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2017年12月30日

『ベスモは不死鳥です!』の証明

『ベスモは不死鳥です!』の証明 〜『黒澤元治スペシャルDVD』が仕上がりました!〜



 年の瀬も迫った12月28日の午後2時、JR山手線・五反田駅に降り立ち、品川区西五反田のSONY PCL映像編集スタジオへ向かった。なにしろ15年ぶりにMA(映像制作の業界用語=マルチオーディオ)に立ち会う機会がやってきて、足取りも浮き浮きしていたに違いない。

 初めての場所。目黒川の畔(ほとり)にあるとは聞いていたが、やっぱり道に迷った。で、本田編集長に電話を入れて、現在位置を伝え、やっとたどり着く。そのビルの前で映像作家の宮本欽也君が案内のために待っていてくれた。こんなところに本田君の心遣いのほどが・・・・・・。

 入館の手続きを済ませ、4FのMAルームへ。音響への配慮から、やたらと重く分厚い扉を手前に引くと、なんとも懐かしい15年前と同じ世界が待ち受けていた。

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 すでに、仁禮義裕ディレクターたちが音入れまですませてある映像編集作品に、最終的にナレーションを当てる作業がはじまっていた。おお、この声は!

 いまや『情熱大陸』のナレーターとしてブレークしている窪田等さんではないか。残念ながら、ナレーションブースに隔離されているから顔は見えない。もう20年近く逢っていないから、あとで久しぶりに挨拶できるのが楽しみだ。

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*ナレーションブースにはすでに窪田等さんが・・・( photo by T.Honda)

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 プロデュースする本田編集長はラウンジ風にめぐらされたソファーのど真ん中で、窪田さんに渡されたものと同じナレーション原稿と、モニターに映し出された映像とを交互にチェックしながら、どっかりと構えていた。目で挨拶する。で、どうぞ、という感じで自分はソファーの右端に移っていく。
「ありがとう」

 当然のように、かつてのわたしの定位置に腰を落とす。ふんわりと受け止めてくれるソファーの感触。そしてモニターにはガンさんのドライブする、あの真紅のボディーカラーを持つ愛車NSX-typeRが鈴鹿のスプーンを抜け、西コースのストレートを疾駆する姿を映し出されている。いつもの激しさを感じさせない滑らかな動き。
 ガンさんがコメントしている。
「こうやって、この年齢でもドライビングプレジャーを満喫できるなんて、ありがたいなあ」

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 アクセル、全開。待ち受けている130R。路面が濡れている。さすがに全開とはまいらぬが、NSXがコーンとひと吼えして、魔のコーナーを通過する。つづいて、最終シケイン。水煙を残してガンさんNSXが画面から消える。その背後を慕うようにミーティングに参加している3台のNSKが追尾するシーン。ナマのガンさん走りを自分の目で、自分の手足で、自分の心で受け継ぐ至福がそこにあった・・・・・・。  

 窪田さんの声がしっとりと重なり、映像に生命を注ぎ込む。
「黒澤元治、77歳。クルマを愛する遺伝子たちに贈る最後のメッセージと走りをいま、ここに!」

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 舞台は、たたみかけるように移っていく。2017年10月1日のニュルブルクリンク、一ヶ月後のエビス東コース。加えて、1987年から積み重ねて来た「ベストモータリング」での日々。黒澤元治ワールドの圧倒的な凄みが、新しい生命となって、改めて甦ってくる。その一挙手一投足に湧いた、あの日々・・・・・・。
 ああ、一人で見るのは勿体ない! みんなでワイワイやりたくなるじゃないか!

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 90分の尺で仕上がっている本編。これからパッケージ化され、2月になってから、グリーンファウンディングで¥5,000以上の協力を申し出た「仲間たち」に、ガンさんからのお礼のメッセージ、Best MOTORingのオリジナルステッカーを添えて、お届けする約束となっている。そして¥15,000の協力者には『秘蔵映像』スペシャルDVDが加わる。さらに¥30,000の協力者に対しては、映像のエンディングロールにその名前がテロップとなって流れることになっている。

 さぞかし、2月が待ち遠しいに違いない。少なくともそれまでは、DVDの内容については封印しておかねばならない。そして一般への発売は4月のなかばが予定されていると聞いている。ということは、ぜひ実現したいと願っている東京代官山・蔦屋書店のイベントプレースでの『トークショー』と『第6回ベスモ同窓会』も、そのころに設定することになるのだろうか。

