
2020年10月に、女優の伊藤かずえさんの愛車「シーマ」の一年点検の際のSNSへの投稿がきっかけとなり、伊藤さんが30年以上に亘り、この初代シーマを愛車として大切にされていることが、SNSやメディアで大変話題となりました。
日産社内でも何かできないのかとの声が多く上がり、有志によるチームが立ち上がり、伊藤さんへの「日産からの感謝の思い」をレストアという形で応える取り組みが始まったという。
その後2021年4月下旬にオーテックジャパンにて「シーマ」を預かり、本格的なレストア作業がスタート。約8か月間の期間を経て、すべてのレストア作業が完了。
そんな中、伊藤さんご本人の「ぜひ皆さんにも見てもらいたい」という、たっての希望もあり、
期間限定で日産の発信拠点であるNISSAN CROSSINGにて実物のレストアを終えた「シーマ」の期間限定・特別展示をしています。
伊藤かずえさんのシーマ
○開催期間 2021年12月8日~12月22日
伊藤かずえさんのシーマ レストアの取り組み
伊藤かずえさんのシーマ レストアの取り組み
【日産】伊藤かずえさんの「シーマ」復元ダイジェスト映像" を YouTube で見る
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■スペイン語で「頂上、完成」の意味をもつ「シーマ」
初代シーマ・FPY31 型は、1987(昭和62)年の第27 回東京モーターショーに出品され、「日本的な味を持った、世界に通用する新しいビッグ・カー」をコンセプトに、1988(昭和63)年1月に発売された。
従来の国産大型セダンになかった伸びやかで気品あるスタイリングとインテリア、パーソナルな乗り味や優れた運動性能など、数々の新しい価値が大好評となり、当時の経済メディアが「シーマ現象」と報道するほどの爆発的人気車になった。
発売翌年には物品税廃止(消費税導入)も追い風になり、当時のいわゆる「3 ナンバー車ブーム」の発端にもなった。
○セドリックシーマ タイプIIリミテッド (1988年式)
型式 FPY31型
全長 4,890mm
全幅 1,770mm
全高 1,380mm
ホイールベース 2,735mm
トレッド(前/後) 1,500/1,520mm
車両重量 1,640kg
エンジン VG30DET型 (V6・4バルブ DOHC・ターボ) 2,960cc
最高出力 187kW(255ps)/6,000rpm
最大トルク 343N・m(35.0kgf・m)/3,200rpm
サスペンション(前/後) ストラット/ セミトレーリングアーム( 独立)
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク
タイヤ 205/65R15 93H
車両本体価格 510万円 (タイプIIリミテッド)
◆シーマは、3ナンバー専用ボディ
Y31シーマのボディは全長4890mm、全幅1770mm、全高1380mm(タイプIIリミテッド)。
ロング&ワイド&ロー。
カーデザインにおいて美の三大要素といわれるこれらの要素を、サイズの制約を超えて自由な発想からバランスさせた理想のカタチ。
フロントは、ヘッドランプをサイドに回り込ませない個性的な顔立ち、たっぷりとした張りのあるフード、気持ちよく絞り込まれたフェンダー。
そしてボディサイドはボリューム感のある曲面がテールエンドまで続く。
豊かなリアピラーからリアフェンダーに至る伸びやかな流れ、リアウィンドウの柔らかな丸み、そしてリアコンビネーションランプは、優雅さを物語る。
◆ライバル(クラウンやソアラ)より圧倒的にパワフルにしようと考えていたらしい。
じつは、VG30DETはF31レパードのために開発したエンジンだったのです。ゼロヨン加速は15秒台。スポーツカーより速かった。
当初、ノンターボのツインカム(VG30E)で十分、パワーはそれほど必要ない、という考え方だった。
「同じ200馬力だけどウチのは違いますよ」と営業マンが言ったところで、もう一つ説得力がない。ターボ付き250馬力以上というのは「売るために絶対に必要だ」と。

レパードに載せるために開発していた255馬力のVG30DETをシーマにも載せようとなったらしい。
255馬力ツインカムターボエンジンは良い走りのために必要としていたということはもちろん、顧客を納得させるための強力な「営業ツール」であるとも考えていた。
その結果、優れたデザインとともに、大パワーとそれがもたらす豪快な走りによって、多くのユーザーはシーマというクルマに魅了されていくのであった。
"Y31シーマ前期CM" を YouTube で見る