ワシントンDCの
ポトマック川にCRJ旅客機が墜落した事案。
滑走路01から33に変更依頼されて了承した該当機。
CRJは南から北上してレーガン空港のR33滑走路に侵入します。
米軍ヘリはポトマック川に沿って北側から南下してデビソン軍事空港に着陸します。
ポトマック川上空は米軍ヘリの航路になっているようです。
ヘリは空港の北側のポトマック川上空。
CRJはR01進入路からR33進入路に変更し始めた状態。
この状態で、ATC(空港管制官)は、ヘリに「CRJが空港の向こうの川の南側に居てR33に向けて進入中」と通知します。
PAT(ヘリ)は、「該当機は見えています。目視確認飛行を許可してください。」と返信します。
夜間でこれだけ離れた距離、車や街のライトがたくさんある首都の都市の上空、発着する飛行機が多い状況で、ヘリは本当に該当CRJを認識できていたのでしょうか。
衝突20秒前、管制官は(心配になり)ブラックホークに「CRJを目視で来ているか?」と聞いています。
その直後、衝突17秒前、管制官はブラックホークに「CRJの後ろを通るように」と指示しています。
管制官の画面では、北にブラックホーク、南にCRJ、赤い文字でCA(Conflict Arert、衝突警報)が点滅しています。
ヘリ(PAT25)の高度は約300フィート。
CRJは500フィートで着陸のために降下しています。
この段階で、管制官の管制卓では衝突警報のアラームが鳴っています。
管制官は、このアラーム音で慌ててヘリのパイロットに確認し、指示を出したのだと思います(私の推測)。
「CRJを視認しているのか?」、「CRJの後ろを通過せよ」と。
2機の衝突直前には、ヘリは300フィート、CRJは400フィートと表示されています。
CRJのCA警告が消えているのは「点滅」しているためです。
2機が衝突した時の高度は、双方とも300フィートと表示されています。
別のYoutubeソースによる更新情報だと、事故機のブラックホークは
前回のブログ記事の写真よりもひと世代古い機種だったようです。
別のソースの地図で見ていきましょう。
この段階で管制塔では衝突警報が鳴っています。
ヘリが200フィート、CRJは500フィートで降下中。
警報を聞いて管制官はヘリに「CRJは見えているか?」と確認します。
衝突まで20秒。(NTSB公式発表)
そして「CRJの後ろを通過せよ」と。
衝突17秒前。
NTSBの調査によると、この管制官の指示はヘリに聞こえていなかったのではないかと思われています。
その直後、ほぼ同時に、ヘリから、「見えている。有視界飛行を申請する」との返答。
本当にヘリは該当のCRJが見えていたのでしょうか?
おそらく該当のCRJは確認できていなかった(他のライトと誤認していた)と思われます。
ヘリからのこの返答のために、管制官の「CRJの後ろを通過せよ」の指示が聞こえていなかったのではないか、ヘリが通信するためにマイクをオンの状態にしていたため管制官の通信が聞き取れていなかったのではないか、というのが現時点でのNTSBの公式発表です。
管制官「有視界飛行を許可する」
そして管制官は衝突を目撃します。「あああ、、」
別の飛行機のパイロット「あいつら墜落した・・」
NTSB(National Traffic Safety Board)の長官の公式記者会見による発表です。
滑走路までわずか数秒、
CRJの64名、ヘリの3名の全員が死亡しました。
直接的な原因は、ヘリの飛行高度は200フィート未満に指示されていたのに、実際は300フィート以上を飛行していた。
ヘリの乗員はおそらくCRJを視認できていなかった。
CRJには直接的な落ち度はなさそうに見えます。
このヘリはホワイトハウスやペンタゴンなど政府の最重要機関が密集するエリアを警護する米軍の最も重要な任務の一つを担う部隊のヘリであること。
操縦していたのは20代の優秀なベテラン女性兵士。
副操縦士として監督していたのは30代の優秀な飛行指導教官の兵士。
3人目もベテランの操縦士で、この女性操縦士の訓練飛行中だったとのこと。
夜間警護飛行の常として、裸眼での目視と、ナイトビジョン(夜間目視ゴーグル)を付けての乗員がいたと思われ、夜間ゴーグルでは他の航空機のライトを正確に視認し辛かったのではないかと言われています。(元米軍操縦士やプロ航空会社パイロットYoutuberの意見)
また、操縦士と監督していた副操縦士の2つの高度計が指示していた高度の数値が違っていた、と言われています。
なぜ2つの高度計の数値が違っているまま漫然と飛行していたのか、それを危険に思わなかったのか、が疑問視されています。
このヘリの高度計には2種類の高度計算方法があり、
1)伝統的な気圧で測定する方法。この写真の計器の方法。
今回はこの計器が操縦士側と副操縦士側で数値が違っていたとのこと。
*気圧で高度を測定する方法は、当日の地上での気圧を測定し、数値を合わさなければなりません。登山をする人ならご存じのように(私は登山をしませんが)、毎日毎時変化する気圧を実際のその場所の標高に合わせて、その場所との気圧の差異で高度を測定する方法です。ですから、もし地上での気圧合わせをきちんとしていなかったとしたら、気圧計の表示する数値が違っているのも当然です。
またFDR(ブラックボックス)にはなぜかこの高度計の数値が記録されていなかったとのこと(NTSB発表)。
2)もう一つは、ヘリから地面に電波を発信し、その戻ってきた時間から地表との高度を測定する方法。
この方法は、気圧計での高度測定の補助に使われ、実際には救助活動の際に、実際の地表まであと何フィートか測ることをメインに使用するようです。
そしてこの方法で高度を測る際には、下が水面の場合、正確な高度の測定が難しい(波打っているため?)そうです。
いずれにせよ、今回は操縦士と副操縦士の気圧による2つの高度計の数値と、この電波測定による高度計の数値も違って表示されていたようです。
今回の衝突の瞬間は、高度300フィート台から降下していたCRJと、本来は高度200フィート以下を飛行する規則だった(この場所のヘリの航路は200フィート以下の指示がある)ヘリが、高度300フィート台で衝突したのです。
衝突の1秒前にCRJは右横下から突っ込んで来るCRJを視認し、左に上昇して避けようとしていました。
左に上昇しようとしたために左翼が下がり、その左翼にヘリが衝突して2機とも墜落しました。
下記は参考にした一部のYoutubeです。
長くなりましたので、今回の事故に関する個人的な考察は、次のブログに続きます・・