5/12(土)、13(日)に滋賀県と岐阜県の県境、米原から北へ進んだ先にある奥伊吹モーターパークで
JMRC中部ジムカーナ第3戦のオフィシャルを務めておりました。
当日はまさにハードレインと言える状態で、
6分山ほどの03Gを履いたランエボのハイドロによるクラッシュを未然に防ぐ方法はなかっただろうかと考えていた矢先に、ミスコース判定で黒旗になった車両が自分の監視していた11番パイロンをターン前の進入で左リアにわずかに踏んだのを15秒ほど後になって発見し赤旗中断を作ってしまったのが心残りでしたが、
とても勉強になる日でした。
ランエボのハイドロプレーニングは
・3cmほどの水溜まりで初期制動をかけてしまった
・Sタイヤの排水性の低さによって車両が破綻する予兆を捉え切れていなかった
・速いシャシーを持つ車特有の車体反応の良さがタイヤの限界を超えた時の挙動を急激なものにしていた
・ハードレインで使用するには厳しい状況のタイヤだった
といった原因が挙げられるかと思います。
ターン箇所からコンクリートまでは10mはありましたが、
見ていた限りでは110km/h程度の制動から完璧にハイドロを起こしてしまい、
40km/hほどのコンクリートとのほぼ正面衝突という状況でした。
一度ハイドロを起こすと瞬時にグリップを回復させる反応が出来ない限り、
制動距離はもう2倍以上にまで伸びてしまうので、
TOYO R1R、YH A050、DL 03G、BS RE-11S等の縦溝のないタイヤをハードレインで使用する場合は
7部山付近で注意、4部山以下なら使用しない
という判断が求められると思っています。
(個人的にはDL 03Gはトレッドパターンを見る限り、Sタイヤの中では特に排水性が劣る気がしてます。)
空気圧を0.5キロ上げるとハイドロに対する限界速度が10km/h高まるという研究結果もありますので、
気づきにくい所から忍び寄る危険性を空気圧を高めにすることで和らげられていれば、
結果は違ったものになっていたかもしれません。
私自身、深夜豪雨公道の4分山R1Rで50km/h走行中に5cm近い酷い水溜まりでハイドロを起こした事をロードスターNDで経験しています。
岐阜県中津川市中心部に入りかける、国道19号の下って行った先の橋手前の右コーナーでしたね。
その以前に「無事に帰れるかどうか分からない」程に、轍にタイヤを落とした時の車体反応のなさを
予兆として察知していました。
ハイドロを起こした瞬間にステアリングを切る量を止め、グリップの回復をただ待つばかりの状態が0.5秒ほど続いた後に、フロントタイヤが反応し始めて壁に50cmほど近づいた所で難を逃れました。
・・・他にもスタッドレスを履いたエボXで雨中ムリな動きをさせてゴニョゴニョしてしまった事もありましたので。。(他車に迷惑は一切かけなかったのが幸いでしたが)
とても他人事ではありませんでした。
そういった危険に対しても反応出来るような十分な意識や事前準備を求められる時が、
今後自分にも迫ってくると思いました。
さて、今回の奥伊吹のコースはこんな感じでした。
このコース図がオフィシャルに配られた時、
「K玉ターン」「その上にR子」「その下にも」というワードが飛び交ったのには、
やっぱりプレジャーだなと(*‘ω‘ *)
(もしK玉ターンがなくなったら、もうプレジャーじゃない気が、かなりかなりしてます。)
で、このR子というか、点線で囲まれたターン箇所は
どっちから回ってもイイ!
