大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が29日、大阪維新の国政政党化を明言し、新党結成の正式表明を維新の党の代表選が告示される10月1日に据えたことで、維新は大阪系国会議員らの離党に伴う分裂が確実となった。橋下氏は維新議員に踏み絵を踏ませ、新党参加希望者の「大阪維新の精神」の有無を厳正に見極める方針だ。維新側も分党に素直には応じないとみられ、新党に向けた駆け引きが激化することになる。
◆“純化路線”で再出発
「政党は分かれてはくっつくことの繰り返しだ」
橋下氏は29日、大阪府枚方市で行った街頭演説でこう訴え、聴衆に新党結成への理解を求めた。「党を割らない」と明言していた橋下氏は豹変(ひょうへん)したかに見える。
だが、橋下氏の維新に対する不満は、昨年9月の結いの党との合流や同年12月の衆院選で「維新の精神を知らない元民主党議員」(橋下氏周辺)が多く加わったことで日々募っていた。28日夜の大阪維新全体会議では「党を入れ替える」と発言。5年前に地域政党・大阪維新で出発した党の姿が変質したとの思いがあったのは間違いない。
6月の安全保障関連法案の対案作りでは橋下氏が国会議員の案を差し戻し、方向性を決めた。だが、松野頼久代表は政府案反対で民主党や共産党との共闘を画策。「年内に100人規模の野党再編」も公言している。
橋下氏は自身の人気の恩恵で当選した維新議員が安易な野党再編や「完全野党」に傾くことが看過できず、“純化路線”で再出発を図る形となった。松井一郎大阪府知事は29日、記者団に「安保法制で野党連合はあり得ない。民主党などと組む価値観はない」と橋下氏の気持ちを代弁した。
◆松野代表は戸惑い
松野氏は産経新聞の取材に「驚いている」と戸惑いを隠さず、柿沢未途幹事長は橋下氏に同調する維新議員に「反党行為になる」と自重を求めた。
松野氏は近く橋下氏に真意をただす考えだが、橋下氏の意志は固く、衆参両院の選挙に全国規模で候補を立てる意向だ。選挙をにらんで松野氏らと民主党の野党再編が加速する可能性も強まった。
官公労の支持を受ける民主党を批判する橋下氏に近い維新の大阪系が去れば、松野氏ら再編派と民主党が合流しやすい環境となる。松野氏は27日、民主党の岡田克也代表と会談。ともに来年夏の参院選での野党協力を目指している。
12月で政界を引退するとしている橋下氏だが、11月の大阪府知事、大阪市長のダブル選は大阪都構想を公約に掲げる考えだ。大阪維新の候補が勝てば頓挫した都構想が直近の民意を得たともいえ、橋下氏の「引退撤回」の余地も生まれる。
菅義偉官房長官は29日、那覇市で記者団に「冷静に推移を見守りたい」と述べるにとどめた。
一方、安倍晋三首相は6月に橋下氏と会談した際、国政進出に期待を示していた。両氏は憲法改正などで気脈を通じており、橋下氏の動向次第では政界の構図全体に影響をもたらす可能性もある。
野党は離合集散を繰り返すが、何時まで経っても自民党に対する対抗勢力となりえない。その最大の原因は民主党だが、この政党も自民の右派から社民党の左派まで抱え込んでまともな政策を決めることも出来ず、政権を取れば亡国政党と成り下がる体たらくで野党に転落すればお定まりの反対政党に成り下がり、今後も全く期待できない。
維新も民主党からの分派を抱え込んで、今回の松野・柿沢体制で完全に第二民主党化しているので、その辺りが今回の分党の原因だろう。橋下氏も最初の頃は変なあんちゃんという風情だったが、最近はなかなか堂々とした政治家に成長してきたように思う。「大阪都構想」もそれなりに興味深い。これも最近東京と比較して沈下の激しい大阪を東京に匹敵する西日本の準首都として再生させようと言うものだろうが、それはそれで良いのかも知れない。
しかし、野党再編と言いながらもう何年やっているのかと思うと今回の維新分裂もどうなるのか先行きは不透明だ。いずれにしても現実的なレベルでこの国をどうするかと考える自民党への対抗勢力が出来てこないと短期的な政権交代はあっても2大政党が切磋琢磨しあうという政治の構図は描けないだろう。しかし、そうした勢力が出来てくるのはまだまだ先の話かもしれない。
Posted at 2015/08/30 10:22:15 | |
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