
近年のコロナ在宅景気、株高(現在下降傾向にありますが)、半導体不足で新車供給の停滞、米国古い車の輸入規制緩和などで、旧車の価格が高騰しています。
そんな中、RRのポルシェ911と比べて長年不人気だったFRの944系の価格が暴騰しています。
1998年ごろに、私が練馬の輸入中古車専門店に見に行った車。
Porsche 944 Turbo S
1988年に発売された944ターボのパワーアップバージョン。限定1000台が発売されました。
翌年の1989年から944ターボはこのターボSと同じ250馬力バージョンになりましたので、本来は、ターボS、限定車といったそれほどスペシャルな価値はありません。
944ターボSは、外見は1989年に発売された944ターボ、944S2と同じです。
1988年まではホイールは丸い穴が開いたテレホンダイアルホイールが純正でした。このホイールは1989年以降の944ターボのホイールに替えられています。
内装は944S2、944ターボと同じものです。
944ターボSは外装色、内装色は一種類の限定車でしたので、みんなこの色です。
この1980年代のポルシェやベンツ特有のカジュアルな、言い換えれば田舎のお爺さんのネルシャツのような寝間着のような垢抜けない模様。特にこの色は、日焼けや摩耗すると情けない感じになります。
この車は1988年から34年も経っていますが、走行3万キロで屋内保管だったのか珍しくみすぼらしい内装になっていません。極上の内装です。
944S2と同じフロントフェイス。
懐かしいリトラクタブルライト。
このBoschの汎用ハロゲンライト、私の944S2は外見では全く分からなかったのですが、暗かったので、新品に交換したら見違えるように明るくなりました。
10年以上の経年劣化でリフレクターの反射能力が落ちていたのですね。もしこの車を買ったら見た目でわからなくても新品交換が推奨です(^^)
このTURBOのオーバーフェンダーステッカーは純正オプションですね(^^)
ホイールは1989年以降の944ターボ用鍛造ディッシュホイールを履いています。ここだけが外見でオリジナルと変わっている所かな。
横から見てもスポーツカーの基本のスタイルですね。
世界中のすべてのクーペ型スポーツカーの手本となったスタイルです(^^)
ここから見るとリアオーバーフェンダーが強調された力強いスタイル。
ハッチゲートウレタンスポイラー、リアアンダースポイラーも944S2と共通です。
944S2 の代わりに Turbo の筆記体エンブレムがついています。
この1988年ターボSは、新車当時から S のエンブレムは付いていません。
翌年から発売された944ターボと同じ馬力だからでしょうか。
このレカロのスポーツシート。このターボSは表面はフルファブリックです。
フルファブリックがふかふかして気持ちよさそう(^^)
このシート、薄型ですが、背もたれは薄い鉄板が入っている感じで、想像以上にしっかりサポートして、長距離でも疲れません。さすがRECAROのポルシェ純正シートです。
電動シートのスイッチを見ると、このシートはフル電動シートです。
当時の944、911のシートはこのシートなのですが、フル電動シートと部分電動シートがあります。個人的にはこのシートはフル電動シートがお勧めです。
私の944S2はフル電動シートでした。走行中に前後、上下、背もたれの角度、が微妙に調節できるのです。このポルシェのレカロフル電動シートで、私の電動シートに対する偏見が修正されました。
それまでは、電動シートは重いしシートが電動なのは必要ない、と思っていました。なぜなら前後上下背もたれの微妙な調整ができないからです。それならダイアル式の手動の欧州車式調節のシートがいいかと。でもこのポルシェのレカロのシートは、本当に微妙な調整が絶妙にできるのです。
その後、自分の車としては2代目マツダスピードアクセラ、WRX S4前期型のクロスのシート、後期型のレカロ(と言う名前の)シートが電動でしたが、このポルシェシートの絶妙な調節幅とは比べ物になりません。もちろん悪い方にです。
