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2014年10月14日 イイね!

還暦編集長、18年目の「復活」

還暦編集長、18年目の「復活」~SUBARU S4にポンと後押しされて~

 秩父に通いはじめて丸々四年、西秩父・下吉田の椋(むく)神社は、130年前の11月1日に、西秩父の農民・山の民が「世直し」を求めて蜂起・集結した場所でしられる、という位置づけであったが、その椋神社例大祭に奉納される『龍勢』見物に、初めて足を運んだ。

【左の写真は、「龍勢」が人工衛星さながらに、空に向かって打ち上げられた瞬間。なお、祭事の模様は、随時、追加、補強しています】







*「龍勢」で賑わう吉田椋神社


*境内にある「秩父事件蜂起集結の地」標柱

 手元に届けられた案内パンフレットによれば、《(埼玉県指定無形民俗文化財である椋神社の)龍勢は、別名「農民ロケット」とも呼ばれ、松材の筒に多量の黒色火薬を詰め、まっすぐに飛ばすため矢柄と呼ばれる竹をつけて上空へ打ち上げる煙火です。轟音とともに上空に駆け上がり、落下傘などの背負い物をひらき、矢柄を吊り止めるなどの精密な仕掛けはすべて手仕事で仕上げられています。打ち上げた龍勢は、極力、櫓(やぐら)後方の山中へ落下させるよう努めておりますが、予期せぬ方向に飛ぶことも考えられますので十分ご注意ください》とあり、観覧者に注意を呼びかけているのが異様な雰囲気を予測させてならない。










*炸裂したあと、だんだんと龍の姿に、大成功!



 この祭事は、打ち上げシーンが人工衛星の打ち上げシーンを連想させ、NHKのお気に入りで、ニュース番組での速報や、特集ドキュメントも組んでいるので、ご記憶の向きも多いはず。この龍勢の製法は近辺の各集落に伝承され、現在では火薬製造の資格を得た27の流派が受け継いでいるという。

  折から「台風18号」の接近が伝えられ、予定通りに開催されるかどうかも曖昧だし、往復の交通の便も心配される。それに、毎年10月の第2週の日曜日と決まっているこの秋恒例の祭事は、いつも、こちらの大事なスケジュールとぶつかることが多く、相性がよろしくなかった。
ことしもなにかと忙しい。「祭と民間信仰」の復刻新版本にかかわってきた手前、「龍勢」のことは気にしていても、なにがなんでも、ことしこそ行ってやろう、という積極的なモチベーションは湧いてこなかった。

 そんなウジウジした気持ちをあっさり吹き飛ばし、「出かけようよ」と後押ししてくれたのは、金曜日の夕方に手元にやってきたSUBARUの新しいWRX S4であった。

 新しく移転したばかりの富士重工本社「スバルエビスビル」の地下ガレージでピックアップし、エンジンスウィッチをプッシュした瞬間に始まる「S4ドラマ」の演出に驚き、すぐに気に入ってしまった。だからあえて、早速に「何シテル?」でクイズめいた140字の報告をしてしまう・・・・・・。

――3連休に備えて調達した注目のNew Car。ドアを開いて、コクピットにおさまった瞬間、「オッ!」。真紅に燃えるメーター照明。それも「280」まで刻んである。アクセルに足を乗せて、軽くレーシング。純白の針が、ウィーンと歓迎してくれる。革巻きステアリングの小ぶりさも好感。さて車名は?



 実はこの文章を書きながら、これに似た文章を随分と前に、発表した記憶があるのに、気づいた。多分、あれだ! 帰宅して早速、書棚を捜索する。あった! 18年も遡る1996年に、Audiが展開する広報活動の一環として発行していた『Four Silver Rings』誌に寄稿した『きみよ、もう半ラウンド、つき合うかい』と題したエッセイが、それだった。



 サブタイトルは「アウディA8が還暦編集長に火をつけた」とし、なんと、その書き出しは、クルマとは全く関係のない「作家・司馬遼太郎さんの訃報」に接した話からはじめ、司馬さんの文章の練り込みがいかに凄かったか、に触れたところで、こうアウディA8を登場させていた。
  *    *    *    *
―—このごろの小説は底が浅くて面白くないね。精神の燃焼が感じられないからな。このごろのクルマもみんな同じ味ばかりでつまらないよ。還暦を迎える前後のぼくは呻いていた。編集長を辞める肚もかたまりかかった。後進を育てるためにも、はっきりした責任を与えてやれよ。彼らもそれなりにやってのけるに違いない、と。

