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正岡貞雄のブログ一覧

2012年03月11日 イイね!

突然の『ベスモ同窓会』 ~ガンさん2世のスーパーGT参戦発表会の夜~

突然の『ベスモ同窓会』 ~ガンさん2世のスーパーGT参戦発表会の夜~ 手に入れたばかりのauのiPhone 4が着信を告げる。お、「黒沢元治」の文字が光って見えるぞ。耳に当てると、明るい、弾んだ声。

「ガンさんです。3月9日の午後6時から、体が空けられますか。治樹(ガンさんジュニア)がメルセデスのSLS・AMG GTSでスーパーGT300クラスを走ることになって、六本木で参戦発表会をやります。よかったら……」
「もちろんです。それにしても、このご時世に発表会をやるなんて、なかなか元気じゃないですか。チームはどこですか?」
「主婦と生活社から出ている〈LEON〉という雑誌を知ってますか? ちょい悪オヤジでヒットしているそうですが、そこが名古屋のGREEN TECという品質管理サポートの会社と組んでレーシングチームをつくり、メルセデスのSLSのAMG(アーマーゲー) GT3で走るんで、治樹が……」
「わかりました。六本木のどこでやるんですって?」
「ミッドタウンの真ん前にある、メルセデスベンツ・コネクション。すぐわかると思いますよ」

 携帯電話の向こうで、ガンさんの目がますます細くなっているのが、手にとるようにわかる。で、3月9日は約束通り、プログレを駆って、午後5時半には六本木に着いた。外苑東通りに面した乃木坂寄りのパーキングは、予想に反して空いていた。氷雨まがいの細い雨滴が、肩に降りかかる。傘をさして、東京ミッドタウンを目標に、大通りを六本木交差点方向へ。

 ある、ある。そこだけがパッと明るく、いかにも流行発信基地らしく輝いている。1Fがメルセデスのショールームとカフェラウンジが同居する瀟洒な2階建て。うん!? この場所に覚えがあった。ずっとずっと昔、指揮者の小沢征爾さんの奥さんになったスーパーモデルの入江美樹(ベラ)がお母さんと一緒にやっていたレストランのあったところじゃないか。よく通ったな。




 

 そんなセピア色の記憶を懐かしみながら、受付の手続きをすませた。ガンさんはすでに到着してコーヒーラウンジでゲストと懇談中だったが、目が合うと、席を立ってこちらへ。と、まるでタイミングを待っていたように、2Fから螺旋階段をつたって、中谷明彦君が降りてくる。さらに、正面のガラスドアを開いて、田部靖彦君がやってきた。モンテカルロ・ラリー取材でしばらく留守にしていたが、無事に帰国していたのだ。
 
 まるでベスモの同窓会だね、と大笑いしながら記念撮影を。カメラマンはそばにいたモータージャーナリストの石川真禧照さんにお願いする。

 こんな時間がもてるのもいいねぇ。観劇や音楽リサイタルの幕間のような雰囲気。中谷君が冗談半分、本気半分でガンさんにいう。

「治樹とはメルセデスのドライビング・セミナーのインストラクターで一緒にやっていて、今度のチームのスポンサー側に引き合わせたのは、実はぼくだってご存じでしょ? ですから、最終戦くらい、ぼくに乗らせてよ」
 ガンさんは軽く受け流す。
「分かってるよ。でも、おれが乗ったあとでいいだろ?」
 
 6時、そろそろ開会の時間。ぼくの隣には鈴木俊治さん。つい先だってのわがBLOGで、紹介したばかりの御仁だ。
  https://minkara.carview.co.jp/userid/1135053/blog/25292196/

「うちの連中の報告で読みましたよ。写真が今と違って細身だったので、別人みたいだって。メディア横断のレーシングマシンを用意するなんて、いまじゃ考えられないっすよ」





  晴れやかな発表会がはじまって、チーム体制を正式に知る。第1ドライバーは47歳の竹内浩典君。「ハコ乗り」の名手として、ベスモでも「チューニングカーバトル」でなじみの顔だった。その挨拶は、心に響くものがあった。
 
「昨年の暮れ、このマシンを見たとき、電気が走りました。しばらく休んでいましたが、やるからにはチャンピオンを目指したい。ぼくも47歳。ドライバーとしては最後の大仕事だと思っている。その経験を黒沢治樹選手に引き継いでいきたい」

 つづいて治樹選手が登壇。きりっとした挨拶だった。
「いつもオヤジのDNAを問われてきましたが、いま、ぼくなりに勝負できるマシンと体制に恵まれました。チャンピオンシップ2位は何度かあった。でも、チャンピオンはこれまでなかった。ここでチャンピオンを獲ってがんばりたい」


 

  ガンさんの目が細くなるのもいたし方ない。そして、それまでカバーがかかったままのマシンが披露される。「シルバー・アロー」のイメージを復活させた《あいつ》がそこにいた。ガルウィングを跳ね上げたポーズは見ることができなかったが、いよいよこのマシンが、岡山国際を皮切りに、FSWや鈴鹿、菅生を疾ってくれるのか。ゾクゾクッと来るものがある。昨年は片山右京君との縁で、スーパーGTを、菅生とFSWで観戦したが、ことしはこの「シルバー・アロー」の追っかけをやることになりそうだ。



 帰り際、中谷君のそばに立って、お辞儀をする青年に逢った。細身のダーク・スーツを着こなしたその顔に見覚えがある。治樹の弟、翼じゃないか。ピンと来るものがある。ドライバーとしては、ステディな治樹選手に比べて、弟の翼のほうに野性味があって期待が大きい、といわれた時期もあったほどの逸材だった。それが、なぜか伸び悩んだ。原因は太りすぎだった。それを克服して減量、再挑戦を狙っている。それをぼくは直感した。ガンさんの目がますます細くなるわけだ。

  外は雨足が強くなっていた。ぶらり歩きはやめて、まっすぐパーキングへ。考えてみれば、御殿場の黒沢宅で治樹君とはじめてあったとき、まだ小学校に上がる前のきかん坊で、ガンさん夫妻は苦境のさなかで闘っていた。翼君は夫人に抱っこされた赤ん坊だった。彼らの成長に精魂を注いだ黒沢夫妻の不屈の生き方を、ぼくは知っている。なにが彼らを支えてきたのか、も。

 そして今、ガンさんの人生が手にしている〈輝き〉の見事さ。脱帽するしかない。



Posted at 2012/03/11 00:36:28 | コメント(5) | トラックバック(0) | ちょっと一服 | 日記
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「開幕まであと10日か。OP戦とは言え2勝11敗1分と惨憺たる結果。それでも虎軍団が新しいシーズンになったら、と信じるのが38年間、日本一から無縁だった虎ファンのいいところ。エース格の村上が2本塁打、8点を献上しながら10対9で逆転したことに一安心する。それでいいのかな?テルは◎。」
何シテル?   03/20 12:05
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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