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実家の近所に１人のバイク乗りがいた。

時は1985年。

私…15歳。単車に憧れ始めた頃。

そのバイク乗りは30代前半ぐらいだったのかな…

その方の家のgarageにあった…

Honda CBR-400F(フルノーマル)Ⅰ型…

ピカピカ光る黒/赤の単車。




ある日、私は彼の家の前の路上に座り…

一定の距離からCBRを眺めてた。

その時、カメラの連写音が…

その単車のオーナーさんだった。

「頼むから盗まんでくれよ…(笑)」

そう言って笑顔で声をかけてきた。

「近くで観てもいいぞ(笑)」

その日から彼との付き合いが始まった。




今もその時に撮られた写真(初対面の数日後に彼が僕に写真をよこした)が実家のアルバムにある。

彼はプロのカメラマンだった。

今思うと「松田優作」っぽい感じ。




「お主が免許を取り、大切な単車と出会えた頃…いつか俺とツーリングに行ってみっか…キャンプツーリングは最高だぞ(笑)」




結果、実現することがなかった…
あの日の約束…






今日、実家に寄ったとき…

ふと風を感じ…

彼の家の方に目をむけた…





彼のgarageの前に…

訃報の案内看板…

享年64歳。




ってことは…

あの日の彼はやっぱり30～31歳だったのか…と、何故か冷静な自分がいた。



63歳の彼と47歳になった私…

ジィジィ二人でツーリングに…
行ってみたかったな…



でも…

彼のgarageには単車は無かったが…





それでも俺にはキラキラしたREVエンジンを搭載した黒/赤の単車が見えた…

ような気がした。

(合掌)