
2015年6月4日
前日に近畿地方でも梅雨入りが発表されたのに、この日は奇跡的な晴天だった。
隣町で新型ロードスターの試乗ができるという情報を得ていたので、満を持してマツダの店へ。
今までオープンカーに乗ったこと無いんで楽しみにしてました。
クルマを知ってロードスターを知らないは不幸(極論)
でも一生に一度は乗ってみたかった車です。
外観は丸っこい先代と比べてグッとシャープになりましたね。目付きが鋭い。NAが小面ならNDは般若のイメージか?
張り出したフェンダーと短いオーバーハングが相まって四隅で踏ん張る印象。
てっきり5ナンバーに戻ったと思ったら、このフェンダーのせいで3ナンバーサイズです。
ついでにエンジンルームも見せてもらいました。エンジンカバーみたいな装飾が一切無いんですね。うーん無骨。
アルミむき出しのヘッドカバーが質実剛健さを表していますが、こいつをソウルレッドに塗装した特別仕様車があってもいいんじゃないでしょうか?
赤いヘッドってカッコいいですもんね。
バルクヘッドが大きくえぐられエンジン本体はギリギリまで後退。
エアクリーナーボックスはエンジンルーム前端に位置し、最短距離でフレッシュエアを吸い込む。
マツダこだわりのフロントミッドシップ。
早速クルマに乗り込んでみる。
今回案内してくださったのは、マツダの営業職に就いてまだ3日目(当時)の新人さん(!)。
幌を閉じた状態でもわりとスムーズに乗り降りできる。
ドア開口部の形状とシート位置が適切なんだろう。
早速エンジン始動!
…ありゃ?エンジン始動しない。
どうやらクラッチじゃなくてブレーキを思いっきり踏んでいたようだ。お恥ずかしい。オートマ車じゃないっつうの。
しかしこのクルマ、フットスペースが狭い。
多分現行の軽自動車より狭い。
前述のようにエンジンを思いっきり後退させたため、センタートンネル前端が広がって足元のスペースを奪っている。
クラッチペダルがどこにあるのか探してしまった。
クラッチを踏もうとすると、今度はフットレストを(以下略
ペダルは結構小振りな上、ステアリングシャフト寄り。なのにフットレストはゆったりサイズなんで初めは戸惑う。一度乗るとABCペダルを踏み間違える事はないけど…
後で貰ったパンフレットによると、ペダルの配置もこだわったらしいけど、個人的にはもうちょっと左にしてほしい。
で、改めてエンジン始動。
ちょっと吹かしてみる。
軽く吹け上がる。
おぉ…純正マフラーで、こんないい音するのか。
この日はいい天気だったんで(というか天気のいい日を選んで行った)、走り出す前に幌を開けてみる。
店員さんにやり方を教わって…感心した!
座席に座ったまま、片手で、電動機構を使わずに(ドアと幌を開ける時に自動的にサイドウィンドウをわずかに開ける機能が実装されたが幌自体の開閉は完全手動)操作できる。
きっとこのラッチやアシストスプリングのテンションひとつ取っても、開発担当者は苦心して調整したんだろうなぁ…と、想いを馳せる。
ロードスターをはじめ、いくつかのマツダ車には日本的なモチーフが取り入れられている。
NAのフロントマスクとサイドビューは能面、シート生地は畳表、リアウインカーは分銅といったぐあいに。
ではNDは?
このカラクリの細工こそが日本的なんじゃないかと思ってしまった。
トランクリッドオープナーも意外な所に設置されてるし。
幌を開けて車内が明るくなったところで、改めて内装を見渡す。
マツダコネクトとかの面白装備に関してはデミオの時に触れたので、今回は全く触れませんでした。
ドアアッパートリムがボディー同色。
今時軽トラじゃあるまいしセミトリムかと思ったけど、どうやら鉄板剥き出しじゃないみたい(当たり前か)。

センターコンソールのエアコンルーバーが左右非対称。
なぜ助手席側だけ楔形?
しばらく経ってからふと思った。
フェラーリかアルファロメオに影響されたような独特のリアコンビランプにそっくりだ。
車外から丸見えになるオープンカーだからこそ外装と内装のデザインに連続性を持たせている。
ちょっとレベル高いな。
いよいよ路上へ。
コースが指定されてるのかと思って尋ねてみたら、特に指定されてないようなので、思い切って五老ヶ岳へ。
やっぱりハンドリングマシンの試乗なら山道でしょ。
ゴルフボールより少し大きいくらいの球形革巻きシフトノブを1速へ。
すごいストロークが短い。BRZよりショートストロークかも。
ロータス乗った事ないけどこんな感じなんかな?
