅く、姿勢を作ろうとしながら回頭を始める。
CR-Xではその瞬間には既に旋回態勢なので、はっきり言うと意識的にはかなり鈍重さがあるように思えてしまうのですが、友人のプレオとなら重量差しかないのでわかりやすく、それとの比較を思い出しながら走行。
プレオは重心が低い上100kg以上軽いので雰囲気は全く違います。
当然軽自動車の場合姿勢変化が早く、普通乗用と簡単に比較できないのですが。
ノーマル→KYBショック+バネ→KYBショック+ノーマルと比較、かつこの間はKYBショック+バネという最硬の組み合わせだったので非常に比較しやすいものです。
旋回態勢から円を描く車体の動きに合わせアクセルを開ける。
当然オープンデフのクルマ、トルクは空転するもパーシャルまでは開けておかないと失速してしまうので、登りでは一切油断なくアクセルを開けていきます。
登り、標高差128mもある高い道を一気に登っていく。
一番狭い場所でぎりぎり普通車が離合できる程度という狭い道な上、大きく数えても50、うねりを含めるとそれ以上という日本の山にふさわしい道。
昼間は登山客やバイカーが来る程度の道だが、当然生活道路としてクルマは走っている。
だが、舗装は荒れ気味。雑草の掃除や落ち葉拾いこそされているものの、路面は普通の道路より酷い。
ここに降る雨は、路面を滑るようにして覆ってしまうので危険だ。だから、今日のように完全なドライな路面でなければ危なくて確認することも難しい。
季節を間違うと、山間であるせいもあり霧が深く、油断すると目と鼻の先までみえなくなってしまう程深い白い闇の帳がおりるこの場所で。
月こそないものの、ほぼ完全なコンディションというのは一年でもこの時期しか狙えないのです。
そんなタイミングなので、本当に僥倖でした。
で。
実際のところ、旋回時の緩さは緩いのではなく、バネのたわむ感触でした。
リジッドにつっかえる感じがあるCR-Xとは大きく違い、押しつけるタイヤの間に金属製のバネが入ってるイメージで旋回するのです。
なので、実はバネ、足、タイヤはそのフィーリングが合うようなセッティングに合わせているのだろうと思いました。
素晴らしいバランスです。
タイヤが硬すぎれば当然硬さを感じるし、柔らかい横浜系でもこんな感覚にはならずタイヤの感触が目立つでしょう。
タイヤとバネ、ショックのバランスが良いところに剛性のあるボディ、太めのスタビがこの感触の正体かと。
途中細かい連続シケインではプレオとは大きくかけ離れる感覚があったものの、機械的な旋回限界と姿勢変化の連続性からタイヤのグリップとしてはまずまず及第点。
LSD入れれば……と考える必要がないくらい楽しい。
タケローズや某所でも同じことを言われていたような気がします。逆か?
ともかくこのクルマの完成度はかなり高いと言えます。
一気に姿勢を作って、タイヤをきしませながらヘアピンを抜ける。
この時の旋回が速ければ速いほど、Gが強くなり機械的なグリップがないと厳しくなりますが……充分なグリップを持ったタイヤはなんの問題もなく綺麗に回ってくれます。
ブレーキがまた良く利く。今までに乗ってたABSなしモデルの車に比較すればより安心してフルブレーキでつっこめるというものです。
欲を言うならグリップをあげるため若干サスペンションを強化してやっても大丈夫かな。
まだまだ余裕は有るはずです。
ただ驚くのはパワフルなエンジン。
D15B VTECもほぼ同等のエンジンにもかかわらず、こちらはほとんどホンダエンジンらしい高回転型でした。
スペックもよく似たL15A i-VTECは似てるだけでトルクの感覚やトップへの吹けあがりは別物です。
しかも燃費も信じがたい程良い。
GE8、恐るべし。
高速域から低速域まですべて綺麗にバランスされた、極めて仕立ての良いクルマと言えます。
現状のバランスでストリートは最早何もいらないでしょう。
N車としては一昔前のスポーツモデルのように良い装備を積んでる訳でもないので、どこまで化けられるかは不明。
サーキットベースとしては今度は調整機構のない足回りがネックとなり、マニアックに走るのではなく割り切って楽しむ方向に振るのがいいでしょう。
そうでないなら、無限パーツを奢らなくてもホントに充分いけるでしょうね。
そろそろ機械的にはならし終了。
本格的な走り込みに入りたいと思います。……って、一応ファミリーカーなんだけどね。
で。
5ヶ月前とタイヤの比較。
これだけ放置してたタイヤで、今回走ってここまで行きました。
表面だけから真ん中過ぎまで熱が入ったようですね。某隣国タイヤでは今頃油抜けして使えなくなってるところが、さすが国産。まだまだ余地はあるようです。