防衛省が10~20年後の有事シナリオを練り、シナリオに基づき陸海空3自衛隊の防衛力を一元的に整備する「統合防衛戦略」の策定に着手したことが31日、分かった。シナリオはロシアや北朝鮮などによる攻撃も想定するが対中国有事が柱。沖縄県・尖閣諸島などへの侵攻を想定し、海兵隊機能や警戒監視能力の強化につなげたい考えだ。
安倍晋三首相は防衛力整備の基本方針「防衛計画の大綱」を改定する方針を固めており、改定作業は今夏から本格化する。新大綱に反映させるため統合防衛戦略の策定は夏前に終える。
これまで大綱の策定作業では有事シナリオに基づいた検討を行ってこなかった。そのため3自衛隊ごとに脅威の分析が異なり、「統合運用」には適さない装備を導入する弊害も指摘されていた。
対中シナリオは(1)尖閣(2)尖閣と石垣・宮古両島(3)それらに加え台湾-への侵攻の3種類。北朝鮮シナリオは弾道ミサイル攻撃と、原子力発電所などへのゲリラ攻撃を想定する。
統合防衛戦略はロシアを含めた3カ国の動向を中心に将来のアジアの安全保障環境を分析した上で、
日米同盟と防衛力整備の方向性を提示。シナリオから導き出される装備と運用構想を打ち出す。
対中有事で日本側は離島奪還作戦がカギを握る。在沖縄米軍の主力部隊「第31海兵遠征部隊」(31MEU、約2200人)規模の海兵隊機能を陸上自衛隊が備えることを検討する。
東シナ海の常時監視に向け、大型飛行船を浮かべる成層圏プラットホームや無人偵察機の導入を視野に入れる。中国の海・空軍力強化を見据え、新型潜水艦や、2030年ごろ退役する航空自衛隊の主力戦闘機F15の後継機の開発・導入も急務と位置づける。
脅威を見定めて三軍をそれに効果的に対抗できるよう統合して運用するのが防衛の原点だろう。三軍の脅威が異なると言うのは国家防衛上如何にもよろしくない。旧海軍が米国を、旧陸軍が旧ソ連をそれぞれ仮想敵として統合的な運用ができず足並みを乱した教訓がこれまで活かされなかったというのは極めて日本的な気がしないでもない。
現在の日本にとって最大の脅威は拡大を続ける中国で12年後には軍事費で米国をしのぐという予想もある。これに対抗するには陸海空自衛隊の統合運用はもちろん日米同盟に豪・露・印などを核とするアジア諸国の連携も必要だろう。もちろん、この辺りは防衛の枠を超えて外交の分野となるが。そのためには日本も同盟の核となれるような効果的な防衛力とその運用を検討する必要があるだろう。
この先の10年ほどは日本にとっていろいろな意味で国運のかかった正念場となるだろう。経済、外交、そして安全保障に効果的な政策を打ち出し、実行すべきだろう。
Posted at 2013/01/02 14:19:42 | |
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