本当に手首の動きだけでギアが入る。節度感もすごいダイレクト。
ただ、新車ということもあってか、渋さも感じる。走り込むといい感じでアタリがついて入りやすくなるかも。
普段乗ってるのがレバー比の大きい(シフトノブ延長しました)軽自動車なんで(^_^;)
タコメーターの中にシフトインジケーターがあるけど、「3▶︎4」みたいなシフトチェンジを促す機能がある。
親切設計というか余計なお世話というか…これって学習機能で表示のタイミングが変わったりするんだろうか?
幌オープンで走ってると、なんだか俺の頭がフロントガラスの上端よりはみ出てるような…
まるで2000GTに乗ってるジェームス・ボンド?
でも、風切り音が気にならないというか、本当に不快な風の巻き込みがない。
別の日に試乗に来たロードスターのオーナーさんは、先代より巻き込みがが少ないと感想を仰ってたそうだが…この辺の技術が相当熟成されてる?さすがライトウエイトオープンの先駆者。
もっとバイクみたいなのを想像してたけど、屋根が付いてないのを忘れるくらい。陽射しで首筋がチリチリするのを感じて、オープンカーだという事を思い出す。
隣の人とも会話できる快適さ。
普通のクルマで窓を半開きにしたほうがうるさいかも?
で、担当者さんがしきりに仰ってたのが「自分も運転してみたけど、すごく乗りやすい」ということ。
確かに尖った部分が全く感じられない。
「誰でも運転できるようにして(スポーツカーの)間口を広げる為じゃないですか?」と、なぜか俺の方が営業マンのような事を言う。
しかし、ひとたびアクセルを踏み込むと、いい音と共に加速していく。
今回の試乗に行く前に、今度のロードスターは1500㏄と発表されていたので、最高出力は大体120〜130馬力くらいかなぁと思ってた(根拠はデミオが1300㏄で92馬力なんで、ざっくりと予想)。実際は131馬力。ほぼ正解。
パワーウエイトレシオはNAとほぼ同じくらい。
130馬力の小型スポーツカーといえばAE86やSA22Cも同等。
スポーツカーの入門モデルとしてはちょうどいい。一般人が臆せずアクセル全開にできるスペックなんじゃないだろうか。
先述の「スポーツカーの間口を広げる」という目的で、初心者でも女性でも老人でも気軽に扱える。
「ちょっとそこまで出かけてくる」という感じに肩肘張らずに乗れる。だからこそクルマとしての意義がある。
国道27号線から五老ヶ岳の山道に突入。
本当はもっと車体を振ってみたかったけど、横に店員さんが乗っているうえに、ぶつけたりしたら大変なので普通に走ってみる。
うーん、ギア選択に悩む。
けど、ほとんど2速で走ってた。シフトレバーが渋かったせいもあって、あまりギアチェンジしなかったってのもあるけど。
しかし急カーブの連続なのに、なんだかちょっと物足りないような…
後になって気がついたら、ほとんどハンドルを持ち変えていなかったような気がする。
つまりそれだけハンドルがよく切れるということか。
これ限界領域まで走らせたらどうなるんや?
五老ヶ岳山頂の駐車場で折り返して今度は下り坂。
正直、上りはちょっとトルク不足のように感じたが、下りなら関係ない。
やはりクイクイ曲がっていく。
再び市街地に戻ったところで、5速までしか使ってなかったんで、思い切って6速まで入れてみる。
なんじゃこりゃ?回転数ガタ落ち。
下道だと、アイドリングかよ!ってくらい回転数が落ちる。
これは高速クルーズ専用ギアやわ。
デミオの時に感じた「マツダ車の6速ギアどこで使うねん問題」これにて解決。
ちなみに、このトランスミッションは6速直結。その代わりファイナルがハイギアード。日本車としては珍しいセッティング。燃費とかも考えてこうなったらしいが…
そして、お店に戻って簡単なアンケートを書いて終了。
何冊か貰ったパンフレットの一つで、グローバルMX-5カップのコンセプトカーの写真が表紙を飾っていた。
カーナンバーはもちろん55。
ルマン優勝車にちなんだ番号だと店員さんに言ったら「詳しいですね」と驚かれた。
え?新人研修で習わんの?
マツダの歴史で一番重要なとこじゃないの?
そのほか、今後デミオに乗り換えるつもりでいるとか、RX-7は復活しますか?とか、そんな話をしていた。
で、今回の感想。
もっと乗っていたい。
条件さえ整えば買いたい。
俺は買えんけど、生活に余裕のある人は買ってください。
乗ってみて損は無いと思います。
そのうち「NDにロータリーエンジン積んでみた」とかいう変態が現れるんだろうか…
でもまずはそのまま乗ってみてね。
ここから余談
ソウルレッドプレミアムメタリックは広島東洋カープのヘルメットの色に採用されている。
あと、マツダ車の型式って、いつから駆動方式を含むようになったんやろ?