
懐かしい車のカタログが出てきました。
Austin Montego
80年代の最後の純英国設計の車です。
このカタログは日本版のVanden Plas版のカタログです。
Van den Plasとはその名の通り、オランダ系の名前を持つ、ベルギーの首都、ブリュッセルにあるコーチビルダーでした。
1913年に設立されたvan den Plas社の英国支社はやがて独自経営を行い、ロールスやベントレーなどの高級車のコーチビルダーになりました。
第二次大戦後の1946年、Vanden Plas社はAustinの子会社となり、Austinやグループ企業のDaimler(ドイツではなく英国Jaguar系のDaimler)の高級リムジンなどを作っていました。
1957年にVanden Plasは、Austinも参加した英国自動車メーカー合併会社BMC(British Motor Company)の一ブランドとなりました。
日本で唯一有名になったのは、BMC ADO16シリーズのVanden Plas版。
1962年から製造開始され、Morris、Austin、MG、Riley、Wolseley、Vanden Plas、そしてItalia版、Innocentiのバージョンがありました。
このADO16の設計者は初代Mini(コードネームADO15)で有名なIsigonis。世界14か所で作られた当時のベストセラーカーでした。
、とVanden Plasの簡単な歴史を述べましたが、日本では、バンデンプラ=ADO 16のVanden Plas
バージョンの独自の車名、と誤解している人が多いので、ちょっと説明してみました。
さてこのAustin Montego、1984年に発売されたAustin最後のセダンでもありました。
バランスのとれた端正な佇まい。
ウエストラインより下が窪んでいる斬新なデザインは、87年に発売され大人気になったE30三菱ギャランにも取り入れられました。
カタログは最上級のVanden Plasバージョンですが、この頃のVanden Plasは、Austin Montego、Maestro、Metro、Rover SD1、Range Roverの一ブランドとしての位置づけで、外観上の違いはエンブレム以外ありませんでした。
モンテゴ、マエストロ、メトロのバッジエンジニアリングとしてのVanden Plas。
真骨頂は内装の仕立てでした。
当時は英国車ではまだ珍しかったパワーウィンドを無理やりセンターコンソールにスイッチを付け、
大衆車のモンテゴやマエストロ、メトロに革張りのシートを付け(メトロは時代によりファブリック張りで手動窓バージョンもあり)、バージョンによっては木目や木目調の装飾をした、あえて言えば不自然な高級化バージョンでした。
私的にはこのモンテゴやマエストロ、メトロの長所は、普通バージョンのファブリックシートの内装。
このカタログの表紙のような、上品なツィード生地のクッションもたっぷりあるシート。
メトロのような廉価小型車のシートもすごくよく作られた趣味の良い生地のシートでした。
・・・・
日本でのVanden Plasのカタログは、高級そうなホテルでの撮影。
英国風ではなくアメリカ風のホテルは山中湖ホテルのようです。
Montegoには、1.6、2.0.2.0ターボの3種のエンジンがありましたが、このVPは2.0リッターノンターボ。
私が英国で乗っていた1.6Lでも普通に走るには十分でしたので、2.0ノンターボでも必要十分の走りをしたことでしょうね。
私が乗っていたMontego 1.6HL。素直な操縦性と外連味の無い良いスタイル、趣味の良い内装とイスでしたが、電気系統や補機類、シリンダーブロックの摩耗の弱さは、治し切れない英国病の弱点を引きずっていました。
でも個人的には壊れないMGモンテゴターボ、MGマエストロターボがあれば欲しかったな・・
(そんなものは存在しないのでしょうが・・^^;;)
Montego、英国最後の純国産セダンでした・・
Posted at 2018/02/26 22:23:56 | |
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