リアシートは非常用。荷物を載せるために存在します。
このハンドルはチルトもテレスコもついていません。
この純正ハンドルは、大柄なドイツ人の足に当たらないように、ハンドルがシャフトの上部についている妙な設計です。回すと回転の中心がシャフトと同一じゃないので、変な回り方をします。気持ち悪いです。
ですから、私はハンドルを社外品のMOMOのハンドルに付け替えていました。
本当は細身のNARDIの革巻きハンドルが好きなのですが、944S2や944ターボはパワーステアリングでもステアリングが重く、細いグリップでは回すのに非常に力が必要でした。低速時には今の女性には運転しにくいほどの重さです。ですから私は太いグリップのMONOを付けていました。
エアバックのない昔は、自分の好みの高級ステアリングが装着できたいい時代でした。MOMOやNARDIの革巻きステアリングは、いまの車の純正の安物革モドキのステアリングとは全く握り心地が違います。
VDOの純正メーター。ターボ車は回転計の下にブースト計が付きます。
このメーターは生産後10年目くらいからプラスチックの成分が化学変化を起こし、黄色いつぶつぶがプラスチックの表面に析出して気持ち悪い見た目になります。このメーターがそうなっているかはこの写真の解像度ではわかりません(^^;;
またODOメーターのプラスチック製のギアが経年劣化で欠けて、オドメーターが動かなくなるのも定番の故障でした(^^;;
西ドイツのプラスチック部品は日本の気候に合わないようです。
そう、この時代の生産国表記は、Made in West Germanyでした。
なお、下の UNLEADED FUEL ONLY のテプラ?の表示は、純正で新車から貼られているものです。
「無鉛ガソリン専用」とは1980年代後半の日本ではいかにも時代遅れ。当時は日本ではすでにすべて無鉛ガソリンの時代でした。この日本では必要もない不格好な追加ラベルの貼付は、ドイツ本国からの指示なのでしょうか?
この辺は当時は排ガス規制などは、欧州の方が日本より遅れていました。日本はアメリカ輸出を主にしていましたので欧州の規制より厳しかったのです。
オートエアコンのスイッチ類と室温表示。
水冷FRの944は日本でもエアコンはよく効きました。
シフトノブの動作と感触はギアBOXがリアにあるトランスアクスルの独自なもの。
正直言ってトランスアクスルのシフト感は通常のギアがエンジンの後ろにあるダイレクトな感触と違います。944S2は15年近く所有しましたが、この遠隔操作のようなトランスアクスルのシフト感触は最後まで馴染めませんでした。
1989年以降のディッシュホイール。同じデザインでも944S2の鋳造、944ターボの後期型の鍛造があります。パッと見は同じですが、よく見ると薄型鍛造のホイールの方がかっこいいです。
この944ターボSは、オリジナルは1988年までのテレホンダイヤルホイールが純正ですが、1989年以降の944ターボの鍛造ディッシュ型に替えられています。
ドアサイドには、1990年頃までのデザイントレンドのドアパンチ予防のサイドプロテクターがついています。これは1980年代-90年代初めまでの車のデザインの標準装備でした。
リアラゲージルームカーペットも純正のまま、きれいですね。
944ターボSの2.5L、ターボ、250馬力、35.6kgmと今となっては大パワーではないですが、車重が1.2tクラスなので結構速いです。
エア栗ケースの四角いシールは正規ディーラーのオイル交換の記録ですね(^^)
この1988年式944ターボS、1998年に見に行った時には極上車が180万円ほどでした。当時は944系は人気がなかったのです。
で、24年後の今は、1,180万円!
私が2012年、民主党の1ドル73円の円高大不況のさなかに捨て値で手放した、フル記録簿付きRHD、実走行7万キロ、の極上944S2、当時の買い取り価格は捨て値の20万円でしたが、10年後の今、同程度の車は500万円近い価格がついています(><)