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  午後4時半。窪田さんのナレーション入れが終わった。久しぶりの対面。握手。ハグでもしたい気分で、お互いの元気を確かめ合う。MAに関わった全員で記念撮影。考えてみれば、ベスモのホットな創りのときのナレーションは主に神谷明、大森章督のおふたりで、しっとりとした長尺物、たとえばBMスペシャルものは窪田さんを指名することが多かった。本田編集長がこう明かす。

「窪田さんのスケジュールを抑えるのが大変なんですよ。シグマ・セブン(所属プロ)と随分やりあって、やっとです」
 長寿番組の人物ドキュメンタリー『情熱大陸』。好きな番組のひとつである。その第1回からを窪田さんが手がけてきた。
「ベスモ復活の第1号に使っていただいて、ナレーター冥利に尽きます。それにしてもガンさんのこの記念すべき作品、みんなが喜ぶでしょうね」
 嬉しい言葉を残して、窪田さんは退室していった。

 いよいよこれから、窪田さんのナレーション入りの完パケ(完成パッケージの業界用語)創りがはじまる。オープニングシーン。おお、創刊号と同じCGを採用している! 泣けるね! 「ベストモータリングは不死鳥です!」そう宣言しているように、わたしには思えてならなかった。 
 
 それから90分。ENDロールが流れ、仕上がりチェックの試写が終わった。言葉は要らない。本田編集長、仁禮ディレクターとの握手だけで充分だった。
 
 時間は午後7時に迫っていた。このMAルームは8時から次の使用チームにバトンタッチされることになっている。
「今日はここまで?」
「はい」
  肩すかしを食った感じで、本田編集長に訊ねる。
「秘蔵映像スペシャルの方はいいのかい?」
「あ、このスタジオでは編集はやりません。近く、連絡します」
  それがいい。このまましばらくは、この満たされた至福感に浸っていたい。改めての連絡を待つとして、SONY PCLの編集スタジオをあとにした。
 折から五反田駅の周辺は、仕事納めをした人々や忘年会で早くもできあがっている若者たちで、ごった返していた。 

 帰宅してからすぐに、ベストモータリングの2011年6月号を書斎のDVD棚から取り出す。その号をもって、ベスモは休刊に入ったまま、今日に至っている。
 パッケージの表(おもて)面を見る。『LEXUS LFA 初登場! FINAL BATTLE in Fuji Speed Way』のタイトルがドカンと真ん中に座っている。それを下から支えるように、『クルマを愛する遺伝子たちへ GT-R EGOIST×黒澤元治』が・・・・・。

 そうだった。このファイナルバトルの収録ロケにわたしも立ち会っている。そのときの様子を当BLOGに連載をはじめた『つれづれなるままにクルマ一代』の第2回目に『青春のメッカFISCO』と題して、それなりの想いをこめて記述してある。ぜひ、【こちら】からどうぞ。

もう一つ、『水菜の季節、来たりなば』にも。

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 同行してくれた田部靖彦君が、東名高速から御殿場に降りたところで、黒沢元治さんはご家族と一緒にミズ菜とりをしているそうなので、畠の方へ寄ってみましょうか、といい出した。
 久しぶりの対面。富士を仰ぎながらのミズ菜とり。あ、ガンさんにも、時計の止まったようなのどかな時間があるんだ、とホッとしたところで、誘ってみた。
「これからベスモのラストロケが待っています、一緒に行きませんか?」と。
「いや、先日の『クルマを愛する遺伝子たちへ』の撮影で、読者へのお別れのメッセージはすませているから」
 いかにもガンさんらしい、すっきりしたモノいいで、それ以上、こちらから誘うことは失礼になる感じであった。

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 7年近い歳月を経て、同じタイトルでベスモが復活する。
 改めて祝福したい想いから、その時の「ガンさんメッセージ」を確認しておこうと思い立って、DVDディスクをパッケージから取り出そうとして気がついた。カバーの裏面にモノクロで刷り上げられたガンさんと荒聖治君の立ち姿。かたわらに白のGT-R EGOISTがより添っている。いまやっと、そうした本田君の意図が読めてきた。いつの日にか、同じシチュエーションで蘇ってみせるぞ、という仕掛けではなかったか、と。

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 16分を超えるそのコーナー、ガンさんの7年前の走りと、メッセージを改めて鑑賞した。率直に言って、ベスモが休刊するという失意のなかで見たせいか、外絵はいいとしても、車載カメラが稚拙で、ガンさんの走りを粗末にしているな、とガッカリしてしまった。ガンさんから直接、クルマを愛する遺伝子たちへのメッセージなど、感じとれなかった。

 それがどうだ。「コンフォート(Confort)」をキーワードに、この国最強のGT-Rのあるべき姿を語り、クルマを愛する心のあり方を伝えようとしていたガンさんのメッセージが読み取れるではないか。

