いろんな所に遊びにも行ったね。
私が行ったことの無い東京へも連れていってくれたよね。
お金が無くて高速道路には乗れなかったけど、あなたと二人で
冒険しているみたいでとても楽しかった。
私はおばあさんだから高速道路はあんまり得意じゃないしね。
途中のコンビニで何回も休んで、少し寝たりしながらやっと着いたよね。
初めて走る都会の道路はとっても怖かったけど、あなたと一緒だったから安心だったよ。
車検が切れれば私はもうおしまいかな、と思っていたけどあなたは
一生懸命アルバイトをしてもう一回車検を取ってくれたよね。
私、正直覚悟してたんだ。
だからあなたが貯めたお金を私のために使ってくれると知った時は本当に
嬉しかった。
この子のために一生懸命走って、守ってあげようって決めたんだ。
そろそろお別れみたいだね。
あなたは泣いているけど、私はちっとも悲しくないよ。
あなたを守れて死ねるんだもん。
今度は人気のあるかっこいい車を買いなさいね。
だってこの5年間、女の子を私に乗せたことなんてほとんど無いもんね。
あなたも立派な社会人なんだから、いつまでも私なんかに乗っていないほうが
良かったのかもしれないよ。
でも、時々でいいから思い出してね。
あなたのために一生懸命走っていた白いゼッツがいたってことを。
じゃあね、さようなら。