
うちの mini のエンジンは、オースチンの伝統を伝える A型で 1.2Lだが、税金は34,500では済まない。数千円余計に取られる。それは、10年以上経ったクルマだからだ。日本の自動車税制は、古いクルマを叩き潰そうと邪魔をしてくる。そういう考えが根底にある。
目をイギリスに転じてみると、クラシックカーのイベントには物凄い数の「走る文化財」が集まる。よくぞこんなものまで保存しておいたものだと、感嘆を禁じ得ない。Rolls Royce の名声を確立した Silver Ghost はもとより、第二次大戦後の傷の癒えない混乱期に欧州で花開いたバブルカーまで、ありとあらゆるクルマが民間の手で保存されている。それは、彼の国では40年以上経った自動車には、税金は基本的に掛からないからだ。なぜか…?
根底にあるのは「文化」に対する考え方の違いであろう。我が国は残念ながら、「大義なき商人」が動かす「消費・浪費が美徳」の国だからであろう。そこには深く根を張った本物の文化は存在しない。
雅楽だの古典文学だのだけが文化ではない。機械文化という重要な文化がある。悲しいことだが、日本人はそれが理解できるところまで成熟していないようだ。1970〜80年代にイギリス病に苦しんだ彼の国だが、文化に対する哲学の懐の深さ、価値観の豊かさ、そして古い物を残すことへの情熱は、まだまだ貧困な成り上がり国ニッポンには真似できていない。
そもそも官主主義国家には文化は生まれない。民が花開いてこそ、文化が訪れるからだ。
Posted at 2012/06/19 23:16:23 | |
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