*電光掲示板がすべてを語る。1位、ゼッケン88、173周。「カービュー・みんカラ」チームだ!
*栄光のメンバー、左から、加藤、蘭知亜、伏木、主税。
今は表彰式の最中だろうから、「カービュー・みんカラチーム」のシャンペンファイトの写真は、改めてご覧いただくとして、本当に優勝しちゃったのです。
9月3日。台風12号の接近で、開催が危ぶまれた「第22回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」。いつもなら、夕方にスタートして、夜闇の中を、ヘッドライトをたよりに走るはずが、震災への哀悼の想いと節電奨励を配慮して、ナイター照明を自粛するとあって、午後2時に決勝がスタートします、とCarview編集部から連絡を受けていた。
されば、午前8時半、ともかく東京・練馬の自宅を出て、東京外環経由で、常磐自動車道へ。時折襲い来る豪雨。突然、牙を剥いて襲いかかる横風。利根川を渡るときなんざ、1車線分、横へ持って行かれる。フラフラ、ユラユラ。へっぴり腰でやっと谷和原ICを降りた。こりゃ、筑波のドライバーたちは大変だぞ。ついつい、心配をしてしまう。
午前10時前、筑波サーキット着。場内アナウンスが、予選開始を告げている。Carviewスタッフへの挨拶もソコソコに、第1コーナーへ走る。そこが予選での各車の走りをチェックしておく、ぼくのお決まり、定点観測場所である。
手もとの出場チームのゼッケンと選手名と照らし合わせる。まず、ゼッケン⑬の青のロードスターが滑らかに走り抜けていく。速い! そのはずだ、「ENGINE」から出ている大井貴之じゃないか。場内実況で、この時点でトップタイムだと知る。(以下、出場選手は敬称を省略します)
土屋圭市が余裕たっぷりにコースインしてくる。24番、「HVドリフトマッスル」とアナウンスされている。これが予選の本命かな? 一発で1分10秒台を出してきた。
路面は通り雨のような激しい雨の洗礼をうけ、ところどころが濡れたまま。ハーフウェット、という始末の悪い、中途半端な状態。予選時間は、わずかに20分。いつ、また雨が襲ってくるか解らない。ハーフウェットでも早いタイミングで攻めておくか。それとも、もう雨が来ないことに賭けて、路面が乾くギリギリのタイミングで一発勝負と行くか。
88番、Carviewロードスターは北畠蘭知亜がアタックしている。実はこの日の楽しみの一つは彼の走りを、この目で確かめることでした。なにしろ父親の北畠主税が惚れ惚れとした調子で「ウチの蘭知亜の走りを一度、見てください。ガンさんにちょっとコーチを受けただけで、ぼくなんざ、ついていけなくなったんだから」と。
それは興味がある。ぼくの目利きでは、父親の走りは相当なもの。となると、レース経験もないのに、そんなレベルにいるとは、ひょっとしたら隠れた天才かもしれない……と。で、第1コーナーではどうだ? 強引に前へ突き進む腕力は感じられない。が、切れ味のいい何かが感じられる。他車と競り合った時の走りはどうか? このあとの決勝レースでもう一度検証してみるか。
そんなことを考えていると、目の前を一陣の風が通り過ぎる。74番、REVSPEEDの谷口信輝。ポーンと予選トップのタイムを叩き出していた。ただひとり、1分9秒台。あとは10秒台がずらりと並ぶ。大井は4番手、ドリキンは6番手、蘭知亜は12番手だった。荒聖治、桂伸一といったかつてのベスモキャスターはそのうしろにいるのだから、ヨシとするか。
Photo by Chikara Kitabatake
午後2時10分、耐久4時間レースがスタートした。いつものルマン式ではなく、ローリングスタートに変更されて。第1ドライバーは加藤拓人編集長。この4年間の精進を、自らに問う「魂の走り」を50分間、披露してくれた。8位で第2走者の蘭知亜君に繋ぐ。お見事。このレース、速さだけでは勝てない。燃費との闘いを克服しないと、ゴールへ辿り着くことはできない。加藤編集長は割り当てられた21リッターを、なんとか18リッター台の消費で貢献したい、とスタート前に目標を立てていた。それが、18・4リッターであがってきたのだ。これで後の3人が楽になった。この時のトップは、断トツで「みんカラSPECIALブログ執筆グループ」のひとり、佐藤久実(03番、ピンクパンサー)だった。
蘭知亜は3位から6位の間を出入りし、父親の主税君にバトンタッチ。ドイツ取材から前日、帰ってきたばかりなのに、嬉しそうに筑波を疾走している。サーキットで走れることが嬉しくてたまらない……走りの節々にその想いが弾けていた。で、リーダーの伏木悦郎がいよいよ登場する。
「もうすぐ、還暦。それでも続けられるから、励みになる」
伊達にはこの30年、走りつづけてきたわけではないだろう。途中、ドカッと雨が落ちてきた。
何台かがグラベルゾーンで立ち往生をする。最終コーナー。伏木選手のマシンが左に膨らみ、縁石をはみだし、グリーンに左側のタイヤを落としかける。踏ん張る。お尻はピタリと決まって、無事、危機を脱する。
「あれね、あそこでアクセルをちょっとでも踏んだら、ズルッと行くのがわかっていたから、ひたすらカウンターを当てたまま、我慢、我慢」
走り終えた伏木選手が、解説した。なにしろ、何がどうなったかは分からないが、トップで最終走者の蘭知亜(2度目)にバトンタッチしたのだ。2位の②モーター・トレンドとはほぼ1周近いマージンがあるではないか。
*鈴木亜由子は祈る、ただ祈る。
*あと、1周!
*やったぞ!
*ぼくもやったぞ! ゴール直後に吼える蘭知亜
それからの30分、蘭知亜はそのマージンを生かして、無事ゴール出来ることだけをめざして走った。プロフェッショナル・ドライバーたちの追撃は急だった。背後から襲いかかる土屋圭市。蘭知亜はいう。
「そんな時は、前に行ってもらって、勉強させてもらうつもりで後ろについて走りました」
あと、3ラップ、ともかく、無事に帰ってこい! ピットクル―のだれかが泣きそうな声で叫ぶ。それはぼくの心の中の声だったかもしれない。マネジャー役の鈴木亜由子は両手を合わせて、ただ祈る!
そして午後6時12分。チェッカー・フラグが振られる。出場23チーム。その頂点に立ったまま、「カービュー・みんカラチーム」はゴールインしたのである。
これは、凄いことなのです。並みいるスペシャル走り屋軍団を退けて、今年の業界最速編集部となったのですから。
公式の順位などは、改めてお伝えするとして、まずは緊急観戦記をお届けした次第。
*どうやら、この最後のドライバー交替が運の分かれ目で、吉と出た!
Posted at 2011/09/04 02:05:39 | |
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ちょっと一服 | 日記