この頃、友人が買った新しい車に乗せてもらったりしていて、大きな車でも軽量で低燃費、おまけに静かで乗り心地もとても良いことに気付かされています。
今までスタイリングだけで古い車ばかりに目を向けていましたが、普段乗りするなら絶対新しい車のほうがいい、そう思うようになりました。
その一つが、エンジンの進歩。
ごく低回転からターボが効くのは当たり前、大型ステーションワゴンでノンハイブリッドでも15km/L以上走るんです。
もちろん車体を軽量に作れるようになったこともあるんですが、燃焼制御技術の進歩は凄まじいものがあります。
霧化特性の良いインジェクター、強力なスパーク、適切なバルブタイミングとリフト量の制御があってこそだと思います。
バルブタイミングはVcamで可変制御を取り入れることができますが、非常に高額。
今日は比較的安価で導入しやすいイグニッションコイルの強化に注目してみたいと思います。
まず、基本的なコイルの原理を下記サイトで理解します。
https://www.ngk-sparkplugs.jp/products/other/ignitioncoil/02.html
イグナイタで1次コイルに電流を流してやることで、2次コイルに高電圧を発生させ、プラグでスパークを起こさせるわけですね。
ここで重要なのが、1次コイルにいかに磁気飽和を起こさない範囲で磁束を発生させるかということ。
最近チューニング界隈でドエルタイムという言葉が浸透してきましたが、1次コイルに電流を流す時間を呼びます。
(
参考サイト)
ここで、コイルの自己誘導の公式より、
V=L(ΔI/Δt)
を見れば分かる通り、電流値が大きければ大きいほど大きな電圧を出力できます。
コイルに電流を流す時間が増えると電流値が増えていくので、ドエルタイムを増やせば電流が大きくなり(
参考サイト)、イグナイタがオフになった瞬間に大きな電圧が出力されて大きなスパークを起こせる、というわけですね。
コイルの特性として、磁気飽和を起こすと過電流が流れてしまうというものがあるので、あくまでこれを起こすまでの時間で電流値を高める、というのが重要になります。
そして、最近話題なのがドエルタイムを大きくしても磁気飽和が起きない、最大磁束密度の大きなコイルが純正品として出回っており、安価に流用可能、ということです。
それがこちら。
天然ガス用のリーンバーンコイルが、最大磁束密度が高くドエルタイムをかなり長くしても飽和しないというのです。
詳しい内容は
こちらの記事を参照ください。
点火が良くなると、基本的にはデメリットなくパワーアップできます。
ハイチューンエンジンは失火が起きやすいので、特にメリットが大きいと思います。始動性向上・低回転域のトルクアップ・高回転の失火解消などなど。
さてさて、では具体的に流用するために必要なものをピックアップしてみます。
①ガスコイルアダプタ

¥35000+tax
②35コイル流用カプラーオンハーネス

※無加工で下記コイルにも使えるらしいです
¥12000+tax
③イグニッションコイル (U08001-COIL)

¥7000×6 +tax
④コンピューターのリセッティング
これをしないとドエルタイムを変えられません。
ものだけ変えても何も性能は変わらないです。
ドエルタイムの変更と点火タイミングの調整で、数十馬力アップするみたいですよ。
もしチューニングする資金があれば、試してみたいものです。
【追記】
最近、チューニング業界で流行り始めたイグニッションコイルがあるそうです。

https://www.ignitionprojects.jp/rb26dett
米国のパーツらしく、本国のサイトを見るとこのような図が。
ドエルタイムが純正より長く、更に電流値も同じドエルタイムであっても純正より大きく、最大電流値もかなり違います。
さて、このグラフを見てお気づきの方もいらっしゃると思いますが、グラフの勾配は何を表しているのでしょうか。
答えは抵抗です。ただし、コイルにはほとんど抵抗はありませんので、イグナイターの抵抗が主な差の要因と考えられます。
さて、福島県にある坊有名ショップの店長ブログに、以前イグニッションコイルの純正流用について懐疑的な記事がアップされていました。
その中に、コイルは電流値だけでなく特性も重要、というような内容があったかと思います。
店長様がおっしゃっている特性というのを、私なりに考えてみました。
・イグナイタの抵抗:抵抗値が低ければドエルタイムを伸ばさなくても電流値を高められる。(一般的に、ドエルタイムを伸ばすためには点火時期を進角する必要があるが、それをしなくても良くなる)
・イグナイタの立下がり時間:V=L(ΔI/Δt)の公式の通り、電流値が大きくなると電圧が大きくなるのと同じ様に、イグナイタがOFFになってから電流値が0になるまでにかかる時間が短ければ短いほど、発生する電圧は大きくなります。つまり、ドエルタイム云々は関係なく性能向上します。
つまり、確かにドエルタイムだけを見れば優秀な純正品もあるかもしれないが、ダイレクトイグニッションコイルシステムとして考えればチューニングパーツの方がトータルで優れているのではないか、つまりイグナイタの性能が純正品は良くないのではないか、ということが推測されます。
この辺の真相は机上の空論では答えが出ませんので、実機を持っている方々の実験結果が上がってくるのを待つしかありません。。。
しかし、純正流用のメリットは抜群のコストパフォーマンスにあり、コイルの価格もさることながら、補修品として1本単位でコイルを購入できることが強みと言えるでしょう。チューニングパーツはセット販売のみが多いですから、、、