ニュースソースー毎日新聞
フジテレビジョンとライブドアのニッポン放送株争奪戦で、同放送は23日の
取締役会でフジに第三者割当で158億円の新株予約権(4720個)を発行する
ことを決議した、と発表した。フジが新株予約権を行使すれば新たに4720万株の
ニッポン放送株を取得、同放送の発行済み株式総数(昨年11月時点で3280万株)
を超える。このため、ニッポン放送を子会社化できることになり、争奪戦に決着を
つけたい考えだ。
フジの日枝久会長とニッポン放送の亀淵昭信社長らが同日夕、記者会見して発表した。
ニッポン放送はフジに新株予約権を発行するとともに、同放送が持つフジ株をフジに
貸し出すことも決めた。フジのTOBが成立すれば、商法の規定でニッポン放送のフジに
対する議決権が消滅するが、一方でフジ株を持つ外資の議決権比率が相対的に上昇し、
放送法の外資規制に抵触する恐れが出てくる。このため、フジがニッポン放送から
借りた株を売却して外資比率の上昇を防ぐ狙いとみられる。
毎日新聞 2005年2月23日 18時25分
またもや、
ほりえもんねたですが、自分なりに噛み砕いて解釈してみました。
その後、予想通り、リーマンの
空売りもあり、ライブドアの
株価は下がりました。
敵対的買収という言葉がありますが、この言葉の『敵対的』とは、誰にとって、敵対的なのでしょうか?
新聞などででてくる『敵対的買収』という言葉、結構ダーティーなイメージで、敵対的買収を
仕掛ける人間は『悪』だとお考えがちではないでしょうか?
敵対的というのは実は現経営陣に対してであり、株主にとって敵対的とは限りません。
株主にとって敵対的なのは、実は現経営陣の可能性もあります。
会社はだれのものか?という感覚が、欧米では株主、日本では経営陣ということが
よく現れているような気がします。
今回の
新株予約権の付与については、
1.現経営陣の立場を守る為なのか
2.企業価値維持の為なのか
によって、進む方向がまるきり違います。
もし、1.であれば、
商法280条違反で、ニッポン放送の取締役や、フジテレビは
窮地に立たされるでしょう。
逆に2.であれば、株主の為の新株予約権発行となるので、280条の違反には
問われません。
そこで、企業価値とは何ぞやと振り返ってみますと、上場会社の場合は、
時価総額というものが
目安になると思います。
前日の終値株価×発行済株式数で、簡単にもとめられれます。たとえば、
ライブドアの
場合、23日の終値353円に発行済株式数646,353,119株をかけると2281億6千万円と
いう数字がでてきます。
いまの会社の価値が、この数式(終値株価×発行済株式数)で算出されますが、そこで、
ニッポン放送が売却した新株予約権を仮にフジが行使して、全部株式に転換されたと
すると、現在のニッポン放送の3280万株が8000万株に膨れ上がることになり
ます。
さて、
ニッポン放送の23日の終値は6800円、発行済株式数は32,800,000株ですから
時価総額は、2230億4千万円です。このまま、株価が変わらなければ、時価総額は
6800円×8000万株と5440億円になるはずで、めでたしめでたしと
いえます。
時価総額がなんと3200億円も増えるぜーということになります。
しかーし、そんなに簡単にはいきません。もし、この式のとおりにいくのであれば、
会社は増資をすれば、ドンドン時価総額を高められることになってしまいます。
なぜ、簡単に行かないのかといいますと、会社の株価は、会社の資産規模や収益力などをもとに
決められているからです。
株価の算出方法の代表的な2種類は、
1.時価純資産方式~貸借対照表(資産規模)からのアプローチ
簿価の株式価値に、資産・負債の含み損益を加味して、純資産の価値を算出する方法
2.DCF方式~損益計算書(収益力)からのアプローチ
企業の収益力(フリーキャッシュフロー)が、永久に続くと考え、その価値を現在
価値に割り引いて算出する方法
で、今回の新株予約権の付与については、
1.は単純に5950円×4720万株=2800億の現金が増えるだけですので、
とても上記のような3200億円も増えません。
少なくとも、ニッポン放送は、今回のフジとの取引継続することにより、400億
以上の純利益がつみあがることを証明しないと、2月23日現在の株主には説明が
つきません。
2.については、もっとひどくて、調達した2800億の現金の運用が、仮に
預金に眠るとすると、ほとんど収益を生みません。すると、DCFベースでは
評価は全く変わらないので、3200億円の収益増強策を具体化しなければ
なりません。この場合でも、2800億の資金を使って、3200億に増やす
というロジックを組み立てることが必要です。
1.も2.も、具体案がでない中での、今回の発表は?ですねぇ。
2800億をつかって、400億稼げるロジックがきちんとできれば、
ニッポン放送、フジの側の論理が正しいことになります。
(何年かかるやら・・・)
う~ん、これは、ニッポン放送株主に対して敵対的なのは、ニッポン放送の取締役と、
第2位の株主のフジテレビのような気がするのですが・・・。