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2012年02月28日

浅岡重輝さん、衝撃の証言  ~ちょっと一服のつもりが~

浅岡重輝さん、衝撃の証言  ~ちょっと一服のつもりが~  この日は、時間の都合をつけて、なんとか国立国会図書館へ行くつもりにしていた。
 その前に、ちょっと息抜きを兼ねて、MAZDAの新型『CX-5』の発表会に顔を出すことにした。2月16日の午後1時30分開会、と招待状に記してある。場所は東京プリンスホテル「鳳凰の間」。誰か、懐かしい顔に会えるかも知れないし、「マツダの未来が、この車から始まります」というコピーも気になった。いま評判の「SKYACTIV(スカイアクティブ)技術」をガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ボディ、シャシーのすべてに採用し、気持ちのいい走りと、優れた燃費性能を両立させたSUV、という触れこみのグローバル戦略車。デザインも東京モーターショーで目を引いた《鼓動》の流れが生きているはずだ。

 ま、お披露目の日には、できる限り足を運ぶようにしてきたぼくなりのルールを、今回も守ることにした。結果、それが新しい展開を呼び寄せてくれるきっかけとなるのだから、気になったときには、やっぱり「足を運べ」にかぎる。

 20分前に着いてみると、会場は半分ほどが埋まっていた。係の人に中央のゾーンまで案内され、着席してみると、左隣から期待通りの懐かしい顔が、笑顔でこちらへ挨拶を送ってくれる。浅岡重輝(しげあき)さんだった。


*右端のサングラス姿が浅岡さん。中央は津々見友彦選手。

 どちらからともなく、「久しぶり」と声を掛け合ったものの、ぼくにしてみれば、ついさっき会ったばかりじゃないか、という気分だった。だから、浅岡さんに、「実は……」と断って、このところ取り組んでいる「1974年6月2日の富士GC第2戦第2ヒート」の「多重事故」に関する映像を、朝から検証していたのだが、そのエンディングシーンで、あなたと津々見友彦さんが燃えたマシンの残骸を前にして、深刻そうに話しこんでいるところを見たばっかりなもので……なんだか「天の配剤」の気分ですよ、と伝えてしまった。

「あ、そうだったの。あの時、ぼくは選手会長でコントロールタワーにいた。そしてあの事故が起きて、ともかく事態を把握して、矢面に立たなくてはなんなかったのよ」
「じゃ、例の接触シーンも後日、見せられたの?」
「見ましたよ。細かいことをどこまで記憶しているかは別にして……」


*F1GP前座有名人レースに招待されたときの記念すべき1枚。


*スターティンググリッドについた⑪S・Masaoka選手。前座レースとはいえオーストラリアF1グランプリですぞ。

 浅岡さんとは、不思議な縁で昵懇がつづいている。1985年11月1日~3日の3日間、オーストラリア・アデレードで開催された「F1グランプリ」の前座レースに招待された夢のような記憶。なんでも三菱が冠スポンサーとなって、「コルディア」のワンメークレースをやるから、ぜひエントリーしてほしいという要請があった。元プロのレーシング・ドライバーとアマチュア現役の有名人が二人一組となって、ジャック・ブラバムやバーン・シュパンといった世界的な名ドライバーと、新設された市街地コースで競うというのだ。
 その時の日本人チームのプロ代表として招待されたのが、元いすゞのワークスでいまはモータージャーナリストで活躍中の「S・Asaoka」と、富士フレッシュマンレースで奮闘中のクルマ雑誌の編集局長である「S・Masaoka」。「M」を削れば全く同じ名前じゃないか。
 これでは現地TV実況アナウンサーが混線してしまうのも無理ない。帰国して見せられた中継録画で、いいポジションで、コーナーを綺麗に抜けていく日本人ドライバーを絶賛している。
「ジャパンから来たジャーナリストのエス・マサオカがファンタスティックなドライビングをしているぞ!これは速い!」と。

