「エアバッグ」
安全運転を語るのに安全装置について正しい知識を持っておかないことにはお話にならない、ということで、エアバック。
予め申し添えますが、当blog内の記述はあくまでも個人的な見解で、素人考えの域を出ないのですから 鵜呑みにされることは絶対にお止め下さい。参考にされるのは自己責任でお願いします。どんな場合でも当方は一切責任は取りませんので宜しくお願いします。
☆ アクティブセイフティとパッシヴセイフティ
安全装置と一言で言ってもいろいろありますね。大別すると所謂「アクティブセイフティ」と「パッシヴセイフティ」に分けられるでしょう。直訳すればそれぞれ「能動的安全性」、「受動的安全性」でしょうか。
アクティヴセイフティの装置とはどんな物か? ぶっちゃけ一言で言えばぶつからないようにする物、とでも言いますか。対してパッシヴセイフティの装置はぶつかったときの安全のための物。それぞれ例を挙げてみましょう。
まず、アクティブセイフティに関する装置では、ABS(アンチロックブレーキシステム)、EBD(電子制御制動力配分システム)、トラクションコントロール、ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)、場合によっては4WS(4輪操舵システム)やAYC(アクティブヨーコントロール)なども含まれるかも知れません。
パッシヴセイフティに関する装置は、エアバッグ、シートベルト、衝突安全ボディ、強化フレーム、サイドインパクトバー、もちろんバンパーなどもそうですね。
もっともご自分がお乗りの車にこの全てが装備されているわけではないでしょう。ですからここでは一般的に多く装備されている物に限って考えたいと思います。特殊な電子制御の、運転手があまり関われない物は除きます。素人にはよく解りませんしね。それらについてはメーカーのカタログでも読んでください。
エアバック、シートベルト、ABSはかなりの確率で装備されているでしょう。これらに絞って考えます。
で、まずエアバック。
☆ エアバッグ
エアバッグは近年急速に普及した安全装置ですね。今はこれが付いてない車は売れないでしょう。エアバッグが装備されることで相当安全性が高まったような錯覚を抱かせますが、しかし、自分個人はそこまでエアバッグを信頼して好いのか、懐疑的です。
現在一般的に使われているのはSRSエアバッグと呼ばれていますが、SRSとは補助拘束装置(サプリメンタル・リストレイン・システム)の略です。つまり、SRSエアバッグはあくまでシートベルトを補完する安全装置である、ということですね。エアバッグがあればシートベルトは必要ない、などと考える人は今は流石にいないでしょうが、過信の傾向にあるのは否めないと思います。シートベルトをしていたから助かった、と言う話はしばしば聞きますが、エアバッグがあったから助かったという話は余り聞きません。確かに顔や胸などを衝撃から守るのは解りますが、その効用はシートベルトほどではなく、個人的には逆にデメリットもあると考えています。
個人的に一番嫌だと思うのは、イザというとき自分で車のコントロール操作がまともに出来ないと思われること。視界が遮られ、また、開いている間はハンドル操作がまともに出来ないでしょう? 事故はぶつかってエアバッグが開いて終わり、という場合だけではないでしょう。その後もっと重大な衝撃を受ける衝突をする場合もあるんじゃないでしょうか? そういう場合、車が動かせる状態にあるなら、自分で少しでも出来得る限りコントロールしたい、ということがその大きな理由です。
プロドライバーも最後の瞬間まで車をコントロールしようとするといいます。ぶつかるのは避けられなかったけれども、二次衝突を避けることが出来るかも知れない、または、なるべく安全な場所でぶつけたい、走行に支障の出る車両前部からの衝突は避ける、などなど、一次衝突後、いろいろ運転手に出来ることはあるでしょう。そして回避操作の大きな部分を担うのはエアバッグが納められているハンドルです。
エアバッグは運転手から回避の機会を奪う「安全装置」であるとも思うわけです。
そういうと「エアバッグはすぐしぼむからその心配はない」と言われるかも知れませんが、そのエアバッグがしぼむ短い時間が勝負になると思います(しぼむのに掛かる時間は0.2秒。しかし100km/hで動く車は、その間5.56m進みます)。たとえ一瞬でも視界が遮られ、ハンドル操作の機会を奪われることは、逆に致命的な結果を招くこともあると考えています。
また、しぼんだエアバッグが操作の邪魔になることは想像に難くないです。開いてしぼんだ状態のエアバッグを見たことがありますか? あんな物がハンドルからぶら下がっていたら、一次衝突の後、出来る回避操作も非常にしにくくなるのは明白です。
このように見てくると、エアバッグ=より安全、という考えは必ずしも成り立たないと思います。場合によってはかえって危険を作出する可能性もあると思います。つまり根本的な発想の時点から問題があると思うのです。一次衝突の安全のみを考えた貧困な発想の産物と言わざるを得ません。または、一度ぶつかったら運転者に出来ることはないとでも思っているのでしょうか? ドライバーを馬鹿にするな!と言いたいですね。出来得るならば発想者にこの点を問い正したいものです。
時代の趨勢に逆行するかのような超個人的考え方ですが、皆さんはいかがお考えでしょうか?