 マラソンでいえば、35キロ地点を走り抜け、喘ぎながらゴールを手探りで求めはじめた走者だった。

 そんなさなかでの司馬さんの訃報。それと一緒にやってきたのがアウディA8にじっくり乗ってみないかという誘い。なにかを感じないわけにはいかなかった。



 A8とつき合うのは初めてである。仕事柄、つまらないね、とボヤキながらも、ほかのNewカーには積極的に触れていた。メルセデス・ベンツE320シリーズの鈴鹿試乗会では乗り継ぎながらもフルコースを40周もしてしまった。ローバーMGF、アロファロメオのスパイダーも珍しく気に入ったオープンスポーツだった。が、もうひとつ昂らせてくれるものに欠けていた。国産車はブルーバードSSS、スカイラインR33のマイナーチェンジもの、そして3代目となるレジェンドまで。
 語り始めれば、やっぱりボヤキになるだろう。デジタル世代の創りとはそんなものか、と諦めが先にきた。
届けられたA8のドライバーズ・シートに滑りこんだのは、もう深夜と呼んでいい時間帯だった。Newカーとつき合うにはひどく暗い夜を選んだもんだ。少し、悔いていた。お決まりの試乗コース、首都高速5号線をサンシャイン傍のICから入り、戸田橋方向へ北上するつもりで、イグニッション・キーを捻った。と、ぼくは一瞬のうちに錯乱した。ぼくの周りが、紅い炎に包まれたように、様変わりしたからだ。


*すべての計器がアンバー発光でコーディネートされていた PHOTO by北畠主税

何が起こったのか。気を鎮めた。A8のすべての計器がアンバー発光でコーディネートされていたのだ。憎い。すごい演出じゃないか。インパネのメーター類はもちろんのこと、パワーウインドーのスイッチまでもが紅い幻想の演出に一役買っている。そして何にもまして、この紅い光の演出が、美しいと感じられたことだ。
  *   *   *   *
 S4がスバルエビスビルの地下から出たときは、午後4時過ぎである。
 外はまだ陽光が一杯だった。途端に、暗がり効果を失ったS4のインパネ照明は、紅い炎に包まれた演出の味とはほど遠い、単なる赤いメーターまわりに押し戻されてしまった。が、きっと夜になれば……。ある種の期待感。それがこのS4にある。
 


 恵比寿から中目黒に出て、そこからは、最近は地下の首都高速が出来たせいで、すっかり走りやすくなった環状山手通りを北上、目白通りとの合流点を目指した。

素直に噴け上がるFA20型エンジン。しかるべきステージでもっと踏んでみて、と催促する。サスペンションもレヴォーグほどのゴツゴツ感はなく、荒れた路面での跳ね具合も気になるほどではない。それにパドルシフトの切れ味も、メリハリが効いていそうだ。

 そうだ、やっぱり、日曜日の天候さえ支障がなければ秩父の「龍勢」取材にいってみようか。ポンとS4が後押ししてくれる。なにか、新しいことがはじまりそうな予感。こんなアクティブな感覚、いつ以来だろう。

 それが18年前のA8以来だと知って、改めて往時のエッセイを読み直してみたが……。             
(この項、つづく)

Posted at 2014/10/14 03:26:44 | コメント(3) | トラックバック(0) | 秩父こころ旅 | 日記
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「開幕まであと10日か。OP戦とは言え2勝11敗1分と惨憺たる結果。それでも虎軍団が新しいシーズンになったら、と信じるのが38年間、日本一から無縁だった虎ファンのいいところ。エース格の村上が2本塁打、8点を献上しながら10対9で逆転したことに一安心する。それでいいのかな?テルは◎。」
何シテル?   03/20 12:05
1959年、講談社入社。週刊現代創刊メンバーのひとり。1974年、総合誌「月刊現代」編集長就任。1977年、当時の講談社の方針によりジョイント・ベンチャー開...
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