〜さすが、ニュルの24時間耐久を走った男は違う〜
*TOYOTA GAZOO RACINGより
社長就任が2009年。当方はすでに現場から退いていた。歴代社長とは親しくお話する機会が多かったのに、と。公式の席で、名刺を交換しただけなのが残念。
2017年WEC第3戦ル・マン24時間レースを闘い終えたところで、豊田社長のコメントがメールで届いた。一読、胸が熱くなった。ここまでモータースポーツの本質を理解され、すでにそれが血となり肉となっている61歳のメッセージである。そのまま、そっくり、手を加えずに「みんカラ仲間」にお届けしたい。
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「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」
本来であれば、応援いただいたファンの皆さまへの感謝の言葉が
先ず最初に発せられるべきですが、 今回のル・マンだけは、どうしても…
この言葉を私からドライバー達に一番に掛けてあげなければいけないと思っています。
ドライバー達は、初めてル・マンに来る私に、
「一緒に表彰台の真ん中に上ってほしい…」「そのために絶対に負けたくない…」
「だから共に戦ってくれ…」と言ってくれました。
だからこそ、私からは、
「思いっきり走れ。メカのつくったクルマを信じて、ル・マンを楽しんで。」
という言葉を返していました。
それなのに、思いっきり走らせてあげることが出来なかったことが本当に悔しい…
私たちのクルマを信じて走ってくれていたのに…本当に申し訳ない…。
その気持ちでいっぱいです。
おそらく、この気持ちは、この戦いに向けクルマをつくってきた
トヨタのエンジニア、メカニック、
そしてパーツサプライヤーの方々、
皆、同じ想いなのだと思っています。
なので、そのみんなの気持ちも背負い、代表して、ドライバー達へ
もう一度、改めて言います。
「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン…。」
そして、その9人のドライバー達も含めて、
トヨタチームに関わった全ての人の想いを二つ、私から述べさせてください。
ひとつは、ファンの皆さまへ。
トヨタの勝利を信じて応援してくださったファンの皆さま、
期待に応えられず本当に申し訳ありませんでした。
そして、24時間、最後まで我々を信じ、熱く応援いただけたことに
心から感謝申し上げます。本当に、ありがとうございました。
再び、皆様と共に笑顔になれる日を目指してまいります。
ひとつは、ポルシェチームへ。
昨年の戦いの後、ポルシェの皆さまから
我々をライバルと認めて頂けるような嬉しい言葉を数々いただきました。
“ライバル”と言っていただけたことに応えるためには
今年また、ファンの皆さまを魅了するような素晴らしい戦いをさせていただくことだと
考えていました。
だからこそ、チームは新しい技術・技能を生み出すことにも
果敢にチャレンジして来ることができました。
ポルシェチームの皆さま、おめでとうございます。
そして、ありがとうございました。
しかし、昨年のようにファンの皆さまを魅了させるような戦いを
実現することが出来ませんでした。
今回、ポルシェも、我々トヨタも…
ル・マンの道に挑んだハイブリッドカーは
24時間を無事に走り切れませんでした。
優勝した2号車でさえも、完走した我々の8号車も
トラブルにより時間のかかる修理を余儀なくされて、ようやく辿りついたゴールでした。
世界耐久選手権を通じて高めてきたハイブリッド技術は、
6時間レースでは、その能力を発揮しきれても、
ル・マン24時間の道のりでは、まだまだ歯がたたないということかもしれません。
電気の力は、クルマがもっとエモーショナルな存在になるために絶対に必要な技術です。
ル・マンは、その技術に挑戦し続け、極限の環境で試すことの出来る貴重な実験場です。
これからも、この場を、大切にしていきたいと思います。
もっともっと技術に磨きをかけ、熟成させ、
お客様に本当に笑顔になっていただける技術を…
そしてもっといいクルマづくりを続けるために、
これからも我々トヨタは、努力を重ねてまいります。
皆さま、ご期待いただければと思います。よろしくお願いいたします。
2017年6月18日
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田 章男
今年のル・マン。予選で7号車の小林可夢偉が、圧倒的なタイムでPPを獲るなど、ひょっとしたら、という期待も高かった。が、ご存知のような結果に。
ハイブリッドカーはまだ発展途上のさなかにある。その辺の様子も章男社長は、「敗戦の弁」の中で、きっちりと冷静に説明されている。そしてライバルPORSCHEチームへの感謝を、まっすぐに表明しているのが、なんとも清々しい。
きっと来年もまた、まっすぐに挑戦するTOYOTAチーム。口惜しいのはわかっている。だからこそ、もっと前進できる、と胸を張る61歳に乾杯だ!
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この人に逢いたい | 日記
Posted at
2017/06/20 02:51:57