
都内で東芝 SCiB 二次電池開発の責任者、本多啓三氏の講演を聴いた。師匠くまさんのお誘いを頂いたからだ。座談会にも加わり、色々と貴重なお話しを伺った。
本多さんは、「鉄道・自動車システム事業部、自動車システム統括部、技監でSCiB担当」という、SCiBを最も良く知る方であり、方向性を打ち出せる方だ。本多さんの熱い思いも感じたし、SCiBの可能性の広がりをさらに知った。有意義な時間だった。
そのなかで心に残った一言。「自動車の可能性を広げるには、出先での充電時間は短いに越したことは無い。『急速充電が普通の充電だ』というようにならなければいけない。」
二次電池は、携帯電話やパソコンに向けた開発のベクトル、つまりエネルギーの高密度化をこれまで優先してきた歴史が長い。そして、EVやインフラ用を開発している今も、どうしもこのイナーシャ(inertia、慣性)が拭い切れていない所があるのかも知れない、とのことだ。しかし、これからは、EVの特性を最大限に活かす方向で、二次電池は開発されてゆくだろう。

本多さんが、くまさんと私の i-MiEV Mタイプ(SCiB 10.5kWh 搭載)による「東京~兵庫西宮」走破のブログを詳しく読まれていて、よくご存じで、わざわざ私たちのところに声を掛けに来てくださったのには驚いた。
KAKUさん、tosichanさん、M搭載の電池はやはり凄いですよ♪
リチウム電池での劣化の最大の要素は、低温下で充電した際に、イオンで存在していて欲しいリチウムが分子として析出してしまうこと。析出は不可逆反応であること。そしてその分子は樹木状に電極から成長し、いずれはセパレーターを突き破って他方の極と短絡する「内部短絡」が起きることです。劣化した電池を使うと、すぐに熱くなってくるのは、この内部短絡で電力が熱に浪費されているためです。携帯電話の電池が古くなってくると、通話中にすぐ熱くなってくるのはこのためです。
リチウム電池で覚えていて欲しいことは、劣化すると「容量が減る」というような素朴な現象だけでは済まず、「危険にもなる」ということだそうです。
SCiBはこうしたリスクはありません。析出しませんし、ということは内部短絡の虞れも無いということです。さらに、SCiBは内部抵抗が少ないので、充電時にどんどん電力を吸い込んでくれるそうです。今後の展開が楽しみになってきました。
Posted at 2012/06/26 18:56:06 | |
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