 ミラージュCUPにステップアップしたときも、講師であった浅岡さんは丁寧にアドバイスをくれたのを、いまでも感謝している。

「いいですか、特定のコーナーで頑張ってはダメ。この富士スピードウェイを一つのコーナーだと思って、丸く、円を描くように走ってくださいよ」

 いつの間にか、周りの席は、取材に来た関係者で埋まっていた。『CX-5』の発表会がはじまろうとして、一瞬、会場のライトが絞られた。
「じゃ、来週初めのお昼、ご一緒しましょう。電話します」
 小声で約束を確認したところで、ちょうど、マツダの山内孝社長が登壇、新型車のアピールポイントを落ち着いた口調で説き始めた。



 発表会終了後、国会図書館へ急行。即日複写の受け付けは午後6時に締め切られるという。予期したように時間が足りない。「朝日」「読売」「毎日」「中日」4紙の1974年6月3日の朝刊を洗い出すのがやっとであった。

 2月21日。浅岡重輝さんとお昼のランチを、恒例の東京プリンスホテル1F『和食処・清水』でご一緒した。約束の時間ギリギリに着くと、浅岡さんは30分前からロビーで待ってくれていた。そんな躾の良さはどこから来たものだろう。以前から興味を持っていたから、ちょっと探りを入れてみた。
「浅岡姓のルーツを聞かせてくださいよ。まさか、徳川家の旗本だったとか」
「祖父の代まで美濃藩の家老の家だからって、いろいろ面倒だったらしいけど、親父が次男で、冶金の研究者、大学の教授だったもんで、結構自由な空気で育ったんですよ」
「だから、ヨーロッパ車に通暁した早熟少年に……?」
「そうですね。大学時代からスポーツカークラブを創設して、鈴鹿サーキットで第1回日本グランプリを始めるにあたって、レギュレーション創りに指名で狩り出されたくらいですから」
 
 この後、モータースポーツ草創期の秘話や内幕、いまだから明かしてもいいエピソードを、いろいろ訊き出したが、それはいずれ、ご本人の了解を得てから、明らかにしたい話ばかりだった。ま、ここは、こちらの本題を。

 持参したiPadをONにした。つぎに「あの瞬間」とタイトルをつけておいた映像ファイルを開いて、浅岡さんに見てもらうことにした。
 一通り見終わったところで、スローモーションのかかった正面からのショットを改めて点検する。そして意外なコメントが、浅岡さんの口から飛び出した。
「違うな。ぼくが見せられたのはこれじゃない。これはTV録画放映された分。ぼくが黒沢車と北野車の接触シーンとして確認したのは、もっとカメラアングルがグリーンゾーンから向けたもので、映像はもっとシャープで鮮明だった」

 また一つ、新しい課題が飛び出した。どうやら5万6000人の観衆の中から、「その瞬間」を撮影した観客を探し出し、警察側がガンさんに突き付けたと伝えられる、映像がそれだったのか。では、その映像はどこにあるというのか。
 
 ちょっと一服どころではなくなった。


 
ブログ一覧 | 実録・汚された英雄 | 日記
Posted at 2012/02/28 01:00:46

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この記事へのコメント

2012年3月2日 23:34
またしても夜分失礼いたします。

局長の真摯なお仕事(敢えてそう言わせていただきます)ぶり、いつも感心させられます。


やはり、放映用の映像ですと、生々しい現実よりも刺激を抑える事の方が重要なのですね。

ジャーナリストの仕事というのは、様々な意味で長い時間との闘いなのでしょうか?
コメントへの返答
2012年3月3日 0:05
いえいえ、遠慮なくどうぞ。

おっしゃるように、かりに生々しい、見るだけですべてが判ってしまう映像でも、編集作業で加工されれる以上、100%、真実ではないということを肝に銘じています。

それがジャーナリストであることへの、ライセンスではないでしょうか。

根気よく、このブログを続けていきたいとねがっています。

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「宿敵との甲子園対決も緒戦を引き分けた2戦目。1戦目から続けて活躍が目立つのは残念ながら巨人の若手選手ばかり。先発して5回を投げた赤星、4打数4安打の3番・門脇、捕手の岸田。阿部監督になって抜擢され生き生きしている。虎は伊藤将司の粘投と森下の2点2塁打でやっと7つ目の勝星。心配だ。」
何シテル?   04/18 12:00
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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