
アイリッシュ・・・σ( ̄- ̄)の耳からどうしても拭えない、美しくも物哀しい旋律。
自分ではブルースなんぞを演りながらも、アイリッシュの美しい旋律にも心動かされるのです。
・・・思えば両方とも「虐げられた民」の哀しい歴史、その彼らの心の中から湧き出てくる音楽、という点で共通しているからかもしれません。
σ( ̄- ̄)が学生時代、プログレ・ファンタジーロックの
「CAMEL」の大ファンだったことは、以前書いたと思いますが、このCAMEL、σ( ̄- ̄)にとっては「アンディー(アンドルー)・ラティマー」+「ピーター・バーデンス」だった。その片方の「バーデンス」が抜けてからは殆どCAMELの音源に触れていませんでした。「CAMEL」は今、オリジナルメンバーは「アンディー・ラティマー」のみで、彼のワンマンバンドと化しています・・・
で、久し振りで買ってみた「CAMEL」のコンセプトアルバム「Harbour Of Tears / 港町コーブの物語」。このマイナーな、おそらくココへいらっしゃる方の誰も聴いてないと思われるアルバムを、何故取り上げたかというと、一重にギターの音ゆえです。
アンディー・ラティマーのストラトから繰り出す美しい音色は、デビュー当時から大好きだったのですが、このアルバムでは更に更にσ( ̄- ̄)好みの音になっていて驚きました。
関連URL、もしくは
ココからオフィシャルHPへ行き、「JUKEBOX」を開くと、サンプル音源で、過去のCAMELの曲が7曲聴くことが出来ます。7曲目がこのアルバムからの曲になっています。音はPCなのでイマイチですが、音の感じ、雰囲気は解ると思います。
ちなみに、σ( ̄- ̄)が以前のblogで
「過去最高の音!」と書いた音がこのアルバムにある、と言っても良いです。まさにそっくりの音なのであります。・・いやマジで(笑)
今、自分が出せる音で一番お気に入りの音、それがこのアルバムの「アンディー・ラティマー」の音、と思って頂いて良いくらいであります。・・出来れば彼の機材構成を知りたいですねぇ。
大枠は、多分「オールドストラト+歪み系(おそらく綺麗系の良質なFUZZ)+空間系(多分リバーヴのみでしょう)+チューブアンプ」の音。
2曲目の「アイリッシュ・エア(リプライズ)」で聴けるギターの音には、あまりに理想の音に近いんでぶっ飛びました。
適度にコンプレッションの掛かった、張りがあり、伸びがあり、物凄くよく抜ける、素晴らしく美しい音です。
ちなみに「Special Thanks」のクレジットにある、「Gryphon Guitars」というのは、アンディー・ラティマーの自宅近くのギター屋さんで、ヴィンテージギターにも詳しい店長は、彼の良き相談相手だそうです。
アルバムの出来的にも、σ( ̄- ̄)は好きです。テーマを「アンディー・ラティマー」のルーツである、アイリッシュに求め(彼の祖母がアイリッシュ)、かの国の民の、哀しい歴史を語ったコンセプトアルバムです。
ちなみに1曲目2曲目の「アイリッシュ・エア」(エアは旋律、と言った意味)は、トラディショナル。つまりオリジナルぢゃなく、アイルランドで古くから歌い継がれてきた曲。美しくも哀しい旋律が、聴く者の心を捉えます。
・・そして、最後の曲が終わった後、波の音だけが15分以上流れます。愛する家族と別れ、移住して行く人々が、船の上から聴いた音なのかも知れませんね・・・。
75年の名作「Snow Goose」にも迫るコンセプトアルバムだと思います。
アイルランドは、19世紀に英国の侵略を受け、占領されます。
そして、多くの農民が土地を奪われ、英国の政策により、農地を牧草地に変えらました。英国はアイルランドの民に酪農を強制し、英国人の食卓に乗る「肉」を賄う役目を背負わされたのです。
酪農は、農耕に比して人手が要らない。故に、農民の多くが職を失い、他にさしたる産業もない国のため、その多くが移民となって、愛する家族と離ればなれになり、英国本国やカナダ・オーストラリア・アメリカなどの英国の植民地へ出て行きます。
その別れの舞台のひとつがこのアルバムで歌われている「港町コーブ」なのです。
ライナーノーツに、「1840年~1920年の間に、アイルランドで生まれた人の43%近くが海外へ移住させられた」とあります。まさに異常な数字であり、それだけたくさんの哀しみの涙が流されたのでしょう。
人に「一番大切なものは?」と問えば、「家族」と言う答えが多く返ってくるでしょう。その一番大切な家族が引き裂かれ、別れ、移民となって見知らぬ土地へ・・・・・そんなことに想いを馳せながらこのアルバムを聴くと、切なくなってくるのです・・・(T0T)
Posted at 2006/04/08 23:41:08 | |
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