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2017年06月08日 イイね!

翼の向こうに(63)




翌日、一機を補充して十機になった我々の部隊は五機づつの変則の二区隊を編成して任務についた。高瀬は昨日の戦訓を取り入れて、二つの区隊が約千メートルの高度差を取って哨戒を行うことにした。

 
その日の午後何時もより早い時間に敵の来襲を告げる無線が入った。敵は昨日と同じように上下二段に構えて侵入して来た。その上方に位置する編隊に真っ直ぐに飛び込んで行く紫電があった。小島少尉機だった。高瀬が編隊に戻るよう無線で呼びかけたが、小島少尉からは何の応答もなかった。そして小島少尉はそのまま二度と地上に降り立つことはなかった。


「命を捨てることはそんなに容易いのか。死ねと命令されればもがき苦しむのに生きて戦えと言われれば簡単に命を捨ててしまう。人間って奴は一体どうなっているんだ。」

 
高瀬は手袋を椅子に投げつけた。感情を表に出すことの少ない高瀬には珍しいことだった。本隊が前線に復帰するまでの間、我々は二十機近い敵機を撃墜したが、十機を超える機材と残留した搭乗員の半数に近い六人の搭乗員を失った。彼我の損害を単純に数値で見れば勝ち戦だった。まして、彼我の戦力差を加味すれば大勝利と言っても決して言い過ぎではなかった。反面、戦術的な面から目を転じて生産力から戦闘を分析すればほとんど底をついた日本の工業生産力では敵の半数の戦闘機を失ったことは取り返しのつかない大敗北ともいえた。

 
こうして考えてみると単に戦果として表れる表面的な数値を比較して勝った、負けたと一喜一憂していることが児戯にも等しいことと知った。高瀬が言うように戦争の勝敗は前線の戦力を支える補給、整備は言うに及ばず、生産力、技術、資源と言った国力に関するものまで様々な要素を加味して論ずるべきだった。

 
生産性や製品の精度といった工業力に関する問題点は飛行場のあちこちに置かれた部品不足や故障で蹴飛ばしても飛ばなくなった決して少ない数とは言えない紫電が無言のうちに物語っていた。どうにも飛ばなくなった機体から部品を取り外したりして、数機の機体からそれぞれ程度のいい部分を寄せ集めては稼動機数を増やそうとする整備の血のにじむような努力はそれ自体賞賛に値することだったが、我々の部隊という海軍のごく限られた一部分で考えても、それが戦闘に大きく貢献するとは言い難かった。

 
部隊は人員、機材の補充を受けて再建され、五十を超える機体とともに前線に復帰した。空を圧するような大編隊の勇姿は否が応でも基地全体の士気を高めたが、その内容はむしろ寒々しいとも言えるものだった。

 
補充の搭乗員には戦死した高藤少尉の後任として赴任した坂本少尉のような支那事変以来の歴戦の戦闘機搭乗員や比島戦の強行偵察で勇名を馳せた加山大尉のような勇猛果敢な搭乗員もいたが、半数を超える搭乗員が実戦未経験だった。

 
しかも、それに加えて補充された機体は高瀬が言っていたように外見は同じでも中身は別物という数合わせの粗製濫造が多く、質の低下した燃料もそれに拍車をかけた。機体の性能は全体的に初期の機体に比較して七、八割に低下していた。そうした悪条件が重なって部隊が戦闘に投入できる機数も部隊創設当初のように五十機を超えることはなかった。

 
部隊主力が到着すると残留していた士官は全員が飛行長に呼ばれた。四人いた士官は二名が戦死してその時集合したのは高瀬と私の二人だけだった。


「ずいぶん苦労をかけたそうだな。ご苦労だった。」


飛行長は私と高瀬を交互に見つめながら静かに言った。


「内地ということで甘く見てしまったが、ここは最前線だった。命令とはいえ中途半端な配置をして君たちには本当に辛い思いをさせてしまった。部隊の主力も戦力を回復して展開を終わったことだし、せめて二、三日はゆっくり休んでくれ。」


飛行長は振り返ると机の上に置いてあった二つの包みを取って我々に差し出した。


「武田分隊士、君の奥さんから預かってきた。戦闘機が戻ってきたのを見て尋ねて来たようだった。君たち二人に渡してくれとそう言っていたよ。ご主人は向こうに置いてきたとも言えず辛かったよ。」

 
飛行長は苦笑いを浮かべた。そんな飛行長に私たちは丁寧に礼を言うと荷物を受け取って宿舎に引き上げた。寝台に腰を下ろして受け取った包みを開けると下着などの着替えと一緒に手紙が出てきた。そこには簡単な近況の報告が認めてあった。そして最後にこう記されていた。


『今は特に長い手紙を書こうとは思いません。貴方に話すことがないのではありません。話したいことは書いても書いても書き足りないくらいあるのです。でも、私は貴方と向き合って話したいのです。そしてそんな機会がきっと来ると思っています。だから今は貴方の無事と、そして貴方が義務を果たして帰ってくることを祈っています。』

 
私は手紙を封筒に納めると高瀬を振り返った。高瀬も中に入っていた手紙を読んでいた。何が書いてあるのかは分からなかったが高瀬は黙って長い間手紙に見入っていた。小桜と高瀬の間に何かしらの感情の交換があることは私も薄々は気がついていた。それは恋愛というよりもそれぞれに何かしら自らが進むべき道を求めようとしている人と人との触れ合いに近かったのかもしれない。

 
神という見ることはおろか、触れることも感じることさえ容易ではない概念を通して人としての最高の良心を求めようとする高瀬の生き方が小桜の心を動かしたのかもしれなかった。そしてそんな高瀬の生き方を受け止めて理解しようとしている小桜を高瀬も好ましく思っているように思えた。

 
高瀬と小桜が互いに共鳴しあうことについて、それが道を求めるもの同士の触れ合いであろうと、男と女の感情であろうと、私自身は二人の関係に嫉妬などは微塵も感じなかった。小桜が私を愛してくれていることは十分すぎるほど感じることが出来たし、最初から私たちは現実の中でお互いに拠り所を求めようとしてつながった間柄だった。

 
だからそういった現実の中での拠り所とは別に高瀬と小桜が精神的な拠り所を探し合うことは何の不思議もなかった。それにこんな時代、私には小桜が言うように私たちがゆっくりと向き合って話をする時間が持てるようになるなどとはどうしても考えられなかった。それどころか今日が終わる時に自分がこの世の中から消え去っていても何の不思議もないように思えた。

 
もしもそうなった時、まるで身勝手な考えだということは分かっていたが、人としても、そしてまた戦士としても信頼し、そして尊敬も出来る高瀬が小桜と結ばれるようなことになれば、それはそれで私自身は後顧の憂いが少なくなることには間違いなかった。


「おい」

 
そんなことを考えながら高瀬を見つめていた私はいきなり声をかけられて飛び上がりそうなくらい驚いた。


「どうしたんだ、恋焦がれる少女のような目をして俺を見つめて。俺に惚れたのか。さっきからずっとお前の方を見ていたのに気が付かなかったのか。」

 
高瀬は微笑みながら私に向かって言った。その高瀬の笑顔を見た時、私は胸を締めつけられるような息苦しさを感じて体を硬くした。


「どうしたんだ、顔まで赤くして。今や貴様もエースだろう。海軍航空隊のエースが本当に俺に恋をしてしまったのか。」

 
高瀬は声を上げて笑った。何の屈託もない清んだ笑顔だった。そんな笑顔からこぼれる高瀬の笑い声が耳の中に心地よく響いた。


「この男について行くのなら、そしてその結果なら、俺は何の躊躇いも後悔もなく死ねるかもしれない。」

 
自分の顔が紅潮していると高瀬に指摘されて胸が高鳴った。そしてますます体が硬くなって顔が火照っていくのを感じた。高瀬に感じた私の感情は本来同性に感じるはずのないものだったが、私はこみ上げてくる感情に戸惑いながらそれをある種の快感のように感じていた。



Posted at 2017/06/08 17:37:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説2 | 日記
2017年06月08日 イイね!

大型二輪に乗ろう(ワークマンがライディング用品の販売を始めたようだ。)




バイクで出かけるといろいろなバイクに乗った様々な出で立ちのライダーさんに出会う。若い人たちが結構カジュアルな姿でバイクに乗っている。ハーレー軍団は「もしも転倒したらどうするんだろう」と言うような恰好の人が多い。ただ、あの手のバイクにはそれなりのスタイルフィロソフィーがあるんだろうなあ。


中高年のライダーさんはやはりバイクも良いが、ウエアも全身それなりのブランド物で決めている。ブランドロゴも見たことのあるものばかりで結構いい値段するんだろうと思う。


自分自身は普段から着るものは靴以外はあまりかまわない。ジーンズメイトをよく使っていたが、店舗整理でみんななくなってしまったので最近はWMブランドを愛用している。


靴は元山屋さんなのでトレッキングシューズを履き続けている。本格的な登山靴ほどではないが過酷な環境で使用するので歩きやすさと足の保護にはそれなりに意を用いている。革靴などは職場に1足置いておいてどうしても必要な時だけ履くようにしている。人間が人間たる所以の2足歩行を続けるために足を守ることは大事なことだ。足は第二の心臓と言われ血液の循環に大きな役割を占めている。人間歩けなくなると一気にボケる。


おっと、話が飛んだが、最初にバイクに乗り始めたころはカーゴパンツか何かに長袖シャツと言った普通の出で立ちでグローブはWMブランドの作業用皮手袋などと言う格好だった。


しかし、あることを切っ掛けにバイクは転倒するととんでもないことになるかもしれないと思い、ボディアーマーと手足のプロテクターを買い込んだ。手袋もライディンググローブなるものを見てみると要所にハードプロテクションがついて革で補強されていて丈夫そうなのでこれも買い込むようになった。そしてライディングブーツも買った。


こうしたものはほとんどがRSタイチでボディアーマーだけがコミネだ。バイク用品と言うのはバイクに乗るためにいろいろよくできている。安全には金をかけないといけない。しかし、ウエアは未だにWMブランドではある。綿のワーキングジャケットにシャツ、そしてズボン、耐摩耗性は革性が抜群というが、厚手の綿も悪くない。化繊は熱で溶けて皮膚に張り付きけがをひどくする。上下3枚、締めて1万円で吸湿性は良いし、普段着にも使えるし、コスパも抜群ではある。


もっとも冬はそんな恰好では凍死してしまうので冬山用のジャケットとこれも冬山用のオーバーパンツを履く。そう言えば最近WMもバイクウエアを出しているようだ。うちの教習所もこの間レインウエアを10着ほど買い込んでいた。で、今日カタログを見ていたらライディングジャケットとカーゴパンツが載っていた。価格は上下で7千円弱だからこれも経済的かもしれない。他にも数種類あるようだ。これからWMブランドのジャケットやパンツが流行るかもしれない。


ウエアは好みがあるだろうし、厚手でしっかりした生地なら何でもいいんだろうけど、刺し子とか・・、安全装備の要のヘルメットやプロテクターはそれなりのメーカーのものをきちんと装着しよう。お隣の世界第2位の経済大国製のヘルメットなどスイカかかぼちゃの皮を被っているのと同じだ。あんなもの安いからと言って絶対にいけない。そう言えばうちの職員が3250円かなにがしかのボディアーマーを買ったと言うので見せてもらったらさすがに何もないよりはましかもと言う程度のものだった。安全には金をかけよう。ウエアもそうだけどプロテクターのあるなしは生死を分けることがあるからねえ。

Posted at 2017/06/08 15:49:09 | コメント(0) | トラックバック(0) | バイク | 日記
2017年06月08日 イイね!

どこに向かうか、トランプ政権、・・(-。-)y-゜゜゜。




<テロ攻撃への対応に奔走するロンドン市長に的外れな攻撃を繰り返したトランプ。メディアはもちろん、共和党保守派からも疑いの声が......>

ドナルド・トランプ米大統領の「精神状態」について5日、有名な保守系コラムニストが疑問を投げかけた。月曜の朝にCNNの情報番組「New Day」にゲスト出演したワシントン・ポスト紙コラムニストのジェニファー・ルービンは、共和党内部でトランプは「不安定で信頼できない」という声が上がっていることを明かした。トランプの大統領としての適正に疑問が膨らんでいるのだ。

米政治専門メディア「ザ・ヒル」によれば、ルービンは次のように言った。「トランプの精神状態には深刻な懸念がある。アメリカの大統領がこれほど不安定で頼りにならないというのは大問題だ。どれほどの被害をもたらすかわからない」

さらにルービンはロンドンのサディク・カーン市長を批判したトランプのツイッタ―投稿を引き合いに出し、「問題は、的外れな批判で、テロリストに襲われたばかりで緊張状態にある市の市長を攻撃するという最悪の妨害をやってのけたのが、我々の大統領だということだ」と指摘した。

【参考記事】人種差別は薬で治る精神疾患??

テロ直後に妨害ツイート

ロンドン中心部で3日に発生したテロ事件の翌朝、カーンが警備体制の強化を巡り「心配する理由はない」と演説したことについて、トランプは警備についての文脈は飛ばして「ロンドン市長はテロを『心配する理由はない』なんて言っている!」と批判した。

At least 7 dead and 48 wounded in terror attack and Mayor of London says there is "no reason to be alarmed!"— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年6月4日


(テロ翌日にロンドン市長を批判したトランプの投稿)


これを受けカーンのスタッフは、「トランプに応えるよりも大事なこと」があると言った。それは、過去3カ月で3度のテロ攻撃を受けたロンドン市民に平静を保ってもらうことだ。それにもかかわらずトランプは「ロンドン市長のサディク・カーンは、『心配する必要はない』と発言した後で、病的な言い逃れをした。メディアはそれを売り込むのに必死だ!」と追撃した。

【参考記事】ロンドン市長批判で、トランプの訪英反対運動が再燃

「学習能力」は、ない

トランプは昨年の選挙戦の最中から、共和党の右派やメディアから厳しい言葉を浴びせられている。女性誌バニティ・フェアによると、ジョー ・スカーボロー(元共和党下院議員、MSNBC『モーニング・ジョー』司会者)は先月、トランプをこう評している。「残念ながら彼は学習しない。落ち目の男だ」と。

ウォーターゲート事件をすっぱ抜いたことで知られるジャーナリスト、カール・バーンスタインは5月、他のジャーナリストらとともに、トランプの精神状態と判断力に懐疑的な複数の共和党議員と話をしたと語っている。

バーンスタインはCNNに対し「多くの共和党議員が大統領の精神状態を疑うと言っている。私を含め複数の記者が、そういう意見を聞いている」と語った。



まあ、トランプおじさんと言う人は良くも悪くもこれまでなかった米国大統領には違いない。こうしたきわめて個性の強い政治ど素人に超大国の大統領を任せるなら極めて強力なスタッフをつけてしっかりとあるべき方向に導いていかないといけない。アイコンとしてならそうした方法で利用価値はあるだろうけど実際にかじ取りをさせたらそのうちにとんでもないことになるかもしれない。


Posted at 2017/06/08 11:19:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2017年06月08日 イイね!

自衛隊がAAV7を大量購入した理由だって、・・(-。-)y-゜゜゜。




6月12~14日に幕張メッセで開催される「MAST Asia 2017」に、日本防衛当局の武器調達姿勢を評価する上で興味深い展示がなされる。それは、三菱重工業が社内研究として開発を進めてきた水陸両用車「MAV(Mitsubishi Amphibious Vehicle)」である。

■ 今後高まる水陸両用車の需要

MAVの研究開発は、長らくアメリカ海兵隊が使用してきた水陸両用車「AAV-7(水陸両用強襲車-7型)」の後継車両「EFV(遠征戦闘車)」の開発にアメリカ技術陣が失敗したため、「EFVに取って代わる車両を開発できないものか?」といった理由がスタートラインになったと筆者は推察している。

この方向性は、軍事情勢に鑑みると極めて正しい。というのも、中国による海洋拡張戦略の伸展に伴って、日本からインドにかけての、中国周辺諸国ならびに“海のシルクロード”沿岸諸国では水陸両用作戦遂行能力の必要性が高まっている。そのため、国際的に様々な水陸両用作戦に有用な「水陸両用車」への関心が高まっており、今後はアジア太平洋地域を中心に水陸両用車の需要が高まることになるからだ(なお、本コラムでの「水陸両用車」とは、軽装甲が施され武装が可能な軍用の海上を航走できる車両を意味する)。

■ 新型水陸両用車の開発に失敗したアメリカ

現在、主に西側諸国の海兵隊ならびに海兵隊的組織が使用している水陸両用車は、アメリカ海兵隊が半世紀近くにわたって主要装備として使い続けてきた「AAV-7」である。AAV-7は1960年代に開発が始まり、1971年にアメリカ海兵隊に採用され(採用時には「LVTP7」と命名されていた)、以後、若干の改修は施されたものの今日に至るまで使用されている。 ただし、AAV-7の基本コンセプトは、第2次世界大戦中に太平洋の島々でアメリカ海兵隊が日本軍との死闘を繰り広げた際に投入された水陸両用車と大差ない。すでに1980年代からアメリカ海兵隊では、各種ミサイルが発達した現代戦にはそぐわないものと考えられ始めていた。

現代の水陸両用戦では、ミサイルやロケット砲を擁する敵が待ち構えている海岸線にAAV-7を連ねて突入する(強襲)ことはない。AAV-7の投入形態としては、敵の防御が希薄な地点に急接近する(襲撃)作戦が現実的である。だが、水上での最高速度が7ノットのAAV-7では敵に発見されて撃破されてしまう危険が極めて大きく「実際の戦闘状況では使い物にならない」とアメリカ海兵隊は考えた。

そこで、1980年代後半に、高速で水上を航走できる新型の水陸両用車(「AAAV」:先進水陸両用強襲車)の研究にアメリカ海兵隊が着手した。その後、莫大な予算が投入され、「より早く、より遠くへ」という海兵隊のコンセプトを盛り込んだ「EFV」(遠征戦闘車)が開発された。開発したのはアメリカの重機械メーカー、ジェネラル・ダイナミクスである。

しかし、ユーザーであるアメリカ海兵隊によると問題山積の車両であり(“アメリカの恥になるため”公式には問題点は公表していないが)、かつ調達価格も考えられないくらい高額であるため、莫大な予算をかけたEFVプログラムはオバマ政権によって打ち切られた。結局、アメリカ海兵隊は、「時代遅れのAAV-7」に取って代わる21世紀の戦場に対応できる新型水陸両用車を手にすることができなくなってしまった。

ただし、新型車両の調達を完全に中止してしまうと、新型車両開発予算そのものが将来にわたって消滅しかねない。そのため、とりあえずの“繋ぎ”として「ACV-1.1」(水陸両用戦闘車-1.1型)と呼ばれる新型水陸両用車を調達することにしている。だが、ACV-1.1はAAV-7の後継車両とみなすことはできず、「EFV開発以上の予算の無駄遣いになる」と多くの海兵隊関係者たちが危惧している代物である。

■ 打ち砕かれた“海兵隊の期待”

こうして、アメリカ海兵隊はEFVプログラムがキャンセルされ、“化石”のようになりつつある「時代遅れのAAV-7」を今後も(計画では2030年代まで)使い続けなければならない状況に陥った。そのため、なんとかして現代戦に適する「高速かつ長距離の水上航走可能な」かつ「EFVのような超高額でない」新型水陸両用車を手に入れたいと常々考えていた。

そのような状況に苦しんでいた海兵隊関係者たちが、三菱重工業が社内研究していたMAVの情報に接し、極めて大きな関心を寄せたのは無理からぬところである。なぜならば、「MAVが完成した暁には、EFV以上の高速水上航走能力を持ち、EFVにはなかった諸性能をも実現させることが可能な、まさにアメリカ海兵隊が求める新型水陸両用車である」と海兵隊関係者たちの眼には写ったからである。

ところが、それら海兵隊関係者たちの“希望の星”を破砕する“ミサイル”が日本側から発射された。すなわち、日本国防当局による50両以上にのぼる「時代遅れのAAV-7」の調達である(2015~2016年度に調達、参考「自衛隊の『AAV-7』大量調達は世紀の無駄遣いだ」)。

各種水陸両用作戦(強襲を除く)に有用な水陸両用車の初期訓練のために、とりあえず実車が現存するAAV-7を手に入れることは自然であるし、必要である。実際に、日本が水陸両用能力を持つことに喜んだ海兵隊関係者たちの間には、自衛隊が当面の育成期間(水陸両用戦のドクトリンや組織などを構築するのに要する数年間)に必要な20両程度の訓練用AAV-7を海兵隊手持ちの1330両の中から供与するアイデアもあった。

ところが、日本側は「中古では嫌だ」と言ってきたという。そこで、アメリカ海兵隊が「なんとかして新型に交代させなければ」と考えている「時代遅れのAAV-7」の“新車”を製造して日本に売却することになった。だが、とうの昔にAAV-7の製造ラインは閉じられている。製造ラインそのものを再開させなければならないため、1両あたりの調達価格は7億円という途方もない値段になってしまった。

この調達に対し、筆者の周辺では「海兵隊から中古AAV-7を手に入れれば“タダ”だったのに」「BAE(日本向けAAV-7は全車両をBAE Systemsが製造輸出する)は笑いが止まらない」といった驚愕の声が聞こえてきたものだ。

海兵隊関係者たちの驚きは、「時代遅れのAAV-7」が1両7億円という価格に留まらなかった。なんと自衛隊は訓練用のAAV-7だけではなく、部隊編成用に52両(実際には車両評価用6両と配備用52両の合計58両)もAAV-7を調達するというのである。水陸両用戦のエキスパートたちからは「なぜ、日本はあわてて52両ものAAV-7を手にしたがっているのか?」「水陸両用戦に関するドクトリンも誕生させていないのに、いったいAAV-7をどのように使おうとしているのか?」といった疑問がわき上がった。

■ 海兵隊関係者がショックを受ける理由

そして、MAVの情報を知っている海兵隊関係者たちは、次のようにショックを隠せない。「50両以上ものAAV-7を自衛隊が手にしてしまうと、おそらくそれで水陸両用車の調達は当面ストップとなるだろう。いくら陸自が水陸両用能力を手にしようとしているといっても、水陸両用車を100両、200両あるいはそれ以上保有するような大規模な海兵隊化を目指している動きはない。とすると、MAVの開発はどうなってしまうのだろうか?日本政府主導の開発プロジェクトが進まなければ、われわれ(アメリカ海兵隊)も、使い物にならないACV-1.1ではない『MAV』という真の新型水陸両用車候補が存在すると主張して、この窮地を乗り切ることができなくなる」この点こそ、まさに日本国防当局の問題点である。

日本国内メーカーが、独自の技術を投入して新型水陸両用車の研究を進め、そのMAVに対して、水陸両用車に関しては突出した経験とノウハウを有するアメリカ海兵隊関係者たちが大いなる期待を寄せている。そのような状況下で、日本国防当局自身がアメリカ海兵隊が捨て去りたがっている「時代遅れのAAV-7」を、実戦配備用としてまとめ買いしてしまったのでは、海兵隊関係者たちがペンタゴンやトランプ政権に対して「日本には、海兵隊にとってぜひとも手に入れたい新型水陸両用車技術がある」と説得することなどできなくなってしまう。

もしも日本政府、そして国会が、このような自国に横たわる技術の発展を阻害するような異常な兵器調達を是正して、日本製新型水陸両用車(あるいはその技術)をアメリカ海兵隊が採用するに至ったならば、少なくとも西側諸国の水陸両用車のスタンダードは日本技術ということになる。

現代の水陸両用車は、日本政府や国会が忌み嫌う“攻撃型武器”ではなく、主として海上から海岸線への(またはその逆)の兵員輸送に用いられる軽装甲輸送車である。現在、水陸両用車の活躍が最も期待される戦闘シナリオは、混乱地域から民間人を救出し海岸線から水上の艦戦へと避難させる非戦闘員待避作戦である。そして実際には、戦闘よりも大規模災害救援作戦に投入され獅子奮迅の働きをするのが水陸両用車である。したがって、軍事的見地からは噴飯物の“攻撃型兵器”を根拠に兵器の輸出に反対する勢力にとっても、国産水陸両用車(あるいはその技術)の輸出に反対する理由は見当たらない。

日本政府は、国益を大きく損なうような、かつ正当化理由が見出しにくい「時代遅れのAAV-7」の大量輸入は、高額の違約金を支払ってでも即刻中断し、アメリカ海兵隊関係者たちも絶賛している日本技術を発展させるべきである。

(本コラムの見解は三菱重工業の見解とも、またアメリカ海兵隊の見解とも無関係であり、筆者個人の意見である。)




海の上を高速で走れて上陸したら戦闘装甲車として使用できるというコンセプト自体に無理があるのではないか。自衛隊が時代遅れと言われて久しいAAV7を大量購入したのは「他に選択肢がないから、・・そして先生の米海兵隊が使っているから、・・。」それだけだろう。自衛隊が購入したAAV7はモスボール状態の車両に新車同様の装備をしたもので新車を作ったわけではないと言うことのようだが、・・。上陸作戦で装甲車を高速で水上を走らせるというコンセプト自体を考え直すべきじゃないか。人員はヘリで、重装備はホバークラフトで、・・とか。EFVはでかいエンジンが車体の中央に鎮座していてまことに使い勝手が悪かったそうだ。二兎を追うものは一兎をも得ずということか。10式戦車のパワーパックを使うとか言うが、三菱重工は大丈夫かな。

Posted at 2017/06/08 11:15:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 軍事 | 日記
2017年06月08日 イイね!

中国様の新型空母の実力は如何、・・(-。-)y-゜゜゜。




中国は今年4月、同国で2隻目となる空母の進水式を行った。中国はこの空母を、海軍の近代化を強力に推進し、アメリカ海軍に匹敵する戦闘能力を獲得する取り組みの一環として建造した。


まだ艦名も明かされていないこの新型空母は、旧ソ連製の中国初の国産空母「遼寧」に似ているが、遼寧のノウハウが生かされている。より大型の格納庫とテクノロジーを取り入れた新型空母が起工されたのは2013年、就役は2020年となる見込み。


近年、中国の海軍力増強は、太平洋はもとより世界中の警戒心を引き起こしている。中国は国際法を無視して南シナ海に人工島を建設、軍事要塞化し、近隣諸国を脅かし、威圧している。


中国の新型空母は、世界各国の空母に匹敵するものなのか。見ていこう。現在、中国の最新空母に関する情報はほとんどない。「001A型」と分かっている程度。就役に向けて、数年をかけて海上での試運転と演習を行っていく。現状ではアメリカ海軍パイロット1人あたりの空母離着艦回数は、中国海軍全体の回数と同じくらいだろう。同空母は、改良型Sバンドレーダーと新しい艦橋を持つ。USNIによると、「001A型」はより多くの艦載機を搭載できる。

中国で唯一運用されている空母「遼寧」(2012年就役)。中国の多くの兵器と同様に、遼寧は旧ソ連で設計・建造されたものを改造した。ロシアと中国がまだ使用している旧ソ連の空母は、アメリカ海軍の空母とは用途が異なる。つまり、全世界を行動範囲とするのではなく、沿岸防衛に適している。


遼寧の優れた仕様と性能。

過去4年にわたり、中国人民解放軍はゼロから空母の運用体制を築き上げた。遼寧が就役するまで空母を運用したことがなかったからだ。急ピッチで技術の習得が進められた。


遼寧には、アメリカ海軍の空母にあるようなカタパルトがない。艦載機はスキーのジャンプ台のような甲板から発進する。よって遼寧や001A型から発艦するJ-15(殲15)は、アメリカ海軍の艦載機のように多くの燃料や爆弾を搭載できない。航続距離と攻撃力は著しく制限を受けている。


しかし艦載機は軽装備となる一方で、遼寧と001A型は重装備だ。ロシア海軍唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」。兄弟艦は遼寧のベースとなり、001A型はこの改良型だ。大きさも速度も同等、スキージャンプ式の甲板も同じ。


アドミラル・クズネツォフは2016年、シリアでの対テロ作戦のために地中海に初めて戦闘任務についた。この空母には、メカニカルトラブルに悩まされた苦い過去がある。どこに行く時にも常に、2012年に起きたようなトラブルに備えて、タグボートが随行している。


中国の隣国インドは空母2隻体制をとっている。遼寧より小型だが、信頼性は高い。日本は、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが型護衛艦」2隻を保有。さらにより大型のヘリコプター搭載護衛艦「いずも型護衛艦」2隻も保有。「いずも型」は「ひゅうが型」に比べ、空母としての運用に重点が置かれた。


編集部注:イラストには、垂直離着陸が可能なF-35Bが描かれているが、日本政府はあくまでも「ヘリコプター搭載護衛艦」と位置づけている。


だが世界一の空母保有国は文句なしにアメリカだ。アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」は、アメリカ海軍が保有している10隻のニミッツ級空母の1隻。遼寧や001A型よりも大型で、より多くの艦載機を搭載可能。カタパルトを備え、大型の艦載機の発艦が可能。アメリカ海軍の空母の動力源は原子力。燃料補給やタンカーに頼らずに世界中を航海可能。


中国はカタパルトを備えた空母の建造を計画していると伝えられる。アメリカの空母に対抗するためだ。アメリカ海軍の空母は、他国の空母ほど兵装していない。だが、護衛のミサイル駆逐艦を含む、空母打撃群で行動する。アメリカ海軍はさらに大型の最新鋭空母を建造中。新型の原子炉は、レールガンやレーザーなど未来の兵器にも対応。


アメリカ海軍の空母は多種多様な艦載機を運用する。輸送機は兵站を担い、電子戦機は戦闘機を支援し、下のE-2ホークアイのような早期警戒管制機(AWACS)は上空から敵に関する大量のデータを送信、ヘリコプターは潜水艦を狙い、兵士を運ぶ。


各国の空母のサイズ比較。

アメリカ海軍は、他の国々の空母保有数の合計よりも多くの空母を保有している。




この先中国の空母も当然進化していくだろうが、現在の中国の空母を米国の空母機動部隊と比較しても意味がない。米中両国が現在の国情で建艦競争をしても中国が米国の脅威になるには50年とか100年とか言う長い時間を要する。また今の中国の空母2,3隻を日本近海に送り込んできても日本にとって脅威でも何でもない。航空機30機程度しか運用できない空母なら日本の航空戦力の方がはるかに強大でそんな空母は航空攻撃か、潜水艦の餌食になるだけだろう。ところが東南アジアの優勢な航空戦力を持たない中小国にはこうした空母は大きな脅威にはなる。中国は米国、米国と言うが、自分たちが米国の相手にならないことは百も承知しているだろう。本当の目的は東南アジアの中小国に威圧を加えて一帯一路政策を推進するための手段なのだろう。旧ソ連の艦船は様々な兵器を山のように積んだ重武装艦と言われたが、それは重武装なのではなく兵器の精度の低さを補うために似たような兵器をたくさん積んでいると言われていた。だから見た目には迫力がある。でもあの空母で本気で日本に侵攻しようとしたら最低でも20隻くらい揃えないといけない。そしてその護衛艦の数は最低でも120隻くらいは必要だろう。いくら日の出の勢いの中国様でもそんなことはできない。日本に軍事侵攻をかけられるのは米国くらいだが、それでも空母6隻、地上軍50万くらいを準備しないといけないので米国も全力投球でないと日本を攻められない。日本の自衛隊はかくの如くに強力なのだから安心して良い。ただ、今の日本にとって最大の脅威は北のバカ大将んところの核弾頭と弾道弾でこれは全く困ったものではある。

Posted at 2017/06/08 11:13:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 軍事 | 日記

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ntkd29です。CB1300スーパーボルドールに乗って9年、スーパーボルドールも2代目になりました。CB1300スーパーボルドール、切っても切れない相棒になり...
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トヨタ GRヤリス トヨタ GRヤリス
今度はGRヤリス、・・(^^♪。昨年GRヤリスの納期が1年半以上と聞いて速攻で契約してし ...
ホンダ CB1300 SUPER BOL D'OR (スーパーボルドール) CB1300スーパーボルドールM2018 (ホンダ CB1300 SUPER BOL D'OR (スーパーボルドール))
外観 もうこれは美しいという以外にはない端正なバイクではある。ホンダは「威風なる血統」 ...
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元々トヨタ党だったが、ちょっと浮気してダイハツコペンに乗っていた。しかし、ディーラー氏と ...
ダイハツ コペン ダイハツ コペン
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