700万円を使って運転手になって、鉄道車両を走らせませんか?で話題になった千葉縣にある第三セクター・ローカル線「いすみ鉄道」ですが、その中心地「大多喜(おおたき)町」では、いずみ鉄道の前身の日本国有鉄道木原線のさらに前身「夷隅軌道」の前身の「県営大原大多喜運輸組合」の「人車」開通から、今年2012年12月で100周年を迎えます。千葉縣南部の主要都市であった大多喜を、国鉄の房総東線と結ぶ貴重な鉄道として、県営の人車軌道が開通したのが、1912年12月のことでした。

県営大原大多喜人車軌道の開通当時の大原駅の様子
そして、大多喜町では、この100周年を記念して、当時の人車を復元し、町内で実際に走らせ、皆さんに乗って頂ける企画を行います。ぜひいらしてください。

神奈川県湯河原にある和菓子屋「味樂庵」さんが復元した、豆相人車軌道の人車。枕木の一部は、お店の前で道路工事中に発掘された当時の本物です。
そして、人車の下回りをさらに充実させ、保存継続と、今後の運転会開催をめざして、町では募金を募っています。ぜひ、1,000円でも構いませんから、寄付をお願いします。
http://www.town.otaki.chiba.jp/new/osirase/jinsha.html
この企画を考え出したのは、大多喜町役場の高橋さんの支援のもと、鉄道関係のプランナーであり多数の著作で知られる岡本憲之さんと、じつは私です。当時の人車を復元しようと言い出したのは岡本さんですし、私は15インチ鉄道を作ってしまおうと提唱していました。
いずれにしても、町の理解と協力を得て、このような珍しい企画が動き出しました。まだ画像は公開できませんが、人車は既に細かい部分を除いて完成し、下回りの車輪と台枠も出来上がっています。近日中に公開される予定です。

豆相人車軌道(日本初の人車軌道)
鉄道には様々な形態がありますが、この原始的な「人が推す」鉄道って、意外に愉しいものです。乗ってよし、推してよし。ぜひいらしてください。
人車は日本で独特の発展を遂げました。最初のものは、東海道線がまだ御殿場越えをしていた時分、鉄道の恩恵に浴せない温泉地「熱海」への湯治客を運ぶため、東海道線の小田原から敷設された「豆相人車軌道」です。この軌道は後に蒸気動力化されますが、従来の人車用のレールでは重い機関車を走らせるには問題が多かったため、軌道の改良工事が行われました。芥川龍之介の小説「トロッコ」は、この改良工事の場面で使われている工事用トロッコが主題になっています。
Posted at 2012/11/14 23:57:49 | |
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