2012年05月01日
フルレンジ機械制御M4AT-x
ポリバケツの整備手帳を先にうpしましたが,本日,長い懸案事項であった,強制ロックアップを施工しました.
結論から言えば,ラシーンftのATは電気の力なんか全く借りることなく,AT単体で考えて1〜4速の変速から,ロックアップ,キックダウンもこなしてしまう,優秀なやつでした.そこに,いままでちょっかい出していた,ECUからのロックアップ解除の司令を黙らせてしまうだけでいけてしまいました.むしろ,エレキの力では,ロックアップは解除はできても,強制的にONはできない,機械部分だけで完成されたATでした.
このATの機械部分だけの動作パターンは以下の通り
・発進〜加速
1速から速度・アクセル開度・走行負荷に応じて自動変速.
4速への変速は50km/hから.
4速に入ると,ロックアップが自動で作動.
・定速走行時
4速に入っている限りは,ロックアップは維持される.
速度低下かキックダウンで3速以下に落ちない限り,ロックアップは解除されない.
3速へのキックダウンは,アクセル半開で作動.
・減速時
4速+ロックアップ状態は,35km/hぐらいまで維持.
・再加速
パワーが足りなければアクセル踏み過ぎることになるので,
3速に落ちてロックアップも外れ,十分な加速が可能.
ユルーい加速なら,4速ロックアップのままでも可能.
・登坂時
4速+ロックアップで登れなくなれば,3速に落ちてロックアップが外れる.
多分,昔の制御では上記のパターンで何の問題もなかったんでしょう.
ただ,エンジン回転が下がってくる領域があると,ブルブル振動が出たり,再加速や登坂時に一気にキックダウンが働くと,回転数が急に跳ね上がることになるので,ちょっとエンジン負荷が増えてきたら,まずはロックアップを解除してやって,3速に落ちる機会を少なく&落ちても回転数の変化を小さくしてやっているんだと思います.
実際,4速ロックアップ解除と4速ロックアップありでは,MTでいう4速と5速の変化のような使い分けをしているように思われますしね.
『ロックアップ解除ソレノイド』という,いかにも後付な部品が機械式ATに追加された経緯も,上記のような開発の流れがあったと思われること,イカさんのルプリのATのロックアップが3速では繋がりっぱなしであったことから,フル電子制御のATが開発されるまでの繋ぎで,付け焼刃で設定したのだと思います.
おかげで,この時分の日産のATは変速遅いわ,トルコンズルズルだわで,ひどい評価を受けたもんです.一歩抜きん出ていていたトヨタ(というかアイシンAW)は,フレックスロックアップを実現したフル電子制御のATを投入し,他社を置いていったかと思いきや,日産(というかジヤトコ)はATに見切りをつけたのか,CVTを売りに出して,電子制御ATはその影で売られるという立場に…やがて自動車業界がCVTブームになると,トヨタ(というかやっぱりAW)も,慌ててCVTのラインナップを増やして対抗…現在のCVTだらけという時代につながっています.
CVTは古くは原チャリの無段変速で用いられており,パワーが限られた原チャリやせいぜい125クラスのスクーターでは,常にパワーバンドを使うことができる,効率的な変速機として定着しました.ところが,この常にエンジンの美味しいところで走らせると言うことを,自動車でやるとどうもぎこちない.
基本的に,10PS・100kg程度のGVWで,目を三角にして伏せて最高速どりゃーとやる原チャリ小僧と,有り余る最低でも40PS・GVW700kg程度を,周囲の流れに合わせて,効率良く使って走る4輪自動車では,エンジンの回り方が全く違う状態を求めてしまうんですよね.
初期のCVTは,エンジンの効率のいい回転を外さないよう,とにかく回転速度をある一定に維持しようとするので,ノイジーでギクシャクした運転になりがちでした.この反省からか,近頃ではとにかく静かに,大人しく見せようとするのか,ちょっとアクセルを抜くと,アイドリング程度までエンジン回転を下げてしまい,再加速しようとすると,また突然回転が上がるので,やはりノイジーに感じてしまうし,アクセルを抜いた時のエンブレを強くするため,やっぱり回転がうわーんと上がり気味になってしまい,そこからの再加速や狙った位置で止めるエンブレがかけられない…
長々となってしまいましたが,何が言いたいかというと,エンジン主,ミッション従という関係が,今ではミッション主,エンジン従となっているので,エンジン出力をコントロールするアクセルペダルでは,本来の運転動作ができなくなっていて『車に走らされている』状態が大きいんです.自動車が,こういうふうに走ったら燃費いいよ,こういうふうに走ったらスムーズだよと,速度やパワーをコントロールしてくれているわけですが,そこから外れてしまう動きをすると,途端にヘソを曲げて『ほなパワー出したらええんやろ,パアーン』となってしまうんです.いや,それならそれで,そういう乗り物にしてくれれば問題はないんです.現実にプリウスなんかは,モータとエンジンとミッションを効率的に使って,あの独特の走行感覚を作ってくれていますが,鋭く立ち上がるモータートルクのおかげで,右足と車の動きのズレは少なくなっています.
それが近頃のCVT+電スロの車は,そこの煮詰めが甘いというか,CVTとエンジンの統合制御もうまく行っていない状態で,電スロの自由度を使って,エンジンが元気なふりをさせる制御を入れるもんだから,チョロッと動かしたい時に,思ったタイミングよりも遅れて大きく出すぎてしまうという,ギクシャクを通り越した,危険な動きになってしまっています.
まぁ,なんだか愚痴ばっかりになってしまいましたが,昔はうまくできていたものを,アレコレ電子制御入れてインテリジェントにすればするほど,人間の感覚からは離れていくような気がするんですよね.つまりは,人間のインテリジェント化が必要ってことでしょうか?
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Posted at
2012/05/01 22:19:20
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