**この記事は2012年2月4日に投稿した記事の改行及びリンク切れ等を修正したものになります。**
出張が多く、ほとんど休みもない私の数少ない息抜きが飛行機の中での時間です。
最近は(も?)超多忙で隣の席に人がいないときは機内でもパソコンで仕事をしていますが、航空会社もコスト効率を徹底的に追及する昨今、隣が空席だということはめったとありません。
そういう場合は、仕事をするわけにもいかないので、長距離線の場合は機内のエンタメを見て息抜きをします(コスト削減で機内エンタがない場合が多いアメリカの航空会社を除く 笑)。
ここ何年も機内で楽しみにしているプログラムがあります。
そのプログラムは80年代を中心にかつてヒットしたミュージシャンのミュージックビデオ(プロモーションビデオ、PV)を流す番組で、数年前までジオラマ撮影だった「機関車トーマス」と同じくらい楽しみにしている番組です(笑)(機関車トーマスについては別の機会に 笑)
その曲は以前から知っていたのですが、80年代のMTVブームがあまり好きでなかった私は、PVはほとんど見たことがありませんでした。そしてその曲のPVも機内で初めて見ました。
そのPVを見たとき、個人的にその景色の優しさとなつかしさに思わず・・・ときました。
私は90年代初めに数年間英国北部に住んでいました。
英国はユーラシア大陸の西端、フランスの北、スカンジナビア半島の西側に浮かぶ世界第9番目の面積の島に存在する国です。(ちなみに1位はグリーンランド、日本の本州は世界第7位の面積の島だそうです)
メキシコ湾流、北大西洋海流のおかげで緯度の割には温暖な気候を持つ英国ですが、緯度は同じユーラシア大陸の東端で考えると、樺太中部からカムチャッカ半島の付け根付近に位置する北極圏に近い位置づけになります。
テムズ川のほとりにある英国の首都、ロンドンはグレートブリテン島のほぼ東南の端に近い位置にあります。ご存知のように英国本土は、England、Scotland、Wales、Northan Irelandの4つから構成されており、Englandはグレートブリテン島の南部2/3を占めています。
私が住んでいたのはイングランド北部で、大英帝国島のちょうど中央に位置する場所でした。
緯度の高さから夏は23時前まで明るく、夕食時間の19時を過ぎるとまだまだ明るい街は通りには誰一人としていなくなり、弱い北国の日差しだけがさしています。23時ごろになると北西の空は弱弱しいオレンジ色に染まり、夕暮れの帳が降りてきます。
冬は10時ごろまで薄暗く、15時にはもう真っ暗に近い状態になり、人々は長い夜をすごします。
冷たい北の大地に温暖な海流が運ぶ暖かい空気のせいで、英国の空はいつも曇りがちで、Shower(小雨)やDrizzle(小ぬか雨)が降っています。
1983年にロンドンで結成されたThe Dream Academyという3人組のバンドは、85年、Life in A Northern Townと言う曲で全米7位、全英15位のヒットを飛ばしました。
VIDEO
このプロモーションビデオを見ると、北部英国の地味な気候の中で暮らしていた90年代初め頃を思い出しとても懐かしい気分になります。
PVに写っている風景は、一部JFK関連の映像を除き、英国北東部の都市
Newcastle Uopn Tyne 、Dahramなど英国北部の都市の列車や車の車窓からの風景になります。
NewcastleのTyne川に架かる橋、世界遺産Durham大聖堂(ハリーポッターの映画の魔法学校修道院のロケ地)、山あいの20世紀初頭に建てられた庶民の住宅、テラスハウス、、、それらが北の英国らしい空模様の下で映し出されて、本当に日々の英国の風景がよく表れています。
Youtubeを見ていると、彼らの初期のPVが出てきました。
VIDEO
このPVは英国北部、リーズとマンチェスターの間に位置する、ウエスト・ヨークシャー地方のHebden Bridgeという村で撮影されており、19世紀終わりから20世紀初頭に作られた典型的な古い庶民の住宅風景を表しています。この時代は、こういう山あいには水力を利用する紡績工場が栄え、遠く植民地のインドから運ばれてきたコットンを加工する産業が栄えていました。
私が住んでいた街の周辺は、かつて谷間を流れる水力と周辺で取れる石炭を利用した鉄鋼業で栄えた街でした。
英国の製造業は20世紀初頭に全盛期を迎え、1970年以降は衰退していくばかりでした。
しかしかつて世界を支配した豊かな時代に培った遺産で、自国の言葉を世界共通語にし(実際は元植民地のアメリカの力が大きいのですが 苦笑)、音楽や映画、映像番組や語学、ソフトウェア、金融など新しい産業が育ちました。
独自の言語と文化で世界のガラパゴスとして空前の繁栄を迎え、そしていま衰退期に向かっている日本は、将来何で食べて行けばいいのでしょうか・・・
*3月3日、歌詞を追加しました。
A Salvation Army Band played
And Children drunk lemonade
And the morning lasted all day,
All day
救世軍バンドが演奏している
子供たちはレモネードを飲んでる
朝はずっと続くよ、ずっと(*1)
(*1 英国北部の冬の日の光は弱く、昼になっても朝のような弱い光とさわやかさがあります)
And through an open window came
Like Sinatra in a younger day,
Pushing the town away
Ah
フランクシナトラの若いときのような
歌声が窓から入ってきて街に抜けていくよ
Ah hey ma ma ma
Life in a northern town.
北の街の生活
They sat on the stoney ground
And he took out a cigarette out
And everyone else came down
To listen.
タバコを取り出して話し始める彼を
石の地面に座ってみんな聞き入ったよ
He said "In winter 1963
It felt like the world would freeze
With John F. Kennedy
And The Beatles."
「1963年の冬はケネディ(暗殺事件)と
ビートルズ(の人気)で世界が凍ってしまったよ」
Ah hey ma ma ma
Life in a northern town.
Ah hey ma ma ma
All the work shut down.
北の街の生活
この辺の工場も全部閉鎖されてしまったよ
The evening had turned to rain
Watch the water roll down the drain,
As we followed him down
To the station
夜には雨になった
雨水が側溝に吸い込まれて行くよ
あの時僕らが彼に駅までついて行ったように
And though he never would wave goodbye,
You could see it written in his eyes
As the train pulled out of sight
Bye-bye
彼はバイバイの手を振らなかったけど
列車が離れていくときに
さよならと書かれていたよ
彼の瞳の中に、、、
Ah hey ma ma ma
Life in a northern town.
Ah hey ma ma ma
Life in a northern town.
北の街の生活
北の街の生活
(訳責:44love)