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 GT-Rの「コンフォート」は増している。しかし本物のスポーツカーであるためには4輪駆動であることを返上せよ。
 GT-Rよ、快適であるためには、もっと軽量化をめざせ。
 クルマの技術はエンドレスである。
 
 ガンさんにはじめて会ったのは1980年(S80)の暮だった。その時のガンさんは失意のどん底にいたはずである。しかし目線も心も真っ直ぐ前を向いていた。そして、いつもひたむきに何かを学び取ろうとしていた。
 それから37年。この人はいつも新しい。情熱を燃やしている。なにごとにもひるまない。そこからの日々は半端ではなかった。

 谷、深ければ、山、高し。見事な後半生である。そしていま、ベスモが不死鳥であることを、証明してくれようとしている。

 2018年がやってくる。クルマを愛する遺伝子たちよ。どうぞ、佳いお年を!

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■ガンさんの『新 ドライビング・メカニズム』や、中谷明彦君の『ポルシェ911ドライビングバイブル』、五木寛之さんの『プレミアム版 疾れ! 逆ハンぐれん隊』の電子版を扱っている『ぽらりす・クルマ仲間/名作図書館』。その提携先『電子書籍専門サイト・CONTEN堂モール』から嬉しいプレゼントがあった。期限が2018年1月15日(月)23:59までという縛りはあるが、有料コンテンツ購入者の中から抽選で100名に電子マネー3000円分が当たるキャンペーンをスタートするが、その対象店舗のわたしの主宰する『ぽらりす』を対象店舗にした、というのだ。この際、ガンさんの電子BOOKを入手して、じっくり「ガンさん」と取り組んでみたらどうだろう。手続きは『CONTENDO』からどうぞ。
黒澤元治『電子書籍版 新・ドライビング・メカニズム』については『こちら』からどうぞ!


■付言 『ConTenDo』のモールが、びっくりするほど充実してきました。好みの作品が選べるはず。無料会員に登録したあと、自由にモール内を「散歩」するのも悪くない。お奨めします。そして『新 ドライビング・メカニズム』も立ち読みすることからはじめたらどうでしょう? 

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Posted at 2017/12/30 20:25:53

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この記事へのコメント

2017年12月30日 20:49
黒澤先生のDVD、待ちどしいです!

良いお年をお迎えください(*^^*)
コメントへの返答
2017年12月30日 21:24
1年間、お世話になりました。

DVDが届いたら、みんなで集まって、ミーティングをやりましょう。
2017年12月30日 20:53
いやー、DVDが届くのが待ち遠しいです!
今回はロケに立ち会う機会に恵まれませんでしたが、「復活」したベスモをこれからも盛り上げて行きたいと思います。
コメントへの返答
2017年12月30日 21:28
あどさんとはじめて言葉を交わしたのは、FSWでのラストロケの時、それもストレートのスタート地点だったですね、

来年もよろしく。
2017年12月30日 20:58
正岡さん〉来年の完成DVDに向けて、本田さん、仁禮さん、そして局長の同じ席。やっぱり、私たちの青春の時のベスモ。時間が戻ります。そして、私がベスモを見はじめた原点の、がんさんの走り。うれしかった。S80年頃、ベストカーガイドで知ったがんさん。そして、またがんさんの走りが見られるベスモスペシャル。楽しみです。正岡さんと一緒に見ながら、話ができることを楽しみにしています。
コメントへの返答
2017年12月30日 21:30
ことしは随分、走り込みましたね。

DVDがあがったら、ミーティングをやります。

来年もよろしく。
2017年12月30日 23:11
ご無沙汰しております。
ベスモでは読む拝見していた、実際にはお会いした事ない方々の姿をこうして見ていると、不思議と懐かしい気持ちになります。
私も微力ながらグリーンファウンディングに参加させていただいたので、楽しみにしています。
コメントへの返答
2017年12月30日 23:36
もう、スタッドレスタイヤでなければ、走れないでしょうね。

ご無沙汰でした。15年ぶりに映像編集の現場につきあって、元気が戻ってきたような気がします。

このところ、書き物にパワーを取られていて、みんカラの方が疎かになっています。

よいお年を。
2018年1月1日 23:49
おおっ、重みのあるナレーションでお馴染みの窪田さんではないですか!
こりゃ楽しみが増えましたな!
コメントへの返答
2018年1月1日 23:59
そう。こちらもホッとしたり、うれしくなったり・・・。

素晴らしいできで、まるでガンさんが『情熱大陸』に出演しているみたいだった。

スペシャルブログ 自動車評論家&著名人の本音

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1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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