特にターン方向が分かれたのは13番パイロンのターン。
走行する車ごとに判断が分かれたのは見ていてとても興味をそそられました。
コース上の見た目はこんな感じ。
右回りはその後が多少楽になりますが、ターンするパイロンに対して車1台未満の距離となるため、360°ターンを速く回るのに必要なヨーをかけられず、旋回中心がパイロンから外れるターンになりがちになる。
ですので、私なら右から入っての左回りを選択します。
その方が、
360°ターンに必要なヨーをかけやすいから
です。
左から入る右回りは狭くてヨーを十分にかけにくく、前荷重に頼ったターンになる一方、
右から入る左回りは割と広く、ドライバーにとって余裕のある選択に思えます。
四輪駆動は左回り一択、後輪駆動は十中八九回せるならどちらでも、
という形がよいと思いました。
右回りという選択をしなくても、その後踏める区間が存在していましたので。
特にこの最終2つ目の右ターンへのアプローチは余裕がありましたので、
右回りに固執する必要はなかったと思っています。
ただ例外として前輪駆動、特にインテグラのような車両重心が前に偏った車は
ほぼ右回りでも前荷重をしっかりかけられれば難なく回れていました。
サイドターンはコーナリングの延長とジムカーナではよく言われますが、
私・・・つねづねジムカーナにおいて思っている事があるんです。
はっきり言うと、
「ジムカーナはカウンターが悪とされる風潮があるせいか、4輪を使い切る走り方が出来ていない」
詳しく言えば、
「サイドターン箇所のターンイン時のヨーが十分でないから、ステアリングを目一杯切る走り方になってアクセルを踏めない時間が発生している」ということです。
よく、「車の最小旋回半径より小さいRを曲がるのだから、ステアリングは切りきった方が速い」
という考え方がジムカーナのサイドターンセクションにおいて言われているのですが、
そんなに単純ではないと思っています。
サイドターンがコーナリングの延長であるならば、
最速のコーナリングである4輪ドリフトをサイドターン時に使える方が速いと思うのです。
ステアリングを切りきっているという状態は、コーナリング中にさらにヨーを求めている操作ですから、
「リアタイヤがサイドターンセクションのコーナリングに使えていない状態」だと思うのです。
つまりフロント2輪で曲がっている状態。
さらに掘り下げると、グリップの静摩擦状態とドリフトの動摩擦状態があるとして、
その動摩擦状態へ2割ほど入った所がコーナリングにおけるピークになるようにターンイン強度を調整しきるのが一番速いと思っています。
僅かに、一瞬ドリフト状態になってからグリップが回復してきて静摩擦状態へ戻っていく。
そのようなタイヤの使い方が一番いい。
レーシングカートでも、ブレーキを2割ほど僅かにロックさせたまま、ターンインで若干カウンターを当てつつ進入するという走り方の方が速いです。
車速と荷重移動で必要なヨーを作ってからターンインする。
ジムカーナにもその走り方を取り入れようとすると、
ターンインで十分なヨーをかけて、クリップ付近で一時的にカウンターを当てる方が速いと思うのです。重心が前に偏った前輪駆動車を除いて。
その十分なヨーを発生させるためには、ターンセクションで車1~1.5台分離れた所からターンインする必要がある。
これが今回のコースで私が左回りを選択した理由です。
ブレーキングで2割ほど4輪を僅かにロックさせるようなハーフロックを保ったままサイド引きとフットブレーキの踏み足し(フットブレーキ踏み足しの量は 車速とブレーキングポイントから作り出せる前荷重量・ターンイン前に作ったヨーの量・路面状況によって大きく変動します)、
ターン進入直後に180°なら一瞬90°、360°なら一瞬180°のカウンターが出来る程度のヨーを作ったターンイン、
立ち上がり時に2割ほど駆動輪を空転させるようなスロットルコントロール、
これが出来れば、最速のターンになると思っています。
インテグラのようなFF車では、ターン進入直後のカウンターはほぼゼロのパーシャル。
四輪駆動車では、ターン進入直後のカウンターは後輪駆動車よりも1.2~1.3倍ほど大きくても構わないほどの大きなヨーをかけること。
最速のターンをするために関わる要素は
・車速とブレーキングポイントから作り出せる前荷重の量
・ターンイン前に作ることの出来るヨーの量
・路面状況
これを踏まえた上で、慣熟歩行の時からターンイン時に
「どのくらい前荷重がかかるか」
「どのくらいヨーを発生させられるか」
「ブレーキング時からどのくらい車体が不安定になる路面か」
というイメージを走行前からどこまで完成させられるかが今後求められる気がしています。
といっても、、、まだ出来てません。
悪い例がこちら。
2018/5/12 JMRC中部ジムカーナ奥伊吹オフィシャル前日練習 1分12秒613
滋賀県奥伊吹で行われたJMRC中部ジムカーナ選手権第3戦の前日オフィシャル走行です。
ほぼPN-1化してHankookVentusR-S4 195/50R15(スリップサインが出てます)を履いてタイヤを暖めた4本目です。
全体的にサイドターンの強弱のコントロールが求められるレイアウトでした。
ターンの回転方向が自由に決められる所が2ヶ所あり回しやすい方から進入していますが、それでも回し切れなかった感触が強く残りました。
黄色パイロンの間を抜けて360°付近まで回すセクションは、進入前から規制パイロンがあってヨーを掛けにくいです。
進入で車速が低く前荷重を掛けにくい場合もそうですが、自分の出せるありったけのサイドブレーキ引きと、それに連動したフットブレーキ調節が肝要です。
このコースにおけるサイドターンの強度を後輪駆動車において1~3で表現するとこんな感じ。
3の部分はもう、
「ブラック死ね死ねターン」
な感じでサイドを引く方が、
十分なヨーを作り出せる・・・かもしれません。
(♪黄色いパイロンやっつけろ~ きせ~いパイロン邪魔っけだ!)
最近・・・サイドを自分の出せるありったけ引くための脳内再生BGMに苦慮しているんです・・・。