この超個人的考えの根拠のひとつに、競技車両にはエアバッグが装備されていない、ということが上げられると思います。一般的に考えて衝突時、競技車両の方が遙かに危険度は大きいでしょう。しかしエアバッグの装備された競技車両など見たことも聞いたこともありません。もちろん競技車両と一般車両では、車の作りなど、もしもの時の車全体のパッシヴセイフティ自体が違いますから、並列では考えられないかも知れません。しかし衝突時の安全に寄与する度合いが大きく、デメリットがないのなら競技車両でも採用するでしょう。危険な衝突をする確率は競技車両の方が大きいですから。直言すればデメリットもある、ということではないでしょうか。
つまりエアバッグは有益な場合とそうでない場合がある、ということではないでしょうか? もちろん通常の市販車にお乗りで、運転経験の浅い人には、エアバッグがあった方が安全性が高まる場合も多いでしょう。しかし運転経験が豊富で技術も持ち合わせた運転手の場合、邪魔になる場合も出てくるということです。ですから標準装備にするのではなく、オプションにしておいて欲しい、というのが個人的な意見です。
アメリカではエアバッグ装着が義務づけられており、日本でも安全意識の高まりからオプションではなく標準装備されていることがほとんど。しかしそれは余計なお世話だ、ってことです。
外した自分のGC8インプレッサ純正のステアリングホイール、もちろんエアバッグ付きの物ですが、一応スポーツステアリングホイールで有名なMOMO製なんですが、エアバッグの機構を納めるため、すごく厚みがあります。重さもたかがハンドルの癖して何と3kg以上もあるんですよ。大きさも38Φとかで、でかくて回しにくいですしね。
余談ですが、競技の世界、特にそのトップカテゴリーは走る実験室などと言われ、そこで得たデータが市販車両にフィードバックされるわけですが、思うに、エアバッグに関してはその類ではないことは確かでしょうね。だって、競技車両にはエアバッグは着いてませんから。
順序が逆ですが、エアバッグの機構はどうなっているのでしょう? エアバッグは衝突すると車両に取り付けられたクラッシュセンサーが感知し、マイクロプロセッサ搭載の診断ユニットが「事故かどうか」を判断した後、ガス発生器の点火装置を働かせ、推進薬の高速燃焼(つまり爆発ですな)によって噴射された窒素ガスがバッグをすごいスピードで膨らませます。時速にして約300km/hで自分に向かって飛んでくるわけです。これも考えると何か怖いですね。自分のすぐ傍で点火爆発させてとんでもないスピードで窒素入りの袋が自分に向かって飛んでくる、う~ん、何か嫌ですね。
もう一点気になるのは、故障・誤作動です。大量生産の機械である限り必ず幾ばくかの不良率はあるでしょう。しかし不良品かどうか衝突するまで解りません。衝突時に開かないならまだしも、何でもないときに、または軽い接触でいきなり開いたら相当危なくないですか? センサーも全ての場合に正確に感知する保証はどこにもないでしょう? この辺りも個人的に非常に気になります。※
そんなこんなで自分のインプレッサは、エアバック付きのでかくて重い純正ステアリングホイールなんかとっとと外して、ご覧の通りお気に入りの物に着け替えてしまっています。
写真がその超お気に入りのイタリア製OMP Corsicaというステアリングホイールです。
軽量、35Φの適度な大きさ、メータパネルやインパネにマッチした青いスポーク、95mmのディープコーン、スパルタンなセンターマーク・・・・・う~ん、何てかっこいい!(自画自賛)
この素敵なステアリングホイールに関して、詳しくは
こちらでどうぞ。
※'04.7.20付けで、スバル車でも誤作動でエアバックが開く危険があるということでリコールがありましたね。「やっぱり」って思いましたね。リコールの詳しい内容はこちらへどうぞ。
『■エアバッグは凶器!?
「ユーザーの使い方によっては助手席エアバッグは凶器となる」―。ボルボ・カーズ・ジャパンは国内自動車メーカーの運転席および助手席エアバッグの標準装備競争に警鐘を鳴らした。ボルボでは成人がシートベルトを締めている場合における助手席エアバッグの有効性については認めながらも・子供が助手席に立つ・助手席に設置されたチャイルドシートに子供が座る・母親が子供を抱いて助手席に座る―などの場合には膨らんだエアバッグに挟まれたり、吹き飛ばされる可能性があると指摘している。このため、ユーザーのドライビングパターンに合わせてオプションで設定すべきだと判断しており、助手席エアバッグの標準装備を進めるトヨタ自動車、日産自動車との安全装備に関する考え方に違いを見せた。」
運転席と助手席エアバッグの安全競争が激しくなっていますが、このニュースはハード面の充実のみに目がいっていることへの指摘だと思います。消費者には、使い方といったソフトの情報(エアバッグは万能ではないこと)も同時に提供しなければなりません。
側面衝突時に効果のあるサイドエアバッグをベンツと供に採用しているボルボとしては、日本のメーカー以上に安全を考慮してきた自負があるのでしょう。最近のエアバッグ競争が、単に売るための手段になってしまっているのが苦々しく思えたのかも知れません。』
自動車メーカーにもこういう意見を持つところもあるようです。(ASPニュースより抜粋:赤字は管理人)
Posted at 2006/04/05 23:58:07 | |
トラックバック(0) |
お車 | クルマ