〜『蔵出し』『特別出品』ベスモDVD異聞〜
「みんカラ」のメッセージ欄は結構、重用(ちょうよう)してきた。
とくに「グループ」活動するのにひどく便利で有効なのだが、その保存期間が送受信してから60日間とは気づいていなかった。Outlookみたいに、こちらで削除しない限り、いつでも必要な「情報」を遡って確認できるというわけではなかった。こんなやり取りがあったはずだったが……とPCを開いても、2ヶ月経っていたら、もう諦めるしかない、と知ったきっかけから、今回ははじめたい。
GWも終わりかかった5月7日。次のターゲットである4年に1度の『正岡祭』(愛媛県松山市の、正岡氏発祥の地で、全国の正岡さんが寄り集う)のための記念出版準備、それともうひとつ、徳さんの『ポルシェ911偏愛学』の電子書籍化の下工作打診のために、イワタカズマ君に拙宅まで足を運んでもらって打ち合わせをしたり、と……バタバタと1日を終えかかった時、部屋の片隅にある紙袋に気がついた。
開けてみると、蔦屋書店でのトークショー用のMEMOと一緒に、透明なセロファン袋に入ったBest MOTORingのDVDが2本入ったのと、もう一袋、Best MOTORingとHot-Versionを詰め合わせたのと、2袋が出てきたのである。ご丁寧に手書きで赤く「特別賞」と書き込んんだシールまで貼り付けてある。
2008年8月号 筑波DOUBLEぶっ跳びBATTLE
9月号 特集・スポーツカーにAWDは必要か
「BM・DVDバトルシリーズ」 ワンメイク世界一決定戦!!
Hot-Version Vol.91 R35GT-R vs.土屋圭市
うん!? 記憶をまさぐる。4月の初めに『蔵出しDVD』として紹介し、「サイン本購入」のメンバーに特典として優先選択権を差し上げるから、第1志望、第2志望を「メッセージ欄」に銘記して、送信して欲しい、と呼びかけたものではないか。それがなぜ、志望者に渡されないまま、ここにあるのか。
そういえば、トーク&サイン会が終わって、ステージを『ALOHA TABLE』に移してからの「プレゼント・イベント」で「特別賞」だから、これは最後の盛り上げ用に使おうと、チョイと横にはずしておいた気がする。どうやら、それをそのまま渡すことなく、すっかり失念して、もち帰ってしまったに違いない。「特別賞」に選んだ理由は、これだけ魅力のあるタイトルを、だれとも競合せずに、見事に4本も志望した「眼力」と「幸運」に「特別賞」を、というわけだった。
それはそれとして、これは申し訳ないことをしてしまったものだ。早速、該当者を割り出すべく、誰が何を希望し、何を渡そうとしていたのか、それを記録した「基本台帳」をもとにチェックした。
まず、DVDの2008年のリストから当たればいい。おお「ドライビングマニア」の「みんカラID」が記されている。こんな場合に備えて連絡先のアドレスと携帯電話の番号を記録してある。本名には記憶があるし、東京都内に在住か。ともかく電話を入れて様子を訊いて見ることにしよう。
ところが、この電話は使われてないとのコールが虚しく帰って来るだけだった。これは面妖な! こちらの記載ミスか? そこで「メッセージ」の「受信」を開くと4月3日の段階で、「ドライビングマニア」氏は2日連続の参加とあって、第1志望から第4志望までを列記している。それがずばり、手元にある「特別賞」の中身、そのものだった。
すぐに連絡を取りたくて、もう一度「メッセージ」欄を洗い直してみた。そしてこの時、この時点で遡れるのは60日前の4月8日までと思い知らされたわけだった。その先には進めない。やむを得ない。こちらから「問い合わせ」のメッセージを送信して、連絡を待つことにした。
1時間後に、温和な人柄をしのばせる返信がはいっていた。
「先日は大変楽しませていただきました。個別で大井さんともお話しさせていただきましたが、ナチュラルな意見をお聞きでき貴重な体験でございました。
特別賞までいただけるとは大変光栄でございます! もしよろしければ、ご自宅近くまでお伺いさせて頂き、頂戴できればと思うのですがいかがでしょうか? 当方、週末であれば大丈夫です」
こちらからも、即座に返信。翌8日、午後8時に同窓会メンバーとの定番となったファミレスで落ち合うことになった。
当日、約束した時間の5分前に「ジョナサン」の駐車場へ。入り口までの短いアプローチ通路沿いのガラス窓の向こうから、つい先日知り合ったのに、もう随分と旧い仲でもあるような懐かしい顔が、ペコリと叩頭の挨拶を送ってくる。やっぱり彼だったか。イベント二日目、中央自動車道河口湖線の最初のPAで、午前11時からの30分間、休憩がてら待機しているので、できるだけそこで落ち合いましょう、という呼びかけで10台ほどが合流できたが、その時に、馴染みの「あど」「Aki23」両氏にまじって談笑したあの顔だった。
*第2ステージ、河口湖畔「富士カーム」へ向かう最初の合流場所、谷村PAにて。向かって右端が「ドライビングマニア」さん。そして「AKi23」「あど」の両氏。
なんでも、ベストモータリングとの縁は、当時所有したばかりのインテRを貸与し、その謝礼がわりに筑波バトルの実戦見学に招待された、とのことだった。もうその頃のわたしは現役編集長を後進に託していたはずだ。
コーヒーを飲みながらの1時間はあっという間であった。昭和47年、長崎の佐世保でうまれそだったという。そういえば彼の姓は九州西部に多く見られる。相当に熱く激しい気性の持ち主であるはずだが、それをうまく知性がコントロールしているに違いない。愛車のインテRを提供したことからも、その辺が読み取れる。
「特別賞」を用意しながら、渡し損ねた不手際を詫びたところで尋ねた。
「自分の希望したのが貰えなかったのに、何を受け取ったのかな?」
「どれでも、みんな欲しいものばかりですから、ご心配なく。そして結局は、こうやって直接に逢えて、欲しかったものをいただけたのですから……」
しばらくはこちらが持参したiPadから「みんカラBLOG」を呼び出し、彼が知りたがっていたベスモ最終号の「ファイナルロケ」の様子は、この辺から読んでいくといいよ、と
2011年06月20日の『ファイナル・バトル』を開いてあげたが、その翌日から、彼の「イイネ!」登場が増え始めた。それも規則正しい一定のリズムで。
● 5/09 12:45 「青春」のメッカ FISCO
● 5/09 21:37 さらば 汚された英雄 ~元祖「不死鳥伝説」Part ⅳ
● 05/09 21:39 韋駄天の申し子、羽ばたく~元祖「不死鳥伝説」Part ⅴ
● 05/10 07:49 「30度バンク」を歩く〜9月11日のスーパーGT観戦
● 05/10 08:52 痛恨のクラッシュ ~「あの事故」と同じ舞台で
● 05/10 11:38 五木作品に登場するクルマたちよ! テスタロッサ
嬉しくなって、5月10日の夜に「連帯と感謝のエール」をメッセージする。
——−こんばんは。その後「イイネ!」で、今何を読んでいただいているか、少し気にしながら、ニヤニヤしています。率直に言って、どうですか? そろそろ本気で単行本化しようと、ある人物と相談しているところです。
「長崎」のご出身とありました。どこですか? これから「島原の乱」に関わるはなしをまとめなければなりません。深夜の挨拶です。
あたかも、そのわたしの「深夜の挨拶」を待っていたかのように、その想いを文章化して、彼のメッセージ欄からこう伝えてくる……。ご本人の承諾を得たところで、紹介したい。)
「(挨拶は省略:正岡)ブログは普通に読書をしているかのように魅入ってしまっています!
ガンさんの過去の歴史はサワリ程度に存じておりましたが、ご本人に話をうかがいに行かれているとは、出版社出身のジャーナリスト精神が掻き立てられるものでしょうか。私たちでは触れない、触れられない、いや触れる勇気がありません。
これまで歩んでこられた歴史にも魅せられています。そのパワーをひしひしと感じております。
あんな完成されていたベスモも産声を上げた時は苦労されたようで、何事も最初から恵まれた環境などありゃしないことを改めて感じました。
また私にとってベスモ最終回は、スタッフでも関係者でもございませんが、豪華絢爛の車両を用意されていることに感動して涙腺が緩みましたが、ブログでの辛口なコメントをされているところから推して、そんな単純な状況でなかったのだと思い知らされました。
(中略)
本題のブログの件ですが、ぜひ本として発行していただきたいと希望します。
私の様にベスモファンでありながら、車から離れてしまい、みんからも知らない方もたくさんいらっしゃると思いますので、発行される際は、ベストカーで告知していただけると、相当数の方が知る事となりますので、ファンにとってはありがたいとおもいます。是非ご検討いただけたらと思います。
今、ブログを読ませていただいていますが、iPhoneを置くと読みかけの本を置いたのと同様、次の展開を待ちわびる子供の心境となっております。
しかし、北野選手、高橋選手、ガンさんの時代のレース、また背景は非常にヘビーですね。現在の華やかなモータースポーツでは想像出来ないくらいシビアな時代だった事が理解できました。
ちょっと早いペースで読んでおりますので、少しslow-downして、引き続き読書させていただきます。ps メールありがたいです」
そして、それからの「ドライビングマニア」さんの「イイネ!」は確実に、「つれづれなるままにクルマ一代」をトレースしてくれているという「報告書」となっている。
CAR VIEWの「みんカラ」SPECIAL BLOGを引き受けてから、もうすぐ満5年になる。その間、どれだけのタイトルを書いてきたのか。日々の出来事と、おのれの想いとかを過去に創り上げてきたメディアの舞台裏と絡ませてきた記録の「玉手函」は、かなりのボリュームとなっている。ま、突然にこれらの記録が消滅することはないだろうが、そろそろ本格的に手をつけなければならない。実はそのことは、2年前に『局長の仕事』を本にするプロジェクト』として予告済みなのである。
(以下、次回更新へ)