兵頭正俊の知らなきゃ滅ぶニュースの真相
一部、加工(太字・大文字 等)を加えてありますが
文章はそのままです。
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◆ ふたりの安倍晋三 ◆
ネット上で産経川柳への批判が起きている。
埼玉県富士見市のマンションの一室で、裸同然の男児の遺体が見つかった。
死亡した男児(2歳)とともに、同じ部屋で辛うじて生きて保護された弟(8か月)も
衣服を着けておらず、低体温症になっていた。
容疑者の物袋(もって)勇治(26)は、子どもたちの母親の依頼を受けて
14~16日の予定で兄弟を預かっていた。
亡くなった子どもの、口の周りが変色しており、口をふさがれた窒息死の可能性もある。
この物袋(もって)勇治が預かった別の子どもが
1月22日に、背中、腰、両脚にやけどを負って救急搬送されていた。
このときは命に別条はなかったが。この男のまわりには、以前から奇怪なことが起きていたわけだ。
『産経ニュース』に「MSN産経川柳倶楽部」というコーナーがある。
それは以下のような趣旨で設けられている。
「「MSN産経川柳倶楽部」は、サイト内で気になったニュースに手軽に川柳を投稿できるサービスです。
ニュースを読んだ感想、意見や感動、笑い、その他皆さまの思いを「五・七・五」の形で表現してみませんか?
記事ページの見出し上の「川柳を書く」ボタンをクリックし、作品を投稿してください。
さあ、あなたも一句!
投稿の際は利用規約に同意していただく必要がございま
す」」
(引用終わり)
ベビーシッター事件に絡んで、この産経川柳に次の川柳が掲載された。
「子殺しの 母が涙で 舌を出す」
「赤ちゃんの 鮮度落とさず 冷えてくる」
今は生活保護を受けていて、パチンコにでも行こうものなら
政治家から庶民に至るまでの、激しいバッシングに遭うご時世である。
わが国は、弱肉強食の冷酷な国に変質してしまっている。
物袋(もって)勇治の月の謝礼は8000円だった。
この安さに頼らざるをえない庶民の生活苦があり
また、預かる側の鬱積していく苛立ちがある。
要は99%の弱者同士が絡む悲劇は、1%の官僚と政治家によって準備され
憂さ晴らしに、より弱い者のバッシングに向かう時代になっていた。
そのもっとも弱い犠牲者が、今回の場合、ふたりの子どもだった。
容疑者の物袋が赤子への虐待に走れば、ニュースを聞いた者が川柳であざ笑う。
ここでも弱い者が、さらに弱い者を叩く。
死んだ子どもへの哀れみも、両親への同情もない。
川柳は、辛辣に世相を斬るところに魅力がある。
しかし、そこに、これではいけないのだ、という作者の悲しみや怒りがあって
さらには書き手自身への自嘲があって、初めて許容され、感動を与えるものである。
つまり、作者は言葉を紡ぐことに苦しむということだ。
この川柳にその形跡はない。
作者が感じたことを、咀嚼されることもなく、そのまま言葉にした。
その結果、冷酷に世相を肯定しただけの、作者の軽薄さだけが言葉に湧出することになった。
掲載した産経は、「利用規約」の「第3条(禁止事項)」の中で
「ユーザーは本サービス利用に際し、以下に該当する行為、又はその恐れがある行為をしてはならないものとします」として、
「(1)猥褻、暴力的及びグロテスクな表現の掲載」
「(4)その他、社会通念上公序良俗に反すると解釈される、又はその恐れのある表現の掲載」
を禁じている。しかし、この「利用規約」を忘れてしまったのだろう。
川柳は世相を映すが、同時に世相を作る。
主催者の産経には、影響を与える巨大メディアの責任感がないのだ。
若い人たちは、この下劣な川柳を読んで単純に
これでいいのだ、この種の川柳を自分も作ろう、と思う人も少なくないと思われる。
それが自分の世界観らしきものに染み込んでゆく。
言葉には、その水準を問わず、こういった力がある。
こういう現代日本の世相を作った安倍晋三が
3月21日フジテレビのバラエティー「笑っていいとも!」に生出演した。
特定秘密保護法 、4月からの消費税増税、アホノミクスの破綻
米・中・韓を中心にした世界的な孤立を前にして 、テレビで人気回復を図ったのである。
会場のスタジオ周辺には「辞めていいとも!」と書かれたプラカードを持った人たちで騒然となった。
注目すべきは安倍晋三がテレビに頼ることだ。
これは総理になってからのことでもないのである。
第一次安倍内閣で総理の職を投げ出してからも、安倍はメディア対策に熱心で
先ごろ亡くなったやしきたかじんの番組にも時々顔を出し
たかじんと温泉につかる写真まで撮らせている。
マスメディアを抑えれば国民などどうでも操られると思っている。
マスメディア幹部との頻繁な酒席・会食を繰り返す。
さらにテレビのバラエティ番組に出掛けたわけだった。
このようにポピュリズムに走る安倍晋三と、
ナショナリスト、ファシストとしての安倍晋三とは、
どのように繋がり、あるいは切れているのだろうか。
実はふたりの安倍晋三が存在するのである。
もちろん同一の人格の中においてであるが。
ひとりはナショナリスト、ファシストとしての安倍晋三である。
もうひとりは対米隷属主義者としての安倍晋三である。
安倍晋三は、ジョナサン・テッパーマン(Foreign Affairs 誌副編集長)の
「あなたは、中国や韓国に侵攻し、第二次世界大戦期にアメリカを攻撃した日本の行動を日本の侵略行為であるとみているだろうか」という問いかけに、次のように答えている。
「私は日本は侵略しなかったと言ったことは一度も無い。
だが「侵略」をどのように定義するかは私の責務では無い。
これは、歴史家が行うべきことだ。
私は、どのような世界を未来に向けて形作るかを議論するのが我々の仕事だとこれまでも述べてきた」
(『Foreign Affairs Anthology vol.39』)
(引用終わり)
これが安倍晋三の素顔である。
ここにはナショナリスト、ファシストとしての面影は微塵もない。
「侵略」の判断を歴史家に任せて逃げている。
さらに角度を変えてふたりの安倍晋三を見てみよう。
ひとりは、例えば福島第1原発事故はコントロールされ
安全だと世界に向かって平気で嘘をつく安倍晋三である。
もうひとりは、それとは真逆の現実の前に、呆然とする安倍晋三である。
ナショナリスト、ファシストとしての安倍晋三は虚像にすぎない。
それは従軍慰安婦の検証を、米国の怒りに触れてすぐに河野談話の継承に転換した姿に見られる。
つまり、偽物のナショナリスト、ファシストとしての安倍晋三とは、平気で嘘をつく安倍晋三のことなのだ。
この植民地日本の現実に呆然とする安倍晋三こそが、対米隷属主義者としての安倍晋三なのである。
つまり、安倍晋三の正体とは、この対米隷属主義者としての姿である。
ただ、彼は対米隷属を強気で雄々しくやりたいのだ。
そのために仮想のナショナリスト、ファシストが構築されたのである。
彼がやりたがっており、一部はやってしまった諸施策
原発輸出、特定秘密保護法、武器輸出3原則の見直し、集団的自衛権なども
ナショナリズムから出たものではなく、米国の指示あるいは要請にすぎない。
集団的自衛権の問題の本質は
何年かに一度は大々的な戦争をやらねば国の軍需産業が持たない米国との集団的自衛権の行使であることだ。
相手は普通の国ではないのだ。
それを安倍自民党は、日本だけ米国に守ってもらって
米国が攻撃されたら日本は何もしなくていいのか
といったモラルの問題にすり替え、マスメディアとともに国民をだましている。
もし日中戦争になれば、米国は日本を守らない。
尖閣の領有権を巡って日中戦争になれば、米国が日本に味方して中国を攻撃するなど妄想の類いだ。
世界のどのような三流の政治家も笑い飛ばす類いの妄想である。
それは現在のウクライナ問題を見てもよくわかる。
米国は言葉で強いことをいうだけで、現実にロシアに対して軍事的な手出しはできないのだ。
つまり集団的自衛権の本質は、米国が戦争を始めれば
必ず、絶対に、義務的に、片務的に、自衛隊を米国の傭兵として差し出し、
戦争をやらされることにある。
それだけではない。
イラクやアフガニスタンを見てもわかる通り
戦後処理の膨大な費用をも、最初から戦争に荷担した当事国として
義務的に日本は負わされる事になる。
まさに米国の戦争のために、わたしたちが酷税に苦しむことになる。
実態は植民地奴隷の永遠の強要なのだ。
さて、ロシアは、クリミア半島の編入に伴い、着々とウクライナ問題に手を打っている。
これまでは、クリミア半島のセバストポリ海軍基地の貸与を受ける見返りに
ロシアは天然ガス代金を割り引いてきた。
しかし、クリミアが自国領土となったために、計160億ドル(約1兆6360億円)の返済を、
ウクライナに求める方針を決めた。
他方、われらの安倍晋三は、巨額の対外債務でデフォルトリスクを抱えているウクライナに対し
総額1000億円規模の支援を実施する。
これが対米隷属首相の役目である。
ウクライナ問題では、最初から蚊帳の外に置かれ、金だけ出させられる。
このことをおバカの安倍晋三が、得意げに24日にオランダのハーグで開催されるG7首脳会合で表明する。
安倍は、ロシアへの追加制裁もやるつもりだ。
つまり植民地ポチの正体が馬脚を現したのだ。
もし集団的自衛権を確立した後なら、この災いはこの程度ではすまされなくなる。
世界的に日本政治の劣化は見抜かれている。
最初から巻き込まれ、欧米の知謀に翻弄されて、長期間にわたって当事者としての負担を負わされることになる。
さて、ふたりの安倍晋三を見てきた。
ネトウヨはナショナリスト、ファシストの幻想に、ほぼ完璧にだまされている。
官僚、財界の一部は、対米隷属の安倍晋三を見抜いていて、靖国参拝など能書き程度にしか見ていない。
原発輸出、消費税増税、NSC、特定秘密保護法、武器輸出三原則を廃止しての武器輸出への転換などは
安倍政権の現実として誰も疑うことはできない。
日本CIAの設立、集団的自衛権の確立へと今後は向かう。
これらはすべて米国の要請という名の指示があったものばかりである。
わたしたちは忘れてはならない。
安倍に好き放題の条件を与えたのは、わたしたち国民なのだ。
こうなることを見通し、選挙で訴えた政党、政治家はいたのに
私達が彼等の声を聞かず、あまつさえ落選させ、自縄自縛の境遇を選び取ってしまった。
深く反省しなければ、そして本気にならなければ
息子や孫が、戦場に引っ張られる時代が確実にやってくる。
自民党が、もう何年も前から本気なのに
私達国民が、まだ自民党ほど本気になっていないのだ。
多くの日本人は、まだ、そこまではならないだろう、どうにかなる、と高をくくっている。
これが日本民族の敗北のDNAであり、
気がついたときには、反対できなくなっていて、お互いに嗤笑しながら戦場に出かけることになるのだ。
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