民主党代表選に立候補した5氏は27日、日本記者クラブの共同記者会見に臨んだ。29日投開票の短期決戦だけに、他候補との差別化を狙う踏み込んだ発言が目立ち始めた。ただ、主張を鮮明にし過ぎると、支持の広がりを狭めることになりかねないジレンマもあるだけに、各候補とも、どのテーマで自分の個性を打ち出すか、なお迷いもうかがえる。
◆質問集中◆
5氏が一堂に会した共同記者会見で、注目を集めたのは小沢一郎元代表の処遇に関する質疑だった。
「一昨年夏の(衆院選で)厳しい選挙を一緒に戦ってきた同志としての思いがある」
真っ先に水を向けられた海江田万里経済産業相は、自らへの支持を打ち出した元代表への「特別な」思いを隠さなかった。元代表の党員資格停止処分についても「あらゆる方の力をお借りしたい」と見直す可能性を示唆した。これまで積極的だった環太平洋経済連携協定(TPP)の推進についても、小沢グループの意向を踏まえて「慎重に検討する」という姿勢に転じた。
陣営では「約120人を率いる元代表の支援なくして代表選には勝てない」(幹部)という見方が強く、海江田氏も「親小沢」を前面に打ち出す方向で腹をくくったとの見方が広がった。だが、その後も続く元代表に関する質問には、さすがにうんざりしたのか、不快そうに遮った。
「私は、小沢さん本人ではありません。(質問は)公平にやっていただいた方がいい」
一方、元代表と一線を画す姿勢を鮮明にしたのは前原誠司前外相だ。前原氏は「党員資格停止という現執行部の考えを尊重すべきと言っているのは(候補者の中で)私だけだ」と強調した。代表就任後の小沢グループの処遇については、「人事の出来ぶりを見て判断いただきたい」とだけ語った。
◆遠慮◆
自民、公明両党との大連立については見解が分かれた。
前原氏は「大連立を呼びかけることを前提にすべきだ」と前向きな考えを示した。野田佳彦財務相も「与野党の信頼関係を作ることが大事で、その延長上にいろいろな視野を持つ」と大連立も視野に入れた与野党協議の緊密化を主張したが、「大連立」の言葉を避け、“遠慮”をうかがわせた。
これに対し、海江田氏は「まず挙党態勢が第一。大連立に反対の立場だ」と違いを際立たせた。海江田氏はこれまでも大連立に慎重だったが、反対を明言したのは初めて。小沢グループなどの慎重論を踏まえたものとみられる。馬淵澄夫前国土交通相は「大連立ありきではない」、鹿野道彦農相は「野党と話し合える態勢を作ることが優先」と述べた。
民主党代表選、どれも小粒だったり、それなりに危なっかしさがあったり、だれが代表になっても期待はできそうもない。海江田氏が小沢グループの支援を受けて一歩リードと言うが、小沢元代表にとっては扱いやすいというのがその理由ではないだろうか。マニフェスト回帰というが、ねじれ国会に財政難で会期はいばらの道だろう。まさか政策が進まないとか言って泣き出したりはしないだろうな。
人気第一の前原氏は、威勢はいいがその後が腰砕けになるなど芯の強さに問題がある。また、外国人献金問題など危うさを抱えている。今回は小沢氏の支援を受けられなかったことから当選は難しいだろう。野田、鹿野両氏は外見上は穏健実務派のように見えるが、平時の宰相としてはいいだろうが、有事の宰相にはどうもインパクトに欠けるようだ。馬淵氏は先々の党内での影響力を考えての立候補だろう。
誰が代表・総理になっても大きくは変わりそうもない民主党代表選、選出された代表は残りの2年を全うできるのかどうか、なかなか難しいところだろう。震災対応が一段落したところで、政界再編も見据えてシャッフルするのも一つの選択だろうが、次の代表も保身第一、国家第二で地位にしがみつくのだろうか。
Posted at 2011/08/28 12:47